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包括遺贈とは?包括遺贈と特定遺贈の違い等についてわかりやすく説明

包括遺贈と特定遺贈の違いなどについて解説

遺言書を作成する前に、きちんと制度を理解できていますか?

特に、遺言書によって無償で譲渡することを遺贈と言いますが、包括遺贈と特定遺贈があるのをご存知ですか?

包括遺贈は財産の全部又は一部を包括的に遺贈するものです。財産に対する一定の割合を示します。

それに対して、特定遺贈は特定の物や権利、もしくは一定額の金銭を与えるというように、財産を特定してする遺贈(割合で示されていない遺贈)を言います。

包括遺贈は不動産取得税がかからないというメリットがあるものの、相続債務を負うなどのデメリットも。両方の違いを把握しておくことが重要です。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年2月12日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

遺贈とは?

遺贈とは、遺言者が死後に財産を人に無償で譲与することです。

遺贈は、相続人に対してだけでなく、誰に対してでもすることができます。法人に遺贈することもできます(なお、遺贈を受ける人を「受遺者」といいます)。

遺贈する場合は、遺贈する旨を遺言します。

相続人に遺言で財産を譲与したい場合は、遺贈のほか、相続させる旨の遺言をする方法があります。

遺贈よりも相続させる旨の遺言の方が相続開始後の手続面において有利なので、相続人に対して遺言で財産を譲与する場合は、遺贈ではなく相続させる旨の遺言の方をお勧めします。

「相続させる」と「遺贈する」の違いについて詳しくは、関連記事をご覧ください。

一方、相続人以外の人に対して遺言によって財産を譲与する場合、相続させる旨の遺言をすることはできず、遺贈のみが選択肢となります。

遺贈は、遺言者の死亡の時から効力を生じます。遺言者の存命中には遺贈の効力は生じません。

また、受遺者となるはずであった人が被相続人(亡くなった人)よりも先に亡くなっても、受遺者となるはずであった人の子が代襲して受遺者となることはありません。

なお、遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。

包括遺贈とは?

包括遺贈とは、財産の全部又は一部を包括的に遺贈するもので、財産に対する一定の割合を示してする遺贈をいいます。

包括遺贈を受ける人を包括受遺者といいますが、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します。

つまり、被相続人の権利義務を包括的に承継することから、包括受遺者は、相続財産に対して相続人とともに遺産共有の状態となり、債務も承継し、遺産分割に参加することになります。

包括遺贈の受遺者は、相続人と同様、遺贈の放棄(相続人でいうところの相続放棄)、受遺分の譲渡(相続人でいうところの相続分の譲渡)、受遺分の放棄(相続人でいうところの相続分の放棄)ができます。

遺贈の放棄は原則3か月の熟慮期間内に家庭裁判所に申述しなければなりません。

包括遺贈を放棄した場合、その受遺分は、各相続人が法定相続分に応じて相続権を取得します(他の包括受遺者の受遺分は増えません)。

なお、遺言の中で財産に対する一定の割合を示されていても、相続させる旨の遺言の場合は、包括遺贈ではなく、遺言による相続分の指定です(つまり、遺贈ではなく相続です)。

このほか、包括遺贈について、以下の点にご注意ください。

  • 包括遺贈では寄与分や特別受益の規定の適用はない
  • 包括受遺者は遺留分をもたない

このように、相続手続きには理解の難しい仕組みや制度がたくさんあります。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門家に相談してみることをご検討ください。

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特定遺贈とは?

特定遺贈とは、特定の物や権利、あるいは一定額の金銭を与えるというように、財産を特定してする遺贈(割合で示されていない遺贈)をいいます。

受遺者は、その特定された財産を取得することができますが、それ以外の財産を取得するものではなく、また、遺言にない債務を承継することもありません。

特定遺贈を放棄する場合は、包括遺贈の場合のような家庭裁判所での手続きは不要で、相続人等の遺贈義務者に放棄の意思表示をすれば足ります。

放棄の期限は原則としてありませんが、利害関係人が十分な期間を定めて催告したときは、その期間内に放棄の意思表示しなければ承認したことになります。

また、相続開始前に、被相続人が特定遺贈の対象財産を手放していた場合は、遺言のその部分については無効になります。

なお、特定の財産について相続させる旨の遺言がなされた場合は、特定遺贈ではなく、遺言による遺産分割方法の指定です(つまり、遺贈ではなく相続です)。

包括遺贈と特定遺贈の違い

包括遺贈と特定遺贈には、下表のような違いがあります。

包括遺贈特定遺贈
遺贈される財産一定割合の財産特定の財産
遺言書作成時から相続開始までの間の財産の変容による影響取得する割合に変わりはない被相続人が遺贈する財産を失った場合は、その部分について無効
相続債務負う負わない
放棄の方法家庭裁判所に放棄の申述をする相続人等の遺贈義務者に放棄の意思を表示する
放棄の期限受遺者となったことを知った時から3か月以内
※申立てにより伸長可能
原則として無期限
※催告を受けたときは、その期限内
不動産取得税かからないかかる

