賃貸割合とは?設例を基に計算方法をわかりやすく説明
アパートやマンションなどの貸家や貸家建付地の評価には「賃貸割合」を用いて計算します。この相続税評価額を下げることができれば、納税額を減らすことが可能です。
しかし、空室などがあると計算の仕方が少々変わってきます。空室期間が一時的であれば、その各床部分の床面積を加えて計算しても良いことになっています。これは事実関係から総合的に判断されるため、専門家に相談したほうが良いでしょう。
実際、土地や不動産の評価は複雑な計算が多いため、税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。このとき、相続税や土地の評価を得意としている税理士を選ぶのがポイントです。
[ご注意]
記事は、公開日(2020年11月10日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
相続問題でお悩みの方は
まずは弁護士にご相談ください
賃貸割合は何に使うもの?
賃貸割合は、貸家や貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地)の相続税評価額の計算に用います。
貸家及び貸家建付地の相続税評価額は、それぞれ次の算式により計算します。
賃貸割合と評価額は、賃貸割合が高くなると評価額が低くなり、賃貸割合が低くなると評価額が高くなるという関係になっています。
評価額が低くなった方が相続税が安くなるので、賃貸割合が高い方が節税になります。
なお、貸家及び貸家建付地については、それぞれ関連記事をご覧ください。
賃貸割合とは?計算方法は?
賃貸割合とは、貸家の各独立部分(構造上区分された数個の部分)がある場合に、その各独立部分の賃貸状況に基づいて次の算式により計算した割合をいいます。
この算式における「各独立部分」とは、建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものをいいます。
貸家の各独立部分の床面積の合計(A)が100㎡で、そのうち、課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計(B)が80㎡であった場合の賃貸割合は、「80㎡÷100㎡=0.8」となります。
また、継続的に賃貸されていたアパート等の各独立部分で、課税時期(相続又は遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において、一時的に空室になっていたにすぎないと認められるものについては、課税時期においても賃貸されていたものとして、その各独立部分の床面積を、賃貸されている各独立部分の床面積(B)に加えて賃貸割合を計算して差し支えありません。
(B)に加えてよいかどうかは、次のような事実関係から総合的に判断されます。
- 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
- 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
- 空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
- 空室の期間が課税時期の前後の例えば1か月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
- 課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか
詳しくは相続税に精通した税理士にご相談ください。
よくある質問
以上、賃貸割合について説明しました。
最後にまとめとして、よくある質問とその回答を示します。
貸家の相続税評価額の計算方法は?
貸家の相続税評価額は、「自用家屋とした場合の相続税評価額-自用家屋とした場合の相続税評価額×借家権割合×賃貸割合」で計算することができます。
貸家建付地の相続税評価額の計算方法は?
貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地)の相続税評価額は、「自用地とした場合の相続税評価額-自用地とした場合の相続税評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で計算することができます。
賃貸割合とは?
賃貸割合とは、貸家や貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地)の相続税評価額の計算に用いるもので、貸家の各独立部分(構造上区分された数個の部分)がある場合に、「その貸家の各独立部分の床面積の合計のうち、課税時期(相続又は遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において賃貸されている各独立部分の床面積の合計」を、「その貸家の各独立部分の床面積の合計」で除した(割り算した)値のこといいます。
課税時期において一時的に空室になっていたにすぎない場合もダメ?
継続的に賃貸されていたアパート等の各独立部分で、課税時期において、一時的に空室になっていたにすぎないと認められるものについては、課税時期においても賃貸されていたものとして、その各独立部分の床面積を、賃貸されている各独立部分の床面積に加えて賃貸割合を計算して差し支えありません。
加えてよいかどうかは、次のような事実関係から総合的に判断されます。
- 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
- 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
- 空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
- 空室の期間が課税時期の前後の例えば1か月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
- 課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか
この記事を書いた人
相続専門のポータルサイト「いい相続」は、相続でお悩みの方に、全国の税理士・行政書士など相続に強い、経験豊富な専門家をお引き合わせするサービスです。
「遺産相続弁護士ガイド」では、遺産分割や相続手続に関する役立つ情報を「いい相続」編集スタッフがお届けしています。また「いい相続」では、相続に関連する有資格者の皆様に、監修のご協力をいただいています。
▶ いい相続とは
▶ 監修者紹介 | いい相続