二次相続とは?相続税対策のポイントを徹底解説!

二次相続での節税方法

二次相続とは、一般的には配偶者に先立たれた人が亡くなった際の相続を意味します。(配偶者が亡くなったときの相続が一次相続となります)。

一次相続で相続税対策を誤ると二次相続のとき相続税が高くなってしまうことがあります。

例えば一次相続で「配偶者の税額控除」を利用した場合、配偶者の取得分が1億6,000万円までであれば配偶者には相続税がかかりません。しかし、一次相続で配偶者が多くの遺産を取得すると、配偶者自身の財産に一次相続の相続財産が加わって、二次相続における税率が高くなるのです。

他にも「小規模宅地の特例」があります。これは一定の条件を満たせば、土地の評価額を最大8割引にしてくれる制度です。

適用できる土地は330平方メートルと決まっているので、上記の「配偶者の税額控除」を利用できる場合は、子が相続する土地に特例を適用させた方が節税になることが多いです。

つまり相続税対策は一次相続の時点から二次相続のことまで考慮して行うほうが良いと言えます。早め早めに対策を講じましょう。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年4月3日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

二次相続とは?

二次相続という言葉は、法律用語ではないので、正確な定義はなく、様々な意味で使用されていますが、一般的な意味としては、配偶者に先立たれた人が亡くなった際の相続のことをいいます。

例えば、夫が先に亡くなり、次に妻が亡くなったとします。この場合、夫の相続を一次相続、妻の相続を二次相続といいます。この記事では、夫婦間に限定した意味で、「二次相続」という言葉を使用することにし、解説します。

ちなみに、より広い意味では、夫婦に限らずある相続の相続人が亡くなった際の相続について、二次相続ということがあります(初めの相続を一次相続といいます)。

例えば、ある人が亡くなって相続が生じ、被相続人の子が相続人となったとします(一次相続)。一次相続の相続人がさらに亡くなって生じた相続のことを二次相続という場合があります。こちらの意味の二次相続については、関連記事をご覧ください。

二次相続対策

相続財産は、相続税の課税対象となりますが、相続税は賢く対策することで節税することができます。

ところが、一次相続時に行った相続税対策のために二次相続の相続税が高額になり、トータルすると、何も対策しなかった方がむしろ相続税が安く済んだというケースも起こりえます。

一次相続の相続税をできるだけ低くするためには、「配偶者の税額軽減」(相続税の配偶者控除)を最大限活用するために、配偶者が遺産の多くを取得すべきなのですが、そうすると、二次相続の相続税が高額になってしまうのです。

「配偶者の税額軽減」を活用すると一次相続の相続税の節税になる

「配偶者の税額軽減」(相続税の配偶者控除)を活用することで、一次相続の相続税の節税になります。
「配偶者の税額軽減」(相続税の配偶者控除)とは、配偶者相続人だけが利用できる制度で、遺産分割や遺贈により取得した遺産額から、配偶者の法定相続分か16,000万円のいずれか大きい方の金額を差し引いて、残った金額にのみ課税するという制度です。差し引く金額の方が大きい場合は、課税されません。

つまり、法定相続分の範囲内で遺産分割や遺贈を受ける分においては、相続税が課されることはなく、また、法定相続分を超えて遺産を取得したとしても16,000万円までは課税されないということです。

そうすると、一次相続の相続人の組み合わせが配偶者と子(子が複数でも同じ)であれば、一次相続の節税だけを考えれば、次の表のように遺産を分配すると最も節税になることになります。

課税価格の合計額 一次相続の相続税額が最も低くなる配偶者の取得する課税価格
16,000万円 課税価格の合計額の全額
16,000万円 ~ 32,000万円 16,000万円
32,000万円 ~ 課税価格の合計額の2分の1に相当する額

つまり、最低でも16千万円までは配偶者に取得させた方が、一次相続の相続税額は低くなるわけです。

一次相続で配偶者の取得分が多いと、二次相続で相続税が高くなる

このように、一次相続で節税するためには配偶者が遺産の多くを取得すべきなのですが、そうすると、二次相続の相続税が高額になってしまいます。

これには、次の2つの事情が関係します。

  • 二次相続では一次相続よりも法定相続人の数が減ることで、相続税の基礎控除額も減り、税率が高くなる可能性が高い
  • 二次相続の被相続人に固有の財産(一次相続の相続財産以外の財産)がある場合、二次相続の相続税率が一次相続よりも高くなる可能性が高い

二次相続では法定相続人が減ることで基礎控除額が減り税率が高くなる

一次相続だけを見ると、配偶者の税額軽減を最大限活用した方が節税になりますが、前述のとおり、二次相続まで考えると、一次相続で配偶者に多くの遺産を取得させることは、得策ではありません。

なぜなら、二次相続では法定相続人の数が通常1人減るので、それに伴って、基礎控除額が減り、また、税率が高くなるため、基礎控除額が高く税率が低い一次相続の際に、子に財産を渡してあげた方がトータルで見ると相続税が低く抑えられるのです。

基礎控除とは

なぜ、法定相続人が減ると、基礎控除額が減り税率が高くなるのでしょうか。その仕組みについて説明します。まず、基礎控除額の仕組みから説明します。

相続税額を計算する際は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めることができます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

つまり、法定相続人の数が多ければ、その分、基礎控除額も高くなります。

そして、基礎控除額が高くなれば、課税される遺産の総額が低くなり、課税される遺産の総額が低くなれば、相続税額も低くなります。すなわち、法定相続人の数が多ければ、相続税額が低くなるわけです。

