相続税の申告期限に間に合わない!?対処法とペナルティは?
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記事は、公開日(2019年11月26日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
目次
相続税の申告期限の基本ルール
相続税の申告期限は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。 相続は死亡によって開始します。 つまり、「その相続の開始があったことを知った日」とは、「被相続人(死亡して財産を残す人)の死亡を知った日」のことです。 例えば、被相続人の死亡を知ったのが1月1日だとすると、その翌日は1月2日、その10か月以内の最終日は11月1日なので、この場合の相続税の申告期限(「応当日」といいます)は11月1日ということになります。期限日が土日祝の場合は次の平日まで期限が延びる
税務署は土曜日、日曜日及び祝日は開庁しておらず、相続税を申告することはできません。 そのため、応当日(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月後)が土曜日、日曜日又は祝日の場合は、その翌開庁日である次の平日が応当日になります。同じ相続の相続人でも期限日が異なることがある
ある相続について相続税の申告義務者(相続人、受遺者など)が複数いる場合に、相続の開始があったことを知った日が申告義務者によって異なる場合は、応当日もそれぞれ異なることになります。死亡を知った日が死亡日以降でも期限が死亡日から起算されることもある
被相続人の死亡を知った日が死亡日以降であっても、申告期限が死亡日から起算されてしまうこともあります。 なぜなら、税務署は、申告義務者が被相続人の死亡を知った日について、「社会通念上死亡を知り得た日」と解釈し、基本的には、死亡日ということになるのです。 税務署に、死亡を知った日が死亡日以降であることを認めてもらうことは容易ではありませんから、死亡を知った日が死亡日以降であっても、死亡日から起算した期限内に申告・納付を間に合わせることをお勧めします。 申告期限ぎりぎりや期限後に死亡を知った場合は、一度、相続税に精通した税理士に相談することをお勧めします。申告期限を延長できる場合も稀にある
相続税の申告期限は、次のような特別な事情がある場合に、最大で2か月間の延長が認められることがあります。- 相続人の廃除等により、相続人に異動が生じた場合
- 相続人になる胎児が産まれた場合 ※胎児については、胎児の状態で既に相続する権利をもっているのですが、出生しなければ、権利を行使することはできないので、胎児が産まれたことによって、遺産分割のやり直しや基礎控除額の変更が生じる可能性があります。
- 遺留分侵害額請求があった場合
- 遺贈に関する遺言書が見つかった場合
申告期限までに遺産分割協議が調わない場合の対処法
遺産分割協議がまとまっていなくても申告期限は延長されない
相続税の申告は、相続財産が分割されていない場合であっても上記の期限までにしなければなりません。分割されていないということで相続税の申告期限が延びることはありません。 そのため、相続財産の分割協議が成立していないときは、各相続人などが民法に規定する相続分(法定相続分)又は包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることになります。利用できなくなる特例も
その際、相続税の特例である小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例や配偶者の税額の軽減の特例などが適用できないので注意が必要です。申告後に変更するときは修正申告又は更正の請求を
また、民法に規定する相続分又は包括遺贈の割合で申告した後に、相続財産の分割が行われ、その分割に基づき計算した税額と申告した税額とが異なるときは、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることができます。 修正申告は、初めに申告した税額よりも実際の分割に基づく税額が多い場合にすることができます。 更正の請求は、初めに申告した税額よりも実際の[手続名]相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続割に基づく税額が少ない場合にすることができます。ただし、修正申告と異なり、更正の請求ができるのは、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内となっています。 なお、この修正申告又は更正の請求において上記の特例を適用することができますが、特例の適用ができるのは、相続税の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、かつ、次の1又は2に掲げる場合に該当することとなった場合に限られます。- 相続税の申告期限後3年以内に財産が分割された場合
- 相続税の申告期限後3年を経過する日までに財産の分割ができないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたとき ※税務署長の承認を受けようとする場合には、相続税の申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に、財産の分割ができないやむを得ない事情の詳細を記載した承認申請書を提出する必要があります。
相続税の申告期限内に申告しないとどうなる?
