弁護士監修記事

債務者が死亡したら借金はどうなる?相続人と保証人の対応策

債務者が死亡したら借金はどうなるのでしょうか?

相続人と保証人、それぞれの対応策についても、弁護士がわかりやすく説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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死亡すると自動的に完済される保険に入っている場合もある

債務者が死亡すると、保険金で残債務が支払われる契約になっているケースがあります。

特に、住宅ローンでは、団体信用生命保険(いわゆる「団信」)に加入することがほとんどで、このケースに当たります。

ただし、団信では、次のいずれかに該当する場合は、債務者が死亡しても住宅ローンが弁済されない決まりになっています。

  1. 保障の開始日から1年以内に自殺されたとき
  2. 「申込書兼告知書」に記入日(告知日)現在および過去の健康状態などについて事実を告げなかったか、または事実と異なることを告げその団信加入者に係る団信契約(金融機関と生命保険会社との保険契約をいいます。以下6から8までにおいて同じ。)が解除されたとき
  3. 故意により所定の高度障害状態になられたとき
  4. 保障の開始日前の傷害または疾病が原因で所定の高度障害状態になられたとき
    (その傷害や疾病をご加入時に告知いただいた場合でも、債務弁済の対象とはなりません。)
  5. 戦争・その他の変乱により死亡または所定の高度障害状態になられたとき
  6. 詐欺・不法取得目的により団信加入者となっていたことにより、その団信加入者に係る団信契約が取消または無効とされたとき
  7. 団信加入者について、保険金を詐取する目的で事故を招致した場合、暴力団関係者その他の反社会的勢力に該当すると認められた場合など、重大な事由があり、その団信加入者に係る団信契約が解除されたとき
  8. 団信加入者について、団信契約の存続を困難とする7と同等の重大な事由があり、その団信加入者に係る団信契約が解除されたとき
  9. 団信加入者が、住宅ローンの金銭消費貸借契約に定める反社会的勢力の排除に関する条項に抵触し、債務の全部につき期限の利益を失ったとき

債務者が死亡すると借金も相続の対象となる

団信のような保険に入っていない場合や前述のいずれかに該当し保険金が下りない場合は、死亡後に借金が残り、相続の対象となります。

相続人が複数いる場合は、原則として、法定相続分に応じて分担します(法定相続分については「法定相続分とは。相続人の組み合わせパターン別の計算方法」参照)。相続人間で協議して、誰か一人が全額負担することにする等、負担割合を変更することもできますが、これに債権者が同意しなければ、債権者は相続人間の決定に拘束されません。相続人の一人が自分が負担すべき金額を超えて弁済した場合は、その超えた金額を他の相続人に求償することができます。

なお、相続人がいない場合や相続人全員が相続を放棄した場合は、債権者等の申立てによって相続財産管理人が選任され、債権者は相続財産か弁済を受けることができますが、相続財産が十分でない場合は、全額の弁済を受けられません。

相続放棄によって借金を免れることができる

債務者の相続人は、相続放棄をすることによって、借金を免れることができますが、借金のみを相続しないということはできません。

プラスの財産も借金も全部相続しないか、全部相続するかの二者択一です。

相続放棄をする場合は、相続人が相続の開始を知ってから3か月以内に、被相続人(亡くなった人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述受理申立をしなければなりません(申立手続については「相続放棄手続きを自分で簡単に済ませて費用を節約するための全知識」参照)。

この期間が過ぎてしまったり、遺産を処分した場合等は、相続を承認したものとみなされ、放棄することができなくなります。

ただし、借金があったことを知らず、知らなかったことについて相当の理由がある場合は、放棄が認められることもあります。

例外的に放棄が認められた事例には、次のようなものがあります。

  • プラスの財産があることは知っていたが他の相続人が相続することから自分が相続する財産は全くなく、またマイナスの財産(債務)は全く存在しないと信じていたため、期限内に相続放棄の手続きをしなかったところ、実際にはマイナスの財産が存在した場合
  • 被相続人の借金について調査を尽くしたが、債権者からの誤った回答により債務は全くないと信じていたため、期限内に相続放棄の手続きをしなかったが、実際には債務が存在した場合
  • 被相続人と相続人が別居しており、別居後、被相続人が亡くなるまで全く没交渉であって、相続人は、被相続人の財産や借金について全く知らされておらず、被相続人の死亡後も、その財産の存在を知るのが困難であった状況下において、財産が全くないと信じており、相続放棄の手続きをしなかったが、実際には借金が存在した場合

このような場合に、裁判所に相続放棄を認めてもらうためには、提出書類の書き方や、裁判所からの照会に対する回答の仕方が重要になるので、期限を過ぎてしまった場合は、なるべく早く弁護士に相談することをお勧めします。

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相続放棄をすべきかどうかの判断方法

被相続人に借金があった場合は、前述のとおり、相続放棄をすることによって、借金を免れることができます。

相続放棄をすると、プラスの財産も含めて相続できなくなってしまうので、プラスの財産と借金と、トータルでどちらの額が大きいかを調査して、放棄するかどうかを決めるとよいでしょう。

調査方法については「相続財産調査の方法や費用について、わかりやすく徹底的に解説」をご参照ください。

調査には日数を要しますし、前述のとおり、相続放棄には期限があるため、なるべく早期に取り掛かかりましょう。

調査方法がよくわからない場合や、自分で調査する時間がない場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

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債務者が死亡すると保証債務は、どうなる?

