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相続放棄しても固定資産税の納税義務が生じる場合とは?対処法は?

不動産の所有者には、固定資産税が課せられます。亡くなった人が所有していた財産は、相続開始と同時に相続人が承継します。相続人が複数いる場合は、遺産分割までは、相続人の共有に属します。

相続放棄をした場合は、初めから相続人でなかったことになります。しかし、初めから相続人でなかったことになるはずなのに、相続放棄をした人のもとに、亡くなった人が所有していた不動産の固定資産税の納税通知書が届くことがあります。その場合、相続放棄をしていても、固定資産税を納税しなければならないのでしょうか?また、納税すると、相続を承認したとみなされてしまうことはないのでしょうか?立て替えた場合は、本来納税すべき人に同じ額を請求することはできるのでしょうか?このような点について、説明します。

[ご注意]
記事は、公開日(2020年5月26日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

相続放棄すると基本的には固定資産税の納税義務はない

相続放棄をすると、基本的には固定資産税の納税義務は生じません。

ただし、法定相続登記がなされた場合、相続放棄をしても固定資産税の納税義務が生じることがあります。

以下、ケースを分類して、それぞれのケースにおいて、誰が固定資産税の納税義務者なのか説明します。

固定資産税の納税義務者は誰?

相続不動産の固定資産税は誰が払うのでしょうか?

亡くなった年以前(亡くなった年を含む)の固定資産税と、亡くなった翌年以降とで払うべき人が変わってくるため、それぞれに分けて説明します。

亡くなった年以前(亡くなった年を含む)の固定資産税

亡くなった年を含めて、亡くなった年以前の固定資産税については亡くなった人が払うべきものですが、亡くなった人が払うべき債務は、プラスの財産と同様に相続人が承継します。

相続人が複数いる場合は、相続放棄をした人を除く相続人全員が、相続分に限定されず、固定資産税の全額について連帯債務を負います。

相続放棄をした人は、相続放棄申述受理通知書または相続放棄申述受理証明書を役所に持参して、相続放棄したことを証明すれば、督促や差し押さえを受けることはなくなります。

全員が相続放棄をした場合は誰も払う必要はありません。

また、誰かが納税したら、他の相続人は納税する必要はなくなります。

なお、遺産から払っても問題ありません。

遺産から払っても、相続放棄が出来なくなるようなことはありません。

また、支払った固定資産税の金額は相続税申告の際に控除することができます(債務控除について詳しくは「相続税の債務控除とは?控除できる債務についてわかりやすく説明」参照)。

加えて、不動産から所得が生じている場合(賃貸収入がある場合等)は準確定申告が通常必要になりますが、その際に、固定資産税を必要経費に算入できることがあります(準確定申告については「準確定申告が不要なケースとは?必要書類の書き方もわかりやすく説明」参照)。

期限内に払わないと延滞金がかかりますが、延滞金も相続人全員(相続放棄をした人を除く)の連帯債務となります。

誰も払わなければ、自治体から督促がきて、それでも誰も払わなければ、財産を差し押さえられる可能性があります。

差し押さえの際は、相続分に応じて平等に差し押さえるようなことはしてくれないので、相続人の誰かが全額分差し押さえられる可能性があります。

遺産からではなく自分のお金から払った人は、他の相続人にそれぞれの相続分に応じた負担分を求償(償還を求めること)することができます。

亡くなった翌年以降の固定資産税

亡くなった翌年以降の固定資産税を払わなければならない人は、その年の11日時点で、誰が所有者として登記されているかによって異なります。

主に次の3つのパターンが考えられます。

  • 亡くなった人のまま
  • 新しい所有者
  • 法定相続人が法定相続分に応じて共有

以下、それぞれに場合ついて説明します。

なお、いずれの場合においても亡くなった翌年以降の固定資産税は、相続税を計算する際に遺産額から控除することはできませんし、準確定申告時に必要経費に算入することもできません。

登記簿上の所有者が亡くなった人のまま

登記簿上の所有者が亡くなった人のままの場合は、相続人が納税義務者となります。

相続人が複数いる場合は、相続放棄をした人を除く相続人全員が、相続分に限定されず、固定資産税の全額について連帯債務を負います。

相続放棄をした人は、相続放棄申述受理通知書または相続放棄申述受理証明書を役所に持参して、相続放棄したことを証明すれば、督促や差し押さえを受けることはなくなります。

全員が相続放棄をした場合は誰も払う必要はありません。

また、誰かが納税したら、他の相続人は納税する必要はなくなります。

なお、相続債務ではないので、遺産から払うと相続を承認したものとみなされ、相続放棄の申述が受理されなかったり、受理された相続放棄の申述が後に無効となったりすることがあります。