不動産取得税については詳しくは後述します。

包括遺贈の種類

包括遺贈は、次の4つに分けることができます。

  • 全部包括遺贈
  • 割合的包括遺贈
  • 特定財産を除いた財産についての包括遺贈
  • 清算型包括遺贈

以下、それぞれについて説明します。

全部包括遺贈

全部包括遺贈とは、消極財産も含めて全財産を包括して遺贈することです。

例えば、「全財産を○○に遺贈する。」というような遺贈がこれに当たります。

この場合、すべての財産を一人の受遺者が単独で取得するため、遺産分割を行う必要はありません。

また、全部包括遺贈の遺言の例文を紹介します。

第○条

遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、次の者に遺贈する。

○山○男(昭和○年○月○日生、○○県○○市○○町○丁目○番○号)

割合的包括遺贈

割合的包括遺贈とは、全財産の割合的な一部を包括して遺贈することで、一部包括遺贈ともいいます。

例えば、「全財産の3分の2を○○に、3分の1を××に遺贈する。」というような遺贈がこれに当たります。

この場合、割合的な一部を受け取った受遺者の中で遺産分割を行うことになります。

また、割的包括遺贈の遺言の例文を紹介します。

第○条

遺言者は、遺言者の有するすべての財産について、次の者に、次の割合で遺贈する。

○山○男(昭和○年○月○日生、○○県○○市○○町○丁目○番○号) 5分の3

○田○子(昭和○年○月○日生、○○県○○市○○町○丁目○番○号) 5分の2

なお、以下のように相続分の指定と割合的包括遺贈とを組み合わせることもできます。

第○条

遺言者は、遺言者の有するすべての財産の5分の3を妻○田○子に相続させる。

第○条

遺言者は、遺言者の有するすべての財産の5分の2を○山○男(昭和○年○月○日生、○○県○○市○○町○丁目○番○号)に遺贈する。

特定財産を除いた財産についての包括遺贈

特定財産を除いた財産についての包括遺贈とは、特定遺贈(対象となる財産を特定して行われる遺贈)と包括遺贈の併存型の遺贈のうち包括遺贈の部分の遺贈のことです。

例えば、「○○県○○市○○町〇丁目〇番〇号の土地をAに、その余の財産のすべてをBに遺贈する。」というような遺贈におけるBに対する遺贈がこれに当たります。

この場合、特定財産を除いた財産の割合的な一部を受け取った受遺者が一人の場合は遺産分割を行う必要はありませんが、そのような受遺者が複数存在する場合(例えば、上記の例でAの取得する土地以外の財産について、BとCがそれぞれ2分の1ずつの割合で遺贈を受けた場合)には遺産分割協議を行うことになります。

なお、特定財産を除く遺産についての遺贈が包括遺贈に当たるかどうかについては、法律で決まっているわけではなく、東京地方裁判所の平成10年6月26日判決において、次のように判示されました。

「特定財産を除く相続財産(全部)」という形で範囲を示された財産の遺贈であっても、それが積極、消極財産を包括して承継させる趣旨のものであるときは、相続分に対応すべき割合が明示されていないとしても、包括遺贈に該当するものと解するのが相当である

したがって、特定財産を除く遺産についての遺贈も、積極、消極財産(プラスの財産と借金等のマイナスの財産)を包括して承継させる趣旨のものである場合は、包括遺贈に当たると解されます。

