弁護士監修記事

養子縁組の条件は普通養子縁組と特別養子縁組で全く違うので要注意!

養子縁組には、普通養子縁組特別養子縁組があります。

それぞれで成立要件(条件)は全く異なりますが、インターネットで養子縁組について調べる際に、普通養子縁組ついて書かれたものなのか、特別養子縁組について書かれたものなのか、きちんと読まずに誤解をしてしまうことがあるのではないでしょうか。

そこで、この記事では、普通養子縁組の検討中の人も、特別養子縁組を検討中の人も、また、特別養子縁組を検討しているが認められない可能性が高いようであれば普通養子縁組にしたいと考えている人も参考になるように、それぞれの成立要件について、詳しく、そして、分かりやすくまとめてみました。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

記事を読んでも問題が解決しない場合は、弁護士・税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
お近くの遺産相続の専門家を検索できます。都道府県を選んでください。
北陸・甲信越

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

養子縁組の成立要件について調べてこの記事に辿り着いて読んでいる人が多いと思いますが、大抵の場合は、普通養子縁組と特別養子縁組の両方の成立要件について知る必要はなく、まず、自分のシチュエーションの場合は、どちらの養子縁組によるべきなのかを確認して、それから、自分に検討すべき制度に関する記述のみを読めば十分です。

ついては、縁組の成立要件について説明する前に、まず、普通養子縁組と特別養子縁組の違いについて説明します。

普通養子縁組とは?

普通養子縁組とは、通常の養子縁組のことで、特別養子縁組と区別するために、普通養子縁組とよばれます。

普通養子縁組では、養親との間に法律上の親子関係が成立しますが、実親との親子関係が解消されるわけではなく、普通養子縁組によって養子となった人は、2組の親を持つことになります。

実親と養親の両方に対して、相続する権利や扶養を受ける権利(および義務)を持ちます。

このように普通養子縁組では、実親との親子関係が残るので、実親からも財産を相続できたり、養親だけで十分に扶養できない事態になった場合には実親からも扶養を受けることができたりと、養子になる人にとってメリットとなり得る点があります。

実親に余程の問題がない限りは関係を残しておいた方が、養子になる人にとってメリットがあるでしょうから、基本的には、普通養子縁組を検討することになるでしょう。

なお、いわゆる婿養子や、相続税対策を考えて孫を養子にするケースは100%普通養子縁組です。

また、再婚時に連れ子を再婚相手の養子にしたり、子供のいない夫婦が子宝に恵まれた親戚の家の子を養子にもらったりというようなケースも、多くの場合は普通養子縁組で行われます。

特別養子縁組とは?

一方、特別養子縁組とは、実親との親子関係を解消され、養親のみが法律上の親となる制度です。

実親の財産を相続する権利や、実親から扶養を受ける権利は、特別養子縁組をすることによって無くなります。

このように、特別養子縁組は、実親との親子関係を完全に断絶する制度です。

実親との親子関係を完全に断絶させた方が子にとって良いケースとしては、実親が、まったく育てる気がないとか、虐待しているとか、経済的に極めて困窮していて育てようがないというようなケースがあり得ます。

具体的には、児童相談所や民間の養子縁組あっせん機関によるあっせんを受けて、親もとで養育されていない子と特別養子縁組をするケースや、親が育てることができない親戚の子を引き取るケース、配偶者の連れ子で、もう一方の実親が養育費を一切支払わず面会交流も希望しないような場合に、再婚相手と連れ子の間で特別養子縁組をするケース等があります(連れ子のケースはなかなか認められにくいようです。)。

