弁護士監修記事

尊厳死とは。尊厳死をめぐる問題点や日本尊厳死協会について説明

回復の見込みがなく、死期が間近に迫った終末期にある患者さんにとって、延命治療は必ずしも望ましいものではないと考える方もいらっしゃるでしょう。

そのような場合には、尊厳死を選択する余地があります。

この記事では、尊厳死について説明します。

是非、参考にしてください。

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記事は、公開日時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

尊厳死とは?

尊厳死とは、公的な定義があるわけでありませんが、医師を含む医療の担い手が、終末期にある患者の意思(リビング・ウィル)に基づき、その患者に対する延命治療を中止する等して、その患者が死亡することといえるでしょう。

終末期にある患者の中には、延命治療によって生かされ続けることによって尊厳が損なわれると考え、尊厳を保ったまま死を迎えたいというと考える方がいらっしゃるのです。

尊厳死と安楽死の違い

安楽死は、以下の3つの類型に分類することができます。

積極的安楽死 苦痛から免れさせるため意図的且つ積極的に死を招く措置をとる場合
間接的安楽死 苦痛の除去・緩和するための措置をとるが、同時に死期を早める可能性が存在する場合
※終末期鎮静(ターミナル・セゼーション)ともよばれる。
消極的安楽死 患者の苦痛をながびかせないという目的のため、行われていた延命治療を中止して死期を早める場合
※尊厳死ともよばれる

このように、消極的安楽死は尊厳死に該当すると整理することができます。

なお、尊厳死は、延命治療を中止する場合に限らず、そもそも延命治療を開始しない場合も含むと考えられます。

このような不開始の場合は、安楽死(消極的安楽死)には該当しないと考えられます。

尊厳死をめぐる問題点

現在の日本では尊厳死を望み、延命を希望しないというリビング・ウィルを残していても、尊厳死はなかなか叶えられません。

医師が「延命措置を怠った」として遺族から訴えられることを危惧するからです。

そのため、2012年に「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」(尊厳死法案)が超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」から公表されました。

その概要は、終末期に延命措置を希望しないことを書面で表示し、2人以上の医師により終末期と判定された15歳以上の患者について、延命措置を差し控える、または中止した場合、医師は民事・刑事・行政上の責任を問われないというものです。

しかしこの法案は、反対意見も多く、国会に提出されるには至っていません。

例えば、日本弁護士連合会は、尊厳死の法制化を検討する前に、次の2点が必要であるという見解を示しています。

  • 適切な医療を受ける権利やインフォームド・コンセント原則などの患者の権利を保障する法律を制定し、現在の医療・福祉・介護の諸制度の不備や問題点を改善して、真に患者のための医療が実現されるよう制度と環境が確保されること
  • 緩和医療、在宅医療・介護、救急医療等が充実されること

尊厳死の方法

尊厳死を希望しても、前述のとおり、医師がリビング・ウィルを尊重してくれるとは限りません。

それでは、尊厳死を希望する場合は、どのようにすればよいのでしょうか。

厚生労働省の作成した「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」によると、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則であるとされています。

医療・ケアチームが、リビング・ウィルを尊重してくれないのではなく、終末期にない(回復の可能性が皆無というわけではないか、または、死期が間近であることが確定したわけではない)と判定した結果である可能性もあります。

医療・ケアチームと十分な話し合いを行っても、リビング・ウィルが尊重されない場合は、リビング・ウィル認容協力医のいる医療機関に転院することが考えられます。

リビング・ウィル認容協力医の探し方としては、例えば、次のような方法が考えられます。

  • Google等のウェブページ検索サービスの利用
  • 日本尊厳死協会等の尊厳死に関する活動を行っている団体に紹介を依頼する

日本尊厳死協会への入会は必要か?

尊厳死を希望する人が必ずしも日本尊厳死協会等の尊厳死に関する活動を行っている民間団体に入会しなければならないわけではありません。

そのような団体に入会しなくても、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)のプロセスを通じて、尊厳死について、かかりつけのお医者さんやご家族等の大切な人と繰り返し話し合いことで、自分の考えを伝え、また、患者さん自身も終末期医療に関する理解を深めることが重要です。

ACPについて詳しくは「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)=人生会議とは?進め方は?をご参照ください。

まとめ

以上、尊厳死について説明しました。

前述のとおり、尊厳死を選択するにあたっては、医療・ケアチームと十分な話し合いを行うことが極めて重要です。

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