生前贈与されたお金を生命保険の保険料に充てると相続税対策に!
[ご注意]
記事は、公開日(2019年11月18日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
生命保険金にかかる税金
生前贈与と生命保険を活用した相続税対策の説明の前に、前提知識として、生命保険金にかかる税金について説明します。 生命保険金を受け取った場合には、相続税が課せられる場合、贈与税が課せられる場合、所得税、復興特別所得税及び住民税が課せられる場合の3つのパターンがあります。 被保険者、保険料の負担者および保険金受取人がそれぞれ誰かによって、課せられる税金の種類が異なる仕組みになっているのです。 詳しくは、下表をご参照ください。被保険者 | 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | A | B | 相続税(満期の場合は贈与税) |
A | B | C | 贈与税 |
A | B | B | 所得税、復興特別所得税、住民税 ※一時所得として |
相続税がかかる場合
生命保険金に相続税が課せられる場合は、上表の通り、被保険者と保険料の負担者が同じ人の場合です。 例えば、旦那さんを被保険者とする保険で、保険料も旦那さんが負担していて、保険金の受取人が奥さんになっているパターンです。 このような場合には、生命保険金に相続税が課せられます(ただし、満期になったことにより受け取った保険金には贈与税が課されます)。 相続人が死亡保険金の受取人である場合は、保険金のうち一定限度の金額が非課税となるのです。 死亡保険金の非課税限度額は、次の式で計算することができます。500万円×法定相続人の数 |
贈与税がかかる場合
生命保険金に贈与税がかかる場合は、上表の通り、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人のいずれも異なる場合です。 例えば、母を被保険者とする生命保険の保険料を父が負担していたとします。 そして、その生命保険金の受取人は子になっていたとします。 そして、母が亡くなり、子が生命保険金を受け取ったとします。 このような場合、受け取った生命保険金は、保険料の負担者である父から保険金受取人である子への贈与があったものとみなされ、受け取った保険金に贈与税が課せられます。所得税、復興特別所得税及び住民税がかかる場合
一時所得として、所得税、復興特別所得税及び住民税が課せられるケースは、保険料の負担者と保険金の受取人が同じケースです。 例えば、被保険者が奥さんで、保険料を旦那さんが負担して、受取人も旦那さんというようなケースがこれに該当します。 一時所得の金額は、次の算式で求めることができます。 【総収入金額】-【収入を得るために支出した金額】-【特別控除額(最高50万円)】=【一時所得の金額】 「収入を得るために支出した金額」は、その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。 一時所得は、その所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。 ただし、一時払養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税が適用されますので、確定申告を行うことはできません。生前贈与されたお金を生命保険の保険料に充てると相続税対策になる
生前贈与されたお金を生命保険の保険料に充てると相続税対策になります。 その仕組みについて設例を元に説明します。 Aさんが、被保険者がAさん、保険金受取人がAさんの子Bさんとする生命保険に加入したとします。 Aさんが保険料を負担する場合は、保険金には相続税がかかります。 保険金には相続税の非課税限度額があるので、その分、節税になります。 一方、Bさんが保険料を負担する場合は、相続税ではなく、前述のとおり、所得税等がかかります。 所得税は、相続税よりも税率が低めに設定されているので、より効果の高い相続税対策となりえます。 そこで、AさんからBさんに、毎年、110万円の基礎控除枠を利用して非課税で生前贈与をし、その生前贈与されたお金を、Bさんが保険料に充てることで、Aさんが直接保険料を負担するよりも、相続税対策の効果が高まることが期待できるのです。 実際の節税効果は、ケースごとにシミュレーションした方が確実です。 相続税対策に精通した税理士に相談のうえ、実行されることをお勧めします。まとめ
以上、生前贈与と生命保険を活用した相続税対策について説明しました。 遺産額が多い場合は、相続税対策をすることで大きな節税効果が期待できます。 相続税対策に精通した税理士に相談して、最も効果的な方法を選択できるように、早めに準備することをお勧めします。この記事を書いた人
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