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貸家・貸家建付地の相続税評価額の計算方法。計算例付きで解説

不動産の相続に必要な知識

貸家や貸家建付地(所有する土地に建築した家屋を貸し付けているその土地)を相続した場合、相続税がかかるか調べるために、その評価を行わなければいけません。

貸家や貸家建付地の相続税評価額の計算には、「借家権割合」「賃貸割合」などの数値を使用します。一般の方には骨の折れる作業のため、相続税に詳しい税理士に依頼するのもひとつの方法です。

自分で計算をして、もしミスがあると大変です。正しく相続税申告ができていないとペナルティが発生することも…。

今回は、まずは知っておきたい貸家・貸家建付地の評価方法について、具体的に説明します。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年11月26日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

貸家の相続税評価額の計算方法

貸家(かしや)とは、人に貸している家屋のことをいいます。

貸家を相続した場合は相続税がかかり、貸家の贈与を受けた場合は贈与税がかかります。

相続税や贈与税の税額を計算するためには、取得した財産を評価しなければなりません。

その際、相続税評価額によって評価することになっています。

自用の家屋の価額は、固定資産税評価額で評価することになっていますが、貸家の相続税評価額は、その家屋の固定資産税評価額(=自用の家屋の相続税評価額)に借家権割合と賃貸割合を乗じた価額を、その家屋の固定資産税評価額から控除して算出します。

(算式)

【貸家の価額】=【自用の家屋の価額】-【自用の家屋の価額】×【借家権割合】×【賃貸割合】

借家権割合

借家権割合(しゃっかけんわりあい・しゃくやけんわりあい)とは

借家権割合とは、自用の建物とした場合の相続税評価額に対する、その建物の借家権の相続税評価額の割合のことです。

借家権とは

借家権とは借地借家法の適用を受ける建物の賃借権のことです。

借家権に基づき賃借中の建物は、契約期間が満了しても更新することができる場合が多く、貸主の勝手な意向だけで無理やり追い出されることは原則としてありません。

契約期間満了に伴って貸主が借主に明渡しを求めるためには、立退料の支払い等を含め、明渡しを求めることについて正当な理由がなければなりません。

どうして貸家の相続税評価額から控除できるの?

このように借家権の設定されている貸家は、自用の建物に比べて、貸主にとって使い勝手が悪いので、貸家について相続したり贈与を受けた場合、その相続税評価額の算定に当たって、その家屋の相続税評価額から一定の割合を控除することになっています。

借家権割合は、2019年現在、全国どの地域でも30%となっています。

借家権割合は、今後、変更になる可能性があります。

借家権割合を調べるには、国税庁ウェブサイトの財務評価基準書のページをご参照ください。

借家権割合を調べたい都道府県(建物が建っている都道府県)をクリックし、次に、「借家権割合」の文言をクリックすると、その都道府県の借家権割合を示したページにたどり着くことができます。

借家権割合は、「100分の30」のようなかたちで表しますが30%のことです。

賃貸割合

賃貸割合とは

賃貸割合は、「当該家屋の各独立部分の床面積の合計のうち課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計」を「当該家屋の各独立部分の床面積の合計」で除した(割った)値です。

各独立部分とは

なお、この「各独立部分」とは、建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものをいいます。

相続した、または、贈与を受けた家屋の各独立部分の床面積の合計が100㎡で、そのうち、課税時期(相続時または贈与を受けた時)において賃貸されている各独立部分の床面積の合計が80㎡であった場合の賃貸割合は、「80㎡÷100㎡=80%」となり、「借家権割合30%×賃貸割合80%24%」を控除できることになります。

賃貸割合が高ければ高いほど、控除できる額が大きくなります。

賃貸アパートを相続する場合は、相続時に、できるだけ満室に近い方が控除できる額が大きくなるというわけです。

空室はどうなる?

