弁護士監修記事

口座凍結を解除するには?凍結された銀行口座の払戻し方法を解説!

銀行口座の名義人が死亡したことを銀行が把握すると、その口座は凍結し、引き出し、振り込み、引き落としはおろか、入金すらもできなくなります。

この記事では、凍結された銀行口座から払戻しを受ける方法について説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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口座凍結を解除する方法はある?

口座名義人が死亡して口座が凍結されると、凍結が解除されて口座が元通りに使えるようになることは二度とありません。

相続手続を経て、口座の名義変更をするか、払戻しをするしかありません。

相続した預金を払い戻したり、預金の名義を変更するためには、銀行での相続手続が必要です。

銀行での相続手続には、ケースに応じて、様々な書類を提出しなければなりません。

銀行が間違った人に払い戻してしまっては大変なので、銀行が誰に払い戻せばよいか判断するために、ケースに応じて、必要な書類が異なるのです。

以下では、銀行での相続手続に必要な書類について、次のケースごとに説明します。

  • 預金を取得する人が遺言によって決まっている場合
  • 遺産分割協議書がある場合
  • 遺産分割協議をしたが遺産分割協議書がない場合
  • 調停または審判によって預金を取得する人が決まっている場合

なお、厳密には、必要な書類は銀行によって多少異なります。

以下では、通常、必要となる書類について説明しますが、実際に手続をする際は、預金のある銀行に必要書類を確認してください。

また、以下の説明の中で、「法定相続情報一覧図」というものが出てきますが、法定相続情報一覧図とは、法定相続人が誰で法定相続人は被相続人とどのような間柄なのかという情報を一覧化した図のことで、この写しを提出することによって、戸籍謄本類の代わりとすることができます。ただし、法定相続情報一覧図を作成するために戸籍謄本類が必要なため、いずれにせよ戸籍謄本類は収集しなければなりません(詳しくは「法定相続情報証明制度を利用すべき場合と利用すべきでない場合の基準」参照)。

預金を取得する人が遺言によって決まっている場合

まず、預金を取得する人が遺言によって決まっている場合について説明します。

遺言書があっても、預金を取得する人が遺言によって決まっているとは限りません。

誰にどの財産を承継させるかが遺言書に記載されている場合もありますが、遺産を受け取る割合だけ指定されている場合もあるのです。

後者の場合は、実際に誰がどの財産を受け取るかは遺産分割協議によって決めることになります。

また、前者の場合でも、相続人全員の合意があれば、遺言の内容に従わずに、遺産分割協議によって誰がどの財産を承継するか決めることができます。

そのような場合は、遺言書があっても、遺言によって預金を取得する人が決まるわけではないので、後述する「遺産分割協議書がある場合」等の項目をご参照ください。

預金を取得する人が遺言によって決まっている場合、遺言執行者が選任されているかどうかによって必要な書類は異なります。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人のことです。

遺言執行者がいない場合は、相続人や受遺者(遺贈によって遺産をもらい受ける人)が手続きをします。

遺言執行者について詳しくは「遺言執行者とは?どんな場合に必要?遺言執行者の選び方と役割、報酬」をご参照ください。

遺言執行者が選任されている場合

遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者が手続きをします。

手続きには下表の書類が必要です。

必要になるケース 入手先
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本 法定相続情報一覧図の写しがない場合 本籍地の市区町村役場
遺言執行者の印鑑登録証明書 必ず 住所地の市区町村役場
遺言執行者の実印 必ず 自分
遺言書 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 遺言者が保管した場所
検認済証明書 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
遺言公正証書謄本 公正証書遺言の場合 遺言が作成された公証役場
遺言執行者選任審判書謄本 審判によって遺言執行者が選任された場合 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) 必ず 銀行で用紙を入手して自分で記入
印鑑届 名義変更の場合(払戻の場合は不要) 銀行で用紙を入手して自分で記入
通帳・証書・キャッシュカード類 必ず 自分

遺言執行者が選任されていない場合

遺言執行者が選任されていない場合は、相続人または受遺者が手続きをします。

手続きには下表の書類が必要です。

必要になるケース 入手先
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本 法定相続情報一覧図の写しがない場合 本籍地の市区町村役場
預金を取得する相続人または受遺者の印鑑登録証明書 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 住所地の市区町村役場
預金を取得する相続人または受遺者の実印 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 自分
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の印鑑登録証明書 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 住所地の市区町村役場
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の実印 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 自分
遺言書 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 遺言者が保管した場所
検認済証明書 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
遺言公正証書謄本 公正証書遺言の場合 遺言が作成された公証役場
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) 必ず 銀行で用紙を入手して自分で記入
印鑑届 名義変更の場合(払戻しの場合は不要) 銀行で用紙を入手して自分で記入
通帳・証書・キャッシュカード類 必ず 自分

