弁護士監修記事

遺産相続の弁護士費用の相場や誰が払うか等について詳しく説明

こじれにこじれた相続問題も、弁護士に相談・依頼することで、案外、すんなりと解決できることがあります。

しかし、弁護士に依頼すると高額な費用がかかるのではないかと心配な方も多いでしょう。

そこで、この記事では、遺産相続の弁護士費用について、わかりやすく丁寧に説明します。

記事の後半では、設例に沿った具体的な計算方法についても説明しますので、是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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遺産相続の弁護士費用の相場

弁護士費用は、以前(20043月まで)は、日本弁護士連合会(日弁連)の報酬等基準規定(旧規定)に定められていましたが、現在は、このような基準はなく、各事務所が自由に報酬を決められるようになっています。

しかし、現在でも、日弁連の旧規定を参考に報酬を決める事務所が多いため、旧規定が実質的に弁護士費用の相場となっていますので、この記事でも、旧規定を基に説明します。

弁護士費用には、次のようなものがあります。

  • 法律相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 手数料
  • 日当
  • 実費

以下、それぞれについて説明します。

法律相談料

法律相談料の相場は次の表のとおりです。

初回市民法律相談料30分ごとに5000円から1万円の範囲内の一定額
一般法律相談料30分ごとに5000円以上2万5000円以下

初回市民法律相談とは、事業以外に関し個人から受ける初回の法律相談のことで、一般法律相談とは初回市民法律相談以外の法律相談のことです

しかし、現在では、初回の法律相談を無料としている事務所も多く見られるようになっています。

当サイトには初回の法律相談を無料としている事務所が多数掲載されているので、弁護士による無料相談を希望する方は、以下のリンク先ページを確認するとよいでしょう。

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着手金、報酬金

着手金や報酬金の対象となるのは、主に、利害の対立する相手方との交渉、調停、裁判等が必要な場合です。

例えば、遺産分割協議や遺留分侵害額請求等が該当します。

着手金や報酬金の対象とならないのは、遺言書の作成、遺言執行、相続放棄等のように当事者間に実質的に争いのないケースでの事務的な手続を依頼する場合です。

これらは、後述する「手数料」の対象となります。

着手金は、弁護士に事件を依頼した段階で支払うもので、事件の結果に関係なく、つまり不成功に終わっても返還されません。

報酬金は、事件が成功に終わった場合、事件終了の段階で支払うものです。

成功というのは一部成功の場合も含まれ、その度合いに応じて支払いますが、まったく不成功(裁判でいえば全面敗訴)の場合は支払う必要はありません。

着手金と報酬金は、経済的利益の額に応じて変動するのが一般的で、裁判になった場合の相場は次の表のとおりです。

経済的利益の額は、例えば、遺産分割請求事件であれば、対象となる相続分の時価相当額となりますが、分割の対象となる財産の範囲又は相続分についての争いのない部分については、相続分の時価の3 分の1の額となります。

表中の「%」は、経済的利益の額に対する割合です。

経済的利益の額着手金報酬金
300万円以下8%
※ただし最低10万円
16%
300万円超3000万円以下5%+9万円10%+18万円
3000万円超3億円以下3%+69万円6%+138万円
3億円超2%+369万円4%+738万円

裁判にならずに、交渉や調停で決着した場合は、上表によって算定された額の3分の2程度の額になる場合があります。

手数料

手数料は、当事者間に実質的に争いのないケースでの事務的な手続を依頼する場合に支払います。

手数料を支払う場合としては書類(遺言、遺産分割協議書など)作成、遺言執行、登記などがあります。

手数料の相場は次のようになっています。

 

内容手数料の相場
遺言書作成定型10万~20万円
非定型遺産が300万円以下20万円
遺産が300万円超3000万円以下1%+17万円
遺産が3000万円超3億円以下0.3%+38万円
遺産が3億円超0.1%+98万円
特に複雑又は特殊な事情がある場合弁護士と依頼者との協議により定める額
公正証書にする場合上記の手数料に3万円を加算
遺言執行基本遺産が300万円以下30万円
遺産が300万円超3000万円以下2%+24万円
遺産が3000万円超3億円以下1%+54万円
遺産が3億円超0.5%+204万円
特に複雑又は特殊な事情がある場合弁護士と依頼者との協議により定める額
遺言執行に裁判手続を要する場合遺言執行手数料とは別に、裁判手続きに要する弁護士報酬が必要となる
遺産分割協議書・契約書等の作成
※書類作成のみ依頼した場合の手数料(遺産分割協議の代理を依頼した場合は、通常、着手金・報酬金に含まれているため不要)
定型遺産が1000万円未満5万~10万円
遺産が1000万円以上1億円未満10万~30万円
遺産が1億円以上30万円以上
非定型遺産が300万円以下10万円
遺産が300万円超3000万円以下1%+7万円
遺産が3000万円超3億円以下0.3%+28万円
遺産が3億円超0.1%+88万円
特に複雑又は特殊な事情がある場合弁護士と依頼者との協議により定める額
公正証書にする場合上記の手数料に3万円を加算

日当

日当は、弁護士が、裁判所に出廷する等、事務所以外の場所で執務する必要が生じた場合に生じる費用です。

日当を設定していない事務所もあります。

日当が設定されている場合は、どのような場合に日当が必要になるのか、依頼前に確認しておくとよいでしょう。

日当が設定されている場合の相場は下の表のとおりです。

半日(2時間超4時間以内)3万~5万円
一日(4時間超)5万~10万円

実費

実費は文字どおり事件処理のため実際に出費されるもので、裁判を起こす場合でいえば、裁判所に納める印紙代と切手代、記録謄写費用、場合によっては保証金、鑑定料などがかかり、また、出張する場合は、交通費、宿泊費がかかります。

弁護士費用は誰が払う?