相続税の申告期限内に申告しない場合は、追徴課税や刑事罰を受ける場合があります。追徴課税
追徴課税には、加算税と延滞税があります。 この2つの違いをざっくりと説明すると、加算税とは適切に申告しなかった人に対して加算される罰則的な意味合いの税金で、延滞税とは適切に納付しなかった人に対する利息的な意味合いの税金です。 適切に申告しない場合は、納付も適切に行えていないでしょうから、加算税と延滞税の両方が課せられることになります。 また、申告は適切に行ったものの、納付しなかった場合は、延滞税が課せられることになります。加算税
加算税には、次の4つの種類があります。- 無申告加算税
- 過少申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
無申告加算税
無申告加算税は、申告を行うべきケースであるにもかかわらず、申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに申告を行わなかった場合に課せられる加算税です。 税率は、本来納付すべきだった税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%です。 例えば、本来納付すべき税額が100万円だった場合の無申告加算税は次の式で計算することができます。税務署から通知前か後かで割合が変わる!
なお、税務調査によらず自主的に期限後申告を行った場合は、税率は一律5%に軽減されますが、平成 29 年1月1日以後に法定申告期限等が到来する期限後申告書等にかかる国税については、税務署からの調査の通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正又は決定を予知してされたものでない場合には、その申告に基づいて納付すべき税額に10%(50 万円を超える部分は 15%)の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課すこととされました。過少申告加算税
過少申告加算税は、申告はしたが申告した税額が過少であった場合に課せられる加算税です。 税率は、新たに納めることになった税額に対して、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%です。税務署から通知前か後かで割合が変わる!
なお、税務調査によらず自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は課されませんが、平成 29 年1月1日以後に法定申告期限等が到来する修正申告書等にかかる国税については、税務署からの調査の通知以後に提出され、かつ、その提出が調査による更正を予知してされたものでない場合には、span class=”yellow-highlight”>その<申告に基づいて納付すべき税額に5%(期限内申告税額と 50 万円のいずれか多い額を超える部分は 10%)の 割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課すこととされました。重加算税
重加算税は、事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合や、仮装に基づいて過少申告を行った場合に課せられる加算税です。 単なる申告漏れではなく、贈与を受けたことを隠して脱税しようとしたような場合が対象です。 税率は、無申告の場合が40%で、過少申告の場合が35%と大変重くなっています。延滞税
延滞税は、前述の通り、納税が遅れた場合に課せられる利息的な意味合いの税金です。 延滞税は、納付期限の翌日から納付の日まで課せられます。 税率は、納付期限から2か月以内とそれ以降とで異なり、また、世の中の金利とも連動して変動します。 世の中の金利が高い場合は特例基準割合も高く、世の中の金利が低い場合は特例基準割合も低くなります。 上限値でいうと、納付期限から2か月以内が7.3%、それ以降が14.6%です。 しかし、2019年現在は、世の中の金利が低いので、延滞税の税率も上限値よりも低くなっていて、2か月以内が2.6%、それ以降が8.9%となっています。刑事罰が科せられる可能性もある
相続税を脱税すると、前述の重加算税や延滞税が課せられるだけでなく、裁判で有罪となった場合には、懲役や罰金が科せられる可能性があります。 法定刑は、故意に税を免れる意思があり申告しなかった場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が、故意に税を免れる意思はなかった場合でも1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。まとめ
以上、相続税の申告期限について説明しました。 申告期限ぎりぎりになって間に合わないから税理士に依頼しようとしても、請けてくれる税理士を見つけることは難しいでしょう。 相続が生じたらまずは一度、相続税に精通した税理士に相談の上、自分で申告できるかどうかを検討することをお勧めします。この記事を書いた人
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