遺産分割協議書がある場合

遺産分割協議によって預金を取得する人が決まった場合で、遺産分割協議書を作成した場合は、預金の相続手続きに下表の書類が必要です。

必要になるケース 入手先
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本 法定相続情報一覧図の写しがない場合 本籍地の市区町村役場
各相続人と被相続人との関係が確認できる戸籍抄本または戸籍謄本 法定相続情報一覧図の写しがなく、かつ、被相続人の戸籍謄本で被相続人との関係が確認できない場合 本籍地の市区町村役場
相続人全員(相続放棄した人を除く)の印鑑登録証明書(未成年者については法定代理人の印鑑登録証明書) 必ず 住所地の市区町村役場
手続者の実印 必ず 自分
遺産分割協議書(相続人全員(相続放棄した人を除く)の署名押印(実印)) 必ず 自分
相続放棄申述受理証明書 相続放棄をした人がいる場合 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) 必ず 銀行で用紙を入手して自分で記入
印鑑届 名義変更の場合(払戻の場合は不要) 銀行で用紙を入手して自分で記入
通帳・証書・キャッシュカード類 必ず 自分

遺産分割協議をしたが遺産分割協議書がない場合

遺産分割協議をしたからといって必ず遺産分割協議書を作成しなければならないわけではありません。

多くの銀行での相続手続は遺産分割協議書がなくても可能です(銀行によっては必要な場合もあります)。

銀行での手続きの点だけなら遺産分割協議書がなくても問題ありませんが、遺産に不動産がある場合は登記の際に遺産分割協議書が必要ですし、また、相続人間における後々のトラブル予防のためにも、遺産分割協議書を作成することをお勧めします。

遺産分割協議書がない場合は、下表の書類が必要です。

必要になるケース 入手先
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本 法定相続情報一覧図の写しがない場合 本籍地の市区町村役場
各相続人と被相続人との関係が確認できる戸籍抄本または戸籍謄本 法定相続情報一覧図の写しがなく、かつ、被相続人の戸籍謄本で被相続人との関係が確認できない場合 本籍地の市区町村役場
相続人全員(相続放棄した人を除く)の印鑑登録証明書(未成年者については法定代理人の印鑑登録証明書) 必ず 住所地の市区町村役場
相続放棄申述受理証明書 相続放棄をした人がいる場合 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
手続者の実印 必ず 自分
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) 必ず 銀行で用紙を入手して自分で記入
印鑑届 名義変更の場合(払戻の場合は不要) 銀行で用紙を入手して自分で記入
通帳・証書・キャッシュカード類 必ず 自分

調停または審判によって預金を取得する人が決まった場合

遺産分割協議が調わない場合に、家庭裁判所での遺産分割調停や遺産分割審判によって決着をつけることがあります(「遺産分割調停前に知っておくべき調停を有利に進める方法と調停の流れ」参照)。

預金を取得する人が決まった場合は、下表の書類が必要です。

 

必要になるケース 入手先
調停調書謄本 調停によって預金を取得する人が決まった場合 家庭裁判所
審判書謄本 審判によって預金を取得する人が決まった場合 家庭裁判所
審判確定証明書 審判によって預金を取得する人が決まった場合で、かつ、審判書に確定表示がない場合 住所地の市区町村役場
預金を取得する相続人または受遺者の印鑑登録証明書 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 住所地の市区町村役場
預金を取得する相続人または受遺者の実印 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 自分
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の印鑑登録証明書 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 住所地の市区町村役場
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の実印 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 自分
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) 必ず 銀行で用紙を入手して自分で記入
印鑑届 名義変更の場合(払戻の場合は不要) 銀行で用紙を入手して自分で記入
通帳・証書・キャッシュカード類 必ず 自分

ゆうちょ銀行の口座が凍結された場合の手続き

ゆうちょ銀行の相続手続は、他の銀行と少し異なりますので、別の記事にまとめました。

ゆうちょ銀行での相続手続を効率よく進めるために知っておくべきこと」をご参照ください。

口座凍結解除までに必要な期間

必要書類を漏れなく提出すると、凍結された口座預金の払戻しを受けることができます。

必要書類を提出してから払戻しまでの期間は、1週間~2週間ほどです。

まとめ

以上、口座凍結の解除について説明しました。

相続手続について不明な点は、専門家に相談するとよいでしょう。

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