弁護士監修記事

連帯保証人の地位を相続しない方法と相続してしまった場合の対処法

亡くなった親が他人の連帯保証人になっていた場合、相続人である子は連帯保証人としての地位まで相続することになるのでしょうか?

連帯保証人としての地位を相続することを免れるためには、どうすればよいのでしょうか?

また、連帯保証人としての地位を相続してしまった場合はどうすればよいのでしょうか?

この記事では、このような疑問を解消し、最適な行動をとるためにはどうすればよいか、わかりやすく説明します。

是非参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

保証人とは?

保証人とは?

保証人とは、主たる債務者が弁済期日になっても債務を債権者に弁済しない場合に、主たる債務者に代わって債権者に債務を弁済することを約束する人のことです。

主たる債務とは、ある人の債務を他の人が保証する場合に保証を受ける債務のことです。

なお、保証人が負う債務のことを保証債務といいます。

例えば、AがB銀行から借金をしてCさんが保証人になったとします。

この場合、AのB銀行に対する借金の返済債務のことを主たる債務、CさんがAさんに代わって弁済する債務のことを保証債務といいます。

そして、Aさんのことを主たる債務者(「主債務者」ともいいます)、Cさんのことを保証人、B銀行のことを債権者と言います。

保証人には主たる種類として次の4つがあります。

  • 単純保証人
  • 連帯保証人
  • 根保証人
  • 身元保証人

以下、それぞれについて説明します。

単純保証人

単純保証人は、冒頭で説明した保証人のことです。

単純保証人というのは、正式な用語ではなく、正式には「保証人」ですが、連帯保証人等の他の保証人と区別するために、単純保証人とよぶことがあります。

単純保証人には、催告の抗弁権と、検索の抗弁権が認められています。

催告の抗弁とは、債権者に対して、主債務者への請求を求めることです。

検索の抗弁とは、主債務者が資産を持っていることを知っている場合に、債権者に主債務者の資産を知らせて、その資産に対して強制執行することを求めることです。

つまり、単純承認の場合は、主債務者が無資力である等、主債務者から回収できない場合などに保証人に弁済義務が生じます。

連帯保証人

一方、連帯保証人には、催告の抗弁権も検索の抗弁権も認められておらず、債権者は、主債務者からでも、連帯保証人からでも、回収しやすそうな方に請求することができます。

根保証人

根保証とは、主債務者が債権者に対して負う一定範囲の金銭債務に対して、一定限度額まで枠として保証するものです。

普通の保証は単一の債務について保証するため、主債務が弁済されれば保証債務も消滅しますが、根保証の場合は債務の枠について保証するため、個別の債務が弁済されても根保証債務は消滅しません。

借り入れと弁済が繰り返される事業資金の借り入れ等では、借り入れごとに保証を依頼するのは面倒なので、根保証が利用される傾向があります。

身元保証人

身元保証は、就職の際に会社等の雇用主から求めされる保証で、被用者(就職する人)の行為によって雇用主が受けた損害に対する保証のことをいいます。

例えば、被用者が会社のお金を横領して使い込んだり、被用者が仕事中に交通事故を起こして人をひいてしまったりした場合に、それによる損害を被用者が賠償することができない場合は、一般的に身元保証人が賠償することになります(ただし特に会社等との契約により身元保証人が全額支払うか、どのような場合に支払うか等が定められている場合には当該契約によります)。

保証人の地位は相続される?

保証人の地位は、相続される場合と相続されない場合があります。

単純保証人と連帯保証人の地位は相続されますが、根保証人や身元保証人の地位は相続されません。

つまり、被相続人(亡くなった人)が誰かの債務の単純保証人や連帯保証人になっていた場合、相続開始後は、相続人が保証人になります。

根保証や身元保証の場合は、保証人の地位は相続されない場合がありますが、既に確定的に存在している保証債務については相続すると解されています。

例えば、AがB銀行から融資を受ける際にCが根保証人になったとします。

2018年7月にAはB銀行から1000万円を借り、2018年8月にCが亡くなってDが相続し、2018年9月にAはB銀行から500万円を借りたとします。

この場合、Dが保証しなければならないのは2018年7月分の1000万円のみで、相続開始後である2018年9月に借り入れた500万円について保証債務は負いません。

また、例えば、AがB社に就職する際に、Cが身元保証人になったとします。

2018年7月にAが仕事中に交通事故を起こしてB社に1000万円の損害を与え、2018年8月にCが亡くなってDが相続し、2018年9月にAはB社の500万円を横領したとします。

この場合も、Dが保証しなければならないのは、2018年7月分の1000万円分のみで、相続開始後である2018年9月に横領した500万円の損害については保証債務を負わないと解するのが通説です。