弁護士費用は、弁護士に依頼した人が払います。

弁護士は、裁判所のような中立な機関ではなく、基本的には、依頼者の利益になるように業務を遂行します(法令遵守は当然ながら)。

当事者間に利害の対立がある場合、弁護士は、依頼者の利益になるように主張を組み立て、相手方と交渉するのです。

相続人全員で一人の弁護士に依頼して妥当な遺産分割方法を決めてもらうというような利用方法は、本来、予定されている弁護士の利用方法ではありませんが、このような依頼にも応じてくれる弁護士はいるでしょう。

しかし、当事者の利害が対立する中、弁護士が提案する遺産分割方法に、相続人全員が納得できないことも多いでしょう。

弁護士の提案を受け入れるかどうかは、結局は、各相続人に委ねられるのです。

なお、このような依頼をした場合に誰が弁護士費用を負担するかは、当事者である相続人で話し合って決めることになります(相続分に応じて負担するのが無難かと思われます)。

もっとも、このような利用方法であれば、家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判の手続きを利用する方が一般的といえます。

調停や審判を利用する場合も、事前に弁護士に相談した方が、有利に進められるでしょう。

遺産分割調停については「遺産分割調停前に知っておくべき調停を有利に進める方法と調停の流れ」、遺産分割審判については「遺産分割審判の流れと審判を有利に進めるために極めて重要なポイント」を、それぞれご参照ください。

弁護士費用の具体的な計算方法

旧規定による弁護士費用の具体的な計算方法について、設例に沿って説明します。

遺産の価額が12千万円で、遺言はなく、相続人が配偶者と子2人の計3人のケースで、それぞれの相続分が法定相続分どおり(配偶者6千万円、子が3千万円ずつ)であることに争いはないが、遺産の分割方法について争いがあり、子の1人が弁護士に遺産分割協議の代理を依頼した場合の弁護士費用について考えてみます。

依頼者である子の相続分の時価は3千万円ですが、相続分については争いがないので、このような場合は、着手金および報酬金の計算の元となる経済的利益の額は、相続分の時価の3 分の1の額で計算するため、「3千万円 ÷ 3 1千万円」となります。

前掲の表のとおり、経済的利益の額が300万円超3000万円以下の場合となりますので、着手金が5%+9万円で報酬金が10%+18万円で計算します。

そうすると、着手金の額は「1000万円 × 5% + 9万円 = 59万円」、報酬金の額は「1000万円 × 10% + 18万円 = 118万円」となり、合計177万円となります。

なお、裁判にならずに交渉や調停で決着した場合は、このようにして算定された額の3分の2程度の額になる場合があります。

また、遺産分割協議書の作成も併せて依頼する場合は、遺産分割協議書の作成手数料がかかる場合があります(金額については前掲の表をご参照ください)。

なお、前述のとおり、旧規定はあくまで相場を知るためのものであり、旧規定よりも高価又は安価になる独自の報酬規程を設定している事務所も多く存在します。

初回相談時に費用の計算方法を丁寧に説明してくれる事務所に依頼することをお勧めします。

遺産相続に関する無料相談を実施している弁護士事務所一覧

弁護士費用が払えない場合の対処法

弁護士費用は、前述のとおり、着手金と成功報酬に分かれていることが多いです。

成功報酬は、後払いなので、相続して遺産をもらい受けてから、もらい受けた遺産を原資に支払うことができます。

着手金は前払いなので、手持ちがないと支払うことができません。

しかし、事情を伝えれば、着手金の分割払いや後払いに応じてくれる弁護士はいると思われますので、初回の相談時に併せて相談してみるとよいでしょう。

また、収入額や資産額等の一定の要件を満たす場合は、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助を受けられる可能性があります。

民事法律扶助を受けると、費用面で次のようなメリットがあります。

  • 無料法律相談を3回まで受けられる
  • 立て替え払いを利用できる
  • 弁護士費用を通常よりも安く抑えられる可能性が高い

ただし、民事法律扶助を受ける場合は、自分で自由に弁護士を選ぶことはできず、法テラスに所属している弁護士か、法テラスと契約している弁護士に依頼しなければなりません。

また、審査に、通常、2週間ほどかかるため、急いでいる場合はおすすめできません。

このようなデメリットがあることも念頭に民事法律扶助を受けるかどうかを検討するとよいでしょう。

扶助を受けたい場合は、法テラスに詳細を確認するとよいでしょう。

法テラスサポートダイヤル:0570-078374

まとめ

以上、遺産相続の弁護士費用について説明しました。

前述のとおり、旧規定はあくまで相場を知るためのものであり、旧規定よりも高価又は安価になる独自の報酬規程を設定している事務所も多く存在します。

初回相談時に費用の計算方法を丁寧に説明してくれる事務所に依頼することをお勧めします。

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