また、特例財産を除いた財産についての包括遺贈の遺言の例文を紹介します。

第○条

遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を長男○山○男(昭和○年○月○日生)に相続させる。

所  在   東京都〇〇区○〇町○丁目

地  番   ○番○

地  目   宅地

地  積   ○○.○○㎡

所  在   東京都〇〇区○〇町○丁目○番○

家屋番号   ○番○

種  類   居宅

構  造   木造スレート葺2階建

床 面 積   1階 ○○.○○㎡

      2階 ○○.○○㎡

第○条

遺言者は、遺言者が有する財産のうち、前条に掲げる不動産を除くすべての財産を、○田○子(昭和○年○月○日生、○○県○○市○○町○丁目○番○号)に遺贈する。

清算型包括遺贈

清算型遺贈とは遺産を処分した処分金を受遺者に分配するものをいいますが。清算型遺贈の中でも、分配する割合を示して行うものを清算型包括遺贈といいます。

例えば、「下記の不動産を処分し、処分した代金の3分の2を甲に、3分の1を乙にそれぞれ遺贈する」というような遺贈がこれにあたります。

すべての遺産を対象とする場合や、上の例の様に、特定の遺産のみを対象とする場合があります。

また、清算型包括遺贈の遺言の例文を紹介します。

第○条

遺言者は、遺言者の有するすべての財産を換価した上で、葬儀費用、遺言執行費用、売却手数料、不動産登記費用、不動産譲渡所得税等の費用及び負債を控除した残額を○山○男(昭和○年○月○日生、○○県○○市○○町○丁目○番○号)遺贈する。

包括遺贈により取得した不動産の登記

包括遺贈により取得した不動産の登記について説明します。

全部包括遺贈の場合は、遺産を一人の受遺者が単独で取得するので、遺贈を登記原因として、被相続人からその受遺者への所有権移転登記をします。

一方、割合的包括遺贈の場合は、複数の受遺者がそれぞれの受遺分に応じた持分で遺産を共有するので、同じく遺贈を登記原因として、共有名義で登記します。

その後、遺産分割協議によって、受遺者の一人が単独で取得することになったときは、遺産分割を登記原因とした持分移転登記をします。

このとき、遺贈を登記原因とする共有名義での登記を省略することができるかという疑問が生じえますが、この点については、このような中間省略登記はできないと解されています。

また、割合的包括受遺者と相続人との間の共有状態を登記する場合は、先に遺贈による一部移転を、その後に相続による残部の移転を申請しなければなりません。

なお、このように割合的包括受遺者と相続人がいる場合において、共有状態の登記を省略して、遺産分割協議の結果、その不動産を取得することになった人に、直接、登記を移転できるについては、受遺者が取得することになった場合は中間省略登記はできず、相続人が取得することになった場合は、中間省略登記が可能ということになります。

また、遺贈を登記原因とした登記は、登記権利者と登記義務者が共同で申請しなければなりません。

遺贈を登記原因とした登記の場合、登記権利者は受遺者で、登記義務者は、遺言執行者が選任されている場合は遺言執行者であり、選任されていない場合は相続人全員です。

遺言執行者とは、遺言内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。

登記申請書の用紙と記入例は、以下のリンクからダウンロードすることができます。

公正証書遺言がある場合

自筆証書遺言がある場合

遺産分割した場合

また、申請には、次の附属書類が必要です。

  • 被相続人の死亡した記載のある戸籍謄本または除籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 受遺者の現在の戸籍謄本
  • 受遺者の住民票
  • 最新年度の固定資産税評価証明書または固定資産税納税通知書
  • 遺言書(自筆証書遺言等の場合は検認済みのもの)

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包括遺贈にかかる税

包括遺贈にかかる相続税

包括受遺者には、相続人と同様、相続税がかかります。

包括受遺者の数は、相続税の基礎控除額の算定の基礎となる法定相続人の数に含まないので、ご注意ください。

相続税の計算方法については、関連記事をご参照ください。

包括遺贈にかかる登録免許税

登録免許税とは、不動産登記の際にかかる税です。

遺贈(包括遺贈でも特定遺贈でも)の場合の登録免許税は、「標準課税×2%」です。

登録免許税の標準課税は、宅地や宅地比準土地の場合も含めて、固定資産税評価額です(2分の1はありません)。

包括遺贈の場合は不動産取得税はかからない

不動産取得税とは、不動産を取得した場合にかかる税ですが、相続や包括遺贈の場合は、不動産取得税はかかりません。

なお、特定遺贈の場合は、以下の不動産取得税がかかります。

  • 土地及び住宅家屋:標準課税×3%
  • 事務所・店舗等の家屋:標準課税×4%

不動産取得税の標準課税は、宅地及び宅地比準土地に該当するものは「固定資産税評価額×2分の1」で、それ以外は固定資産税評価額です。

なお、不動産取得税には軽減措置があるので、特定遺贈で不動産を取得した場合は、軽減措置について、各都道府県の税金に関する問い合わせ窓口(不動産取得税は国税ではないので、税務署では答えられません。)か、税理士に確認するとよいでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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