事例

夫婦の間に子が1人という家庭の例で考えてみましょう。まず、夫が亡くなったとします(一次相続)。

夫の相続の法定相続人は、妻と子の2人で、基礎控除額は4,200万円(=3,000万円+600万円×2人)になります。

次に、妻が亡くなったとします(二次相続)。

妻の相続の法定相続人は、子の1人だけで、基礎控除額は3,600万円(=3,000万円+600万円×1人)になります。

次に、税率について説明します。

相続税の税率は、法定相続分に応ずる取得金額に応じて、下表のようになっています。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10
1,000万円超3,000万円以下 15 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20 200万円
5,000万円超1億円以下 30 700万円
1億円超2億円以下 40 1,700万円
2億円超3億円以下 45 2,700万円
3億円超6億円以下 50 4,200万円
6億円超 55 7,200万円

このように、法定相続分に応ずる取得金額が低くければ、税率も低くなります(このような税制を「累進課税」といいます 

相続人が多ければ、各相続人の法定相続分に応ずる取得金額も自ずと低くなるので、税率も低くなります。

このように、二次相続よりも一次相続の方が基礎控除額が高くなるので、一次相続で配偶者の税額軽減を目一杯活用しようとすると、二次相続まで含めて考えると相続税が高くなる可能性が高いのです。

相続税の仕組みや計算方法には難しい点がたくさんあります。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門の税理士などに相談してみることをご検討ください。

パターンごとの相続税

例を挙げてシミュレーションしてみましょう。

先ほど例の家族構成で課税価格の合計額が1億6,000万円であったとします。

この場合に、一次相続の妻と子の相続分を次の3つのパターンに分けて、それぞれ相続税をシミュレーションしてみます。

  • 妻が全額
  • 子が全額
  • 妻が3,600万円、子が12,400万円

なお、以下の前提でシミュレーションします。

  • 妻の固有の財産はないものとします
  • 一次相続で妻が相続した財産は、二次相続までの間に目減りしないものとします
  • 一次相続から二次相続までの期間は10年以上とします(つまり相次相続控除の対象外)
  • 子は成年者とします(つまり、未成年者控除の対象外)
  • 障害者控除と贈与税額控除の適用はないものとします
妻が全額

まず、妻が全額を取得するパターンから計算します。

  • 一次相続の相続税:0円(配偶者の税額軽減により全額が控除されるため)
  • 二次相続の相続税:3,260万円
  • 一次相続と二次相続の相続税の合計額:3,260万円
子が全額

次に、子が全額を取得するパターンについて計算します。

  • 一次相続の相続税額:2,140万円
  • 二次相続の相続税額:0円(相続財産がないため)
  • 一次相続と二次相続の相続税の合計額:2,140万円
妻が3600万円、子が12,400万円

最後に、二次相続の基礎控除額を最大限活用するために、妻が3,600万円、子が12,400万円を取得するパターンについて計算します。

  • 一次相続の相続税額:1,658.5万円
  • 二次相続の相続税額:0円(相続財産が基礎控除額の枠内に収まるため)
  • 一次相続と二次相続の相続税の合計額:1,658.5万円

このように、二次相続の基礎控除額分だけ、一次相続で配偶者が相続し、それ以外は子が相続すると、一次相続と二次相続の相続税の合計額が最も低くなることが分かります。

配偶者に固有の財産がある場合、二次相続では税率が高くなる可能性が高い

二次相続では法定相続人が減るため税率が高くなることは先ほど説明しました。加えて配偶者に固有の財産がある場合に、一次相続で配偶者が多くの遺産を取得すると、さらに、二次相続では税率が高くなります。

前述のとおり、相続税は累進課税になっていて、遺産が多ければ多いほど、税率も高くなります。

配偶者に固有の財産がある場合に、一次相続において配偶者が多くの遺産を取得すると、配偶者の固有の財産に一次相続の相続財産が加わって、二次相続における税率が高くなってしまうのです。

小規模宅地等の特例を適用する土地は子が相続した方が節税効果が高い

「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった人の自宅の土地や、亡くなった人が事業に使っていた土地を相続する場合に、一定の条件を満たせば、相続税を計算する際の土地の評価額を最大8割引にしてくれる制度です。

小規模宅地等の特例は、居住用宅地の場合、330平方メートルまで適用を受けることができます。

居住用宅地が複数あり合計の面積が330平方メートルを超える場合は、どの土地に特例を適用させるかを、相続人が決めることができます。

配偶者が相続する土地と子が相続する土地がある場合は、子が相続する土地に特例を適用させた方が節税になるケースが多いです。

配偶者には「配偶者の税額軽減」があるため、配偶者の相続する土地に特例を適用させなくても、配偶者には相続税がかからないケースが多いからです。

例えば、330平方メートルの居住用宅地が2筆あった場合(土地は1筆、2筆と数えます)、一つは配偶者が相続して、もう一つは子が相続し、子が相続する方の土地に特例を適用させた方がよいです。

配偶者が相続した方の土地は、多くのケースでは、「配偶者の税額軽減」によって相続税がかかりません。

そして、二次相続が生じた際には、配偶者が相続した土地を子が相続し、その時、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

つまり、二次相続まで考えると、660平方メートルの居住用宅地について、小規模宅地等の特例の適用を受けることができるのです。ただし、子が相続した土地に小規模宅地等の特例の適用させるためには、一定の要件を満たす必要があります。

生命保険金の受取人は配偶者でなく子に

生命保険は相続税対策として活用することが可です。

保険金の受取人が相続人の場合は、保険金のうち一定額までは非課税となるためです。

非課税限度額は、次の式で計算することができます。

500万円×法定相続人の数

受取人を配偶者にしていると、二次相続まで含めると相続税が高くなる可能性が高いので、相続税対策として生命保険を活用する場合は、受取人を子にした方がよいでしょう。

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この記事を書いた人

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