期限内に払わないと延滞金がかかりますが、延滞金も相続人全員(相続放棄をした人を除く)の連帯債務となります。

誰も払わなければ、自治体から督促がきて、それでも誰も払わなければ、財産を差し押さえられる可能性があります。

差し押さえの際は、相続分に応じて平等に差し押さえるようなことはしてくれないので、相続人の誰かが全額分差し押さえられる可能性があります。

相続人の誰かが払った場合、遺産分割までは他の相続人に相続分に応じて求償でき、遺産分割後は、不動産を相続することになった人に全額求償できます。

最終的には、不動産を相続する人が延滞金も含めて固定資産税を払うことになるので、不動産を相続する予定がある人は率先して払った方がよいでしょう。

なお、遺産分割協議が調っても、相続登記をするまでは、相続人代表者に納税通知書が送られてきます(相続登記をした翌年から新所有者に納税通知書が届きます)。

相続人代表者は、相続人代表者指定届を出した場合は届によって指定された人、出さなかった場合は役所が指定した人です(相続人代表者指定届について詳しくは「相続人代表者指定届について必ず知っておかなければならないこと」参照)。

役所が指定する場合は、その不動産に住んでいる人を指定する傾向があります(いなければ同じ市区町村に住んでいる人。それもいなければ血族よりも配偶者)。

亡くなった翌年の固定資産税納税通知書が届いたら、その人が役所によって相続人代表者に指定されたことが分かります。

相続人代表者と不動産を相続した人が異なる場合で、かつ、不動産を相続した人が年内に相続登記をしない場合は、相続人代表者に指定されている人は年内に相続人代表者変更届を出しておいた方がよいでしょう。

新しい所有者

遺産分割協議が調い、11日時点で既に相続登記が完了している場合は、新しい所有者が納税義務者です。

他の相続人は関係ありません。

なお、11日時点で既に不動産を売却して移転登記が完了している場合は、買い主が納税義務者です。

法定相続人が法定相続分に応じて共有

11日時点で、法定相続登記(債権者代位による場合を含む)がされている場合、相続放棄をした人も所有者として登記されている以上、納税義務者となります(代位登記については「代位登記とは?債権者代位による相続登記が行われた場合の対処法」参照)。

相続人が複数いる場合は、相続放棄をした人も含む相続人全員が、相続分に限定されず、固定資産税の全額について連帯債務を負います。

また、誰かが納税したら、他の相続人は納税する必要はなくなります。

なお、相続債務ではないので、遺産から払うと相続を承認したものとみなされ、相続放棄の申述が受理されなかったり、受理された相続放棄の申述が後に無効となったりすることがあります。

期限内に払わないと延滞金がかかりますが、延滞金も相続人全員(相続放棄をした人を除く)の連帯債務となります。

誰も払わなければ、自治体から督促がきて、それでも誰も払わなければ、財産を差し押さえられる可能性があります。

差し押さえの際は、相続分に応じて平等に差し押さえるようなことはしてくれないので、相続人の誰かが全額分差し押さえられる可能性があります。

相続人の誰かが払った場合、遺産分割までは他の相続人に相続分に応じて求償でき、遺産分割後は、不動産を相続することになった人に全額求償できます。

最終的には、不動産を相続する人が延滞金も含めて固定資産税を払うことになるので、不動産を相続する予定がある人は率先して払った方がよいでしょう。

なお、不動産を相続しなかった人でも所有者として登記されている状態が続く限り、さらに翌年以降も、納税義務を負い続けることになるので、遺産分割協議が調ったら、持分移転登記をすべきです。

また、相続放棄をしたものの他の相続人の間の遺産分割協議が長引いて、さらに年をまたぎそうな場合は、年が変わる前に、自分だけでも登記上の所有者から抜けるようにした方がよいでしょう。

その場合の登記手続きは、法定相続登記と相続放棄申述受理の前後関係によって異なります。

登記が先で相続放棄が後の場合は、相続放棄申述者の持分全部移転登記相続放棄が先で登記が後の場合は、更正登記をすることになります。

自ら法定相続登記を申請した場合は、相続を承認したものとみなされ相続放棄の申述が受理されなかったり、受理された申述が無効となったりすることがありますが、他の相続人が申請した場合や代位登記の場合は法定単純承認の原因とはなりません。

なお、全員が相続放棄した場合でも全員が納税義務者であることに変わりはなく、固定資産税を支払った人は、他の相続人に法定相続分に応じて求償するか、相続財産法人に全額を求償することができます。

相続財産法人とは、亡くなった人に相続人がいない場合や全員が相続放棄をした場合等に、法人化した相続財産のことをいいます。

相続財産法人が作られるために手続きは不要です。

相続人全員が相続放棄した場合等は、自動的に相続財産が法人化して相続財産法人となります。

しかし、相続財産が法人化しても、管理する人がいなければ、財産を保存したり管理したり処分したりすることはできません。

そこで、相続財産法人の財産を管理する相続財産管理人の選任が必要になります。

相続財産管理人について詳しくは「相続財産管理人を選任すべきケースほか相続財産管理人に関する全知識」をご参照ください。

まとめ

以上、相続放棄と遺産にかかる固定資産税の関係について説明しました。

相続放棄については、弁護士又は司法書士にご相談ください。

相続問題でお悩みの方は
まずは弁護士にご相談ください

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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