特別養子縁組によって実親との関係を断絶させるべきかどうかは、あくまで、養子となる子にとって、どちらが良いかと観点で考えなければなりません。

養親や実親の都合で考えるべきではありませんし、そのような考えで特別養子縁組を申立てても認められにくいでしょう。

養子縁組が認められるための要件

養子縁組が認められるための要件は、前述の通り、普通養子縁組よりも特別養子縁組の方が厳しく定められています。

普通養子縁組と特別養子縁組、それぞれが認められるための要件について、以下、説明します。

普通養子縁組が認められるための要件

普通養子縁組が認められるための要件は、次の通りです。

  • 養親が成年者であること
  • 養子が尊属または年長者でないこと
  • 後見人が被後見人を養子にする場合(後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も同様)は、家庭裁判所の許可を得ていること
  • 結婚している人が未成年者を養子にする場合は、夫婦共に養親になること
  • 養親又は養子となる人が結婚している場合は、配偶者の同意を得ること
  • 養親となる人が養子となる人の養親となる意思があること
  • 養子となる人が養親となる人の養子となる意思があること(養子となる人が15歳未満の場合は、法定代理人が代りに承諾)
  • 養子となる人が未成年者の場合は、家庭裁判所の許可を得ていること(養子が自分や配偶者の直系卑属の場合は許可不要)
  • 養子縁組の届出をしていること

以下、それぞれについて説明します。

養親が成年者であること

成年者とは、20歳以上、または結婚歴のある人のことです。

未成年者で、かつ、未婚の人は養子をとることはできません。

養子が尊属または年長者でないこと

養親よりも年上の養子は認められません。

また、叔父や叔母といった尊属は、たとえ年下であっても養子にすることはできません(尊属について詳しくは「親族の法的な範囲(親等)を家系図を元に説明!血族・姻族との違いも」の「尊属と卑属」の項目を参照)。

後見人が被後見人を養子にする場合は、家庭裁判所の許可を得ていること

後見人が被後見人を養子にする場合は、家庭裁判所の許可が必要です。

後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間に、後見人だった人が被後見人だった人を養子にする場合も同様です。

なお、後見人には、成年後見人と未成年後見人がありますが、家庭裁判所の許可があれば、どちらの場合も被後見人を養子にすることができます(現実的には未成年後見人のケースが多いでしょう)。

未成年後見人については「未成年後見人とは?親権者がいなくなった場合に知っておくべき全知識」を、成年後見人については「成年後見人とは?成年後見制度のデメリット、家族信託という選択肢も」をご参照ください。

結婚している人が未成年者を養子にする場合は、夫婦共に養親になること

結婚している人が未成年者を養子にする場合は、夫婦共に養親にならなければなりません。

ただし、配偶者の実子(連れ子)を養子にする場合や、配偶者が行方不明等の理由で意思表示をできない場合は、単独でも未成年者を養子にすることができます。

養親又は養子となる人が結婚している場合は、配偶者の同意を得ること

養親又は養子となる人が結婚している場合は、配偶者の同意を得なければなりません。

といっても、夫婦共同で養親又は養子にならなければならないわけではありません。

夫婦の片方だけ養親又は養子になってもよいのですが、その場合、配偶者の同意が必要ということです。

養子となる人が未成年の場合は、前述の通り、夫婦共同で養親とならなければなりません。

なお、配偶者が行方不明等の理由で同意することができない場合は、同意は不要です。

養親となる人が養子となる人の養親となる意思があること

当然ながら養親となる人が養子となる人の養親となる意思がなければなりません。

養子となる人が養親となる人の養子となる意思があること(養子となる人が15歳未満の場合は、法定代理人が代りに承諾)