なお、継続的に賃貸されていたアパート等の各独立部分で、例えば、次のような事実関係から、アパート等の各独立部分の一部が課税時期において一時的に空室となっていたに過ぎないと認められるものについては、課税時期においても賃貸されていたものとして差し支えありません。

  • 各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること
  • 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと
  • 空室の期間が、課税時期の前後の例えば1か月程度であるなど、一時的な期間であること
  • 課税時期後の賃貸が一時的なものではないこと

このように、相続税の仕組みや計算方法には難しい点がたくさんあります。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門の税理士などに相談してみることをご検討ください。

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固定資産税評価額の確認方法

遺産分割の方法

貸家の相続税評価額を求めるには、前述のとおり、その家屋の固定資産税評価額を確認する必要があります。

固定資産税評価額は、次のいずれかの書類で確認することができます。

  • 固定資産評価証明書
    ※固定資産課税台帳登録事項証明書または固定資産課税台帳記載事項証明書という名称になっている自治体もあります
  • 固定資産税・都市計画税の課税明細書

相続税や贈与税の申告時には、固定資産評価証明書が必要になるので、基本的には、固定資産評価証明書を取得して確認するのがよいでしょう。

固定資産評価証明書の取得方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

税の申告を税理士に依頼する場合は、固定資産評価証明書は税理士が代理で取得してくれることが多いでしょう。

取り急ぎ、評価額だけ知りたいということであれば、評価証明書を取得しなくても、固定資産税・都市計画税の課税明細書で確認することができます。

固定資産税・都市計画税の課税明細書課税明細書は、毎年4月~6月頃(市町村によって異なります)に納税義務者に届く「固定資産税・都市計画税 納税通知書」に同封されています(別送の場合もあります)。課税明細書の「価格」または「評価額」の欄に記載されている金額が、固定資産税評価額です。
なお、マンションの場合は、価格欄は一棟丸ごとの評価額になっており、自分の所有している部屋の固定資産税評価額は課税標準額の欄に記載されています。

貸家建付地の相続税評価額の計算方法

貸家建付地とは、貸家の敷地の用に供されている宅地、すなわち、所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の、その土地のことをいいます。

「かしやたてつけち」と読みます。

貸家建付地の相続税評価額は、次の算式で求めることができます。

(算式)

貸家建付地の価額】=【自用地の価額】-【自用地の価額】×【借地権割合】×【借家権割合】×【賃貸割合】

自用地とした場合の相続税評価額の計算方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

借地権割合とは

借地権割合とは、自用地とした場合の相続税評価額に対する借地権の相続税評価額の割合のことをいいます。

借地権割合は、借地事情が似ている地域ごとに定められており、路線価図や評価倍率表に表示されています。

借地権割合は30%から90%の間であり、都会の方が田舎よりも借地権割合が高い傾向にあります。

借地権割合について詳しくは以下の記事で詳しくご紹介しています。

計算例

市場価格5,000万円の土地の相続税評価額は、5,000万円×80%=4,000万円程度になります。

借地権割合が40%、借家権割合が30%、賃貸割合が90%だとすると、貸家建付地の評価額は、4,000万円-4,000万円×40%×30%×90%3568万円となります。

また、市場価格5,000万円の建物の固定資産税評価額は、5,000万円×70%3500万円程度になります。

建物については、賃貸用なので、借家権割合の30%を差し引いて、2555万円×(130%×90%(賃貸割合))=2555万円となります。

土地と建物の評価額を合算すると、3568万円+2555万円=6123万円となり、4割近く評価額を削減することができました。

なお、貸家建付地の評価と小規模宅地等の特例は併用することができます。

小規模宅地等の特例の適用を受けると、貸付事業用宅地等に該当する土地については、200㎡を限度として評価額の50%を減額できます。小規模宅地等の特例について詳しくは以下の記事でご紹介しています。

併用する場合の適用する順番は、貸家建付地の評価減を先に適用させて、それから小規模宅地等の特例による評価減を適用させます。

ちなみに、貸家建付地の評価は、親族が借主の場合でも適用を受けることが可能です。

しかし、世間並みの賃料をもらっていることが条件です。

最低でも、固定資産税の2倍~3倍は賃料をもらっていなければ、適用を受けるのは難しいでしょう。

まとめ

以上、貸家の評価について説明しました。

相続税、贈与税それぞれの計算方法については、以下の記事で詳しくご紹介していますが、相続税の計算には、専門用語が沢山つかわれており、分かりにくい部分も多いかと思います。

計算ミスなどにより修正申告することになるなどの2度手間を避けるためにも、税理士に相談することをお勧めします。

相続問題でお悩みの方は
まずは弁護士にご相談ください

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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