被相続人が連帯保証人となっているかどうかを調べる方法

連帯保証人となる場合は、法律上、金銭消費貸借契約書の連帯保証人欄に署名して押印しなければなりません。

そしてその場合には、連帯保証人の分の契約書も作成されるので、通常は連帯保証人も契約書を保管しているはずです。

ですので、被相続人が大切な書類を保管している場所に、金銭消費貸借契約書がないかどうかを探してみるとよいでしょう。

金銭消費貸借契約書が見つからない場合は、債権者から相続人に督促があって初めて被相続人が連帯保証人になっていたことを相続人が知ることが多いです。

連帯保証人の地位を相続しない方法

相続放棄を行えば、連帯保証人の地位を相続しなくてもよくなります。

なお、相続放棄を行うと、連帯保証人の地位だけでなく、すべての財産を相続することができなくなります。

ですので、積極財産(プラスの財産)が保証債務を含めた消極財産(負債、マイナスの財産)よりも大きい場合は、負債をすべて弁済しても相続財産が残るので、相続放棄をせずに相続した方が得です。

相続放棄について詳しくは「相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点」をご参照ください。

なお、積極財産と消極財産のどちらが大きいか不明な場合は、積極財産の限度で消極財産の弁済を行えばよい限定承認をいう方法もあります。

限定承認について詳しくは「限定承認のメリット・デメリットと利用すべき場合や手続きの流れ」をご参照ください。

なお、相続放棄にも限定承認にも熟慮期間という期限があります。

熟慮期間は、原則として相続開始を知った時(通常は被相続人が亡くなった時)から3か月です。

手続をすれば期限を延ばすこともできますが、期限を延ばす手続も熟慮期間内に行わなければなりません。

ただし、熟慮期間が過ぎた後に消極財産が見つかった場合等、熟慮期間後でも相続放棄や限定承認が認められる場合がありますが、そう簡単に認められるものではないので、熟慮期間中に財産調査を行い、相続放棄をするかどうかを判断するようにしましょう。

なお、相続財産の調査方法については、「相続財産とは何?相続の対象となる財産と相続税の対象となる財産」の「相続財産の調査方法」の項目をご参照ください。

連帯保証人の地位を相続した場合の対処法

熟慮期間が過ぎてしまい相続放棄や限定承認を行うことができなくなってしまった場合や、積極財産の方が大きいので相続することにした場合は、連帯保証人としての地位を相続することになります。

主債務者や他の保証人への求償

弁済期日以降は、遅延損害金が生じている可能性が高いので、なるべく早く弁済してしまった方がよいでしょう。

弁済した金額は、主債務者に求償することができます。

保証人が他にもいる場合は、他の保証人に求償することもできます。

他の保証人に求償する場合、誰がいくら負担するかについて、保証人間で合意があればその合意によって決まり、合意がない場合には各保証人の受益の割合により定まり、受益の割合が不明な場合は各保証人平等に負担します。

平等負担に落ち着くことが多いと思いますが、その場合、例えば、保証人が自分を含めて2人なら、もう1人の保証人に半額を求償することができます。

なお、債権者に弁済する前に、主債務者や他の保証人に、念のため弁済する旨を伝えておいた方がよいでしょう。

その際は、配達証明付き内容証明郵便で通知すると、後から「言った」「言わない」で揉めずに済みます。

債権者との交渉、個人民事再生、自己破産

一括弁済するお金がない場合は、減額や分割払いについて債権者と交渉した方がよいでしょう。

弁済可能なラインで交渉をまとめることができなかった場合は、個人民事再生や自己破産の手続きを検討することになるでしょう。

その場合、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

相続人が被相続人の連帯保証人の場合

これまで説明してきたケースとは別で、被相続人が主債務者で、相続人が連帯保証人の場合について説明します。

このケースでは、相続の対象は相続人の主債務者としての地位です。

相続人が1人しかいない場合は、相続によって主債務者と保証人が同じ人になるので、保証債務は消滅して、相続人は主債務者となります。

相続人が複数いる場合は、法定相続分に応じて債務を相続することになります(法定相続分については「法定相続分とは?相続人の組み合わせパターン別法定相続分の計算方法」参照)。

例えば、相続人が被相続人の子2人AとBの場合、AとBは被相続人の債務を2分の1ずつ相続します。

Aは保証人でもあった場合、保証債務のうち2分の1については、主債務者と保証人が同じ人になるので、その分の保証債務は消滅し、AとBは2分の1ずつ主債務を相続し、かつ、AはBの相続した主債務の保証人でもあります。

また、主債務は相続財産ですが保証債務は相続財産ではないので、相続放棄をすれば、主債務を負うことは免れられますが、保証債務から免れることはできません。

まとめ

以上、連帯保証人の地位を相続しない方法と相続してしまった場合の対処法について説明しました。

是非、参考にしてください。

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