養子となる人も同様に養子となる意思が必要ですが、養子となる人が15歳未満の場合は、親権者等の法定代理人が代わりに承諾します。

また、監護者や親権を停止されている人がいる場合は、その人の承諾も必要です。

養子となる人が未成年者の場合は、家庭裁判所の許可を得ていること

養子となる人が未成年者の場合は、家庭裁判所の許可が必要です。

ただし、養子が自分や配偶者の直系卑属の場合には許可は不要です。

直系卑属とは、子や孫、曽孫などのことです。

自分の孫や曽孫を養子にする場合や、配偶者の連れ子を養子にする場合は、家庭裁判所の許可は不要ということです。

養子縁組の届出をしていること

養子縁組には届出が必要です。

養子縁組の届出について詳しくは「養子縁組届の書き方を再婚・婿養子等のケース別の記入例(見本)で説明」をご参照ください。

特別養子縁組が認められるための要件

特別養子縁組が認められるためには、次の要件を満たさなければなりません。

  • 夫婦共同で養親になること(夫婦の一方の連れ子の場合は養親となるのは夫婦のもう一方のみ)
  • 養親となる夫婦の少なくともどちらかが25歳以上で、もう一方が20歳以上であること
  • 養子が6歳未満であること(6歳未満の時から養親となる人に監護されている場合は8歳未満に条件緩和)
  • 実の両親の同意があること(意思表示ができない場合や、虐待など、養子となる人の利益を著しく害する事由がある場合は、同意は不要)
  • 父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があること
  • 特別養子縁組を請求してから6か月間監護した状況(請求前の監護の状況が明らかなときは監護を始めた時から6か月間の状況)を考慮して、特別養子縁組を成立させることがふさわしいと家庭裁判所によって認められること

この中で、最も判断が難しい要件は、「父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があること」でしょう。

児童相談所や養子縁組あっせん機関からあっせんを受けた子は、実親からの養育が期待できず、この要件を満たすケースが多いでしょう。

親戚の親が育てられない子を引き取るケースでは、そのケースによりけりではありますが、自分が引き取らなければ、児童相談所に預けられるところだったとか、実際に預けられているとかいうケースでは、この要件を満たす可能性が高いでしょう。

養子を迎える条件FAQ

質問を受けることが多い事柄をFAQにまとめました。

年収等の収入に関する条件はある?

収入に関する条件について、直接明文化されたものはありません。

ただ、特別養子縁組の場合は、「子の利益のため特に必要があること」や「6か月間監護した状況を考慮して、特別養子縁組を成立させることがふさわしいと家庭裁判所によって認められること」が求められます。

養育に関して経済的に不安があるような状況では、「子の利益のため特に必要がある」とは認められなかったり、「特別養子縁組を成立させることがふさわしい」と認められないこともありえます。

また、普通養子縁組でも、養子が未成年者の場合は家庭裁判所の許可が必要です。

経済的に養育が難しい状況であれば、許可されない可能性もあるでしょう。

独身でも大丈夫?

普通養子縁組は独身でも問題ありません。

特別養子縁組は、独身の養親は認められません。

共働きでも大丈夫?

共働きが駄目という規定は法律上はありません。

あっせん機関によっては、夫婦の一方が専業主婦(夫)であることを条件にしていることもあります。

不妊の人でなければ駄目?

不妊の人でなくても、何ら問題ありません。

普通養子縁組、特別養子縁組、共に可能です。

養親の年齢は何歳から何歳まで?

前述の通り、普通養子縁組は、20歳以上です。

婚姻歴があれば、20歳未満でも構いません。

ただし、養子の方が年上の場合や、おじ・おば等の世代が上の親戚を養子にすることはできません。

特別養子縁組の場合は、夫婦の一方が25歳以上、もう一方が20歳以上です。

年齢の上限は法的にはありませんが、児童相談所やあっせん機関を通して特別養子のあっせんを受ける場合は、年齢の上限が決まっていることがあります。

養子は何歳まで大丈夫?

これも前述の通りですが、普通養子縁組には年齢制限はありませんが、養親よりも年上の養子は認められません。

特別養子縁組は原則6歳未満です。

6歳未満の時から継続監護している場合は8歳未満であれば問題ありません。

まとめ

以上、養子縁組の成立要件について説明しました。

特別養子縁組を検討しているが、特別養子縁組の成立が認められるかどうか判断が難しい場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

また、条件については、児童相談所やあっせん機関で独自の条件を設けている可能性もあるので、あっせんを受ける場合は、各相談所や機関に問い合わせるとよいでしょう。

記事を読んでも問題が解決しない場合は、弁護士・税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
お近くの遺産相続の専門家を検索できます。都道府県を選んでください。
北陸・甲信越
SNSで記事をシェアする