債務者が死亡した場合、前述のとおり、保険金によって残債務が弁済される保険に加入している場合は、保証人が借金を肩代わりさせられることはありません。

このような保険に入っていない場合は、債務が残るので、付随して保証債務も残ります。

そして、契約書の中に「債務者が死亡したときは、連帯保証人は期限の利益を喪失し、債務の全額を直ちに弁済しなければならない」というような条項があるケースがあり、このようなケースでは、本来の返済期限が未到来であっても、債務者が死亡すると、直ちに全額弁済しなければならず、遅れると遅延損害金が生じることもあります(なお、このような条項は消費者契約法上問題があるとの指摘もなされています。)。

また、連帯保証ではない単純保証の場合は、保証人は、債権者に対して、債務を承継した相続人に先に催告することを求めることができますが、連帯保証の場合は、債権者は、連帯保証人に先に請求してもよいことになっています。

保証人が弁済した金額は、主債務者(この場合は、相続人)に求償できます。

なお、保証人が相続人でもある場合は、相続放棄をしても保証債務が残るため、債務を免れることができません。

相続放棄をしない場合は、主債務者と保証人が同じ人になりますが、債務を免れることはやはりできません。

借金が時効により消滅することもある

借金が時効により消滅することもあります。

20204月に時効に関する法改正があった

債権の消滅時効は、202041日に改正法が施行され、それより前の借金か、以降借金かによって、ルールが異なります。

2020331日以前にした借金の時効期間は、商行為によって生じた債権(会社、商人からの借金した場合)については5年、それ以外の債権(商人以外の個人や非営利団体から借金した場合)については10年です。

202041日以降にした借金の時効期間は、誰からの借金であるかを問わず5年に統一されました。

債務を承認すると時効期間がリセットされる

時効には「更新」(法改正前までは「中断」とよばれていました)と「完成猶予」(法改正前までは「停止」とよばれていました)という制度があります。

更新(中断)事由があると、時効期間のカウントがリセットされ0日に戻ります。

完成猶予(停止)事由があると、それが解消された後一定期間が経過する時点まで時効の完成が延期されます。

細かい話は割愛しますが、債務者が特に気を付けるべき点としては、債務を承認した場合は、時効は更新(中断)事由となるということです。

債務の一部でも弁済したり、支払いの猶予を申し入れたりすると、債務を承認したとして、時効期間のカウントが0日からやり直しになってしまいます。

相続前に進行していた時効期間は引き継げる

相続後も被相続人の生前に進行していた時効期間を引き継ぐので、例えば、相続開始の3年前に最後の返済があり、この時点から時効期間がスタートしていたとしたら、相続後2年で時効が完成することになります(時効期間が5年の場合)。

時効を援用しなければ消滅しない

時効期間が過ぎて時効が完成しても、時効を援用しなければ、債権は消滅しません。

時効の援用とは、債権を時効によって消滅させるという意思を債権者に対して表示することです。

保証人も時効を援用できる

主債務者が時効を援用すると、債権が消滅するので、保証人も保証債務から免れることができます。

また、保証人は、主債務者の時効を援用することもできますし、保証債務の時効を援用することをできます。

保証人が主債務の時効を援用すると、保証人は保証債務から免れることができますが、主債務者が主債務から免れるためには自ら主債務の時効を援用する必要があります。

保証人が保証債務の時効を援用した場合は、保証人は保証債務から免れることができますが、主債務者は主債務から免れることはできません。

また、保証人が複数人いる場合に、保証人の一人が主債務の時効を援用しても、他の保証人が自ら時効の援用をしないと、他の保証人の保証債務はそのままです。

なお、主債務者に時効の更新(中断)事由があった場合は、保証人の時効も更新(中断)されますが、保証人の時効に更新(中断)事由があっても原則として主債務者や他の保証人の時効は更新(中断)されません。

債務整理により返済額を減らせる場合がある

相続放棄をしない場合は、借金を相続することになりますが、債務整理をすることによって、返済期限を延ばしたり、借金を減額することができる場合があります。

また、被相続人が借金を返済し過ぎていて過払い金が発生しているというケースもあります。

そのようなケースでは、過払い金の請求権についても相続人が相続しているので、相続人は貸金業者等に過払い金の返還を請求することができます。

過払い金の請求権は、一定期間を経過すると、時効によって消滅してしまうので、過払い金が生じている可能性がある場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士は、遺産相続だけでなく、債務整理や過払い金の請求についても相談することができる法律のスペシャリストです。

債務整理や過払い金の請求についても相談してみるとよいでしょう。

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まとめ

以上、債務者死亡後の借金について説明しました。

被相続人に借金があった場合や、あったかもしれない場合は、前述のとおり、相続放棄を検討するために、相続財産を調査すべきです。

相続放棄には期限があるので、弁護士に相談する等して、早めに調査に取り掛かりましょう。

また、被相続人に過払いがあった場合は、相続人が過払い金を受け取ることができます。

弁護士に相談して、過払い金がないかや、債務整理をすることによって借金が減らないか等、相続放棄と併せて様々な選択肢を検討するとよいでしょう。

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