口座凍結について相続人なら絶対に知っておくべき仮払い等の全知識
銀行口座の名義人が死亡したことを銀行が把握すると、その口座は凍結します。
引き出し、振り込み、引き落としはおろか、入金すらもできなくなるのです。
預金の払い戻しが受けられなければ、葬儀費用や当座の生活費に困る人もいるでしょう。
また、手続きが面倒だからと、そのまま口座を放っておくと、払戻しの手続きする権利さえなくなってしまうことも。
そこで、この記事では、口座凍結について相続人なら絶対に知っておくべき仮払い等の全知識について説明します。
是非、参考にしてください。
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目次
[ご注意]
記事は、公開日(2019年1月22日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
口座凍結とは?
口座凍結とは、銀行等の金融機関が口座の取引を停止する措置のことです。
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口座凍結の理由・原因
口座凍結がされる主な理由・原因には、次の4つが挙げられます。
- 口座名義人が死亡し、相続手続きが行われるまでの間に、預金が勝手に引き出されたり引き落とされたりすることを防ぐため
- 口座が犯罪に利用される疑いがある場合に、それを防ぐため
- 銀行への債務について債務整理が行われた場合に貸し倒れを防ぐため
- 長年利用されていない休眠預金を社会的に有意義に活用するため(2019年開始)
この記事では、1の理由で実施される口座凍結について説明します。
死亡後の口座凍結のタイミング
金融機関が口座名義人の死亡を把握し間違いなく死亡したことの確認がとれると速やかに口座が凍結されます。
金融機関が死亡を把握できなければ、いつまで経っても口座が凍結されることはありません。
金融機関が死亡を把握する主なきっかけとしては、次のようなことが挙げられます。
- 相続人等からの連絡
- 残高証明書の取得申請
- 新聞等のお悔やみ欄
- 葬儀の看板
なお、死亡届を出しても役場から金融機関に連絡がいくことはありません。
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口座凍結されるようにする方法
相続人の一人が預金を勝手に引き出してしまうようなおそれがある場合は、むしろ、進んで口座が凍結されるように動いた方がよいでしょう。
口座が凍結されるようにする方法は、銀行に死亡の事実を知らせることです。
死亡の事実は誰から伝えても構いません。
伝える先は、亡くなった人が口座を開設していた金融機関の支店です。
直接赴いて伝えてもよいですし、電話で伝えてもよいでしょう。
亡くなった人の氏名、住所、生年月日、口座番号等の確認があるので、スムーズに答えられるように準備しておくとよいでしょう。
複数の金融機関に口座を持っている場合は、金融機関ごとに連絡する必要があります。
なお、一つの金融機関の複数の支店に口座を持っている場合は、一つの支店に連絡すれば十分です。
口座凍結後、振込はできる?
口座が凍結されると、引き出しだけでなく、振込もできなくなります。
口座凍結後、公共料金等の引き落としはできる?
口座が凍結されると、公共料金やクレジットカードの引き落としもできなくなります。
決済方法の変更や、解約などの手続きが必要になります。
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口座凍結後、入金はできる?
口座が凍結されると入金することもできません。
凍結された口座に入金の予定がある場合は、早めに入金元に対して連絡するとよいでしょう。
そうしないと、賃貸物件を持っている場合などは、借主が家賃を入金できなく困ってしまうでしょう。
口座凍結後、残高確認はできる?
口座が凍結されると、ATMで残高を確認することもできなくなります。
残高は窓口で調べてもらうことができます。
残高を調べるだけなら難しい手続きは不要ですが、残高証明書を取得する際には、次のようなものが必要になります(金融機関によって必要なものが異なる場合があります)。
- 口座名義人の死亡が確認できる戸籍謄本等または法定相続情報一覧図の写し
- 申請者と口座名義人との関係がわかる戸籍謄本等、遺言書、調停調書、審判書等
- 申請者の実印と印鑑証明書
- 預金通帳・預金証書・キャッシュカード等
- 手数料
残高証明書は、遺産分割や相続税申告で必要になります。
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口座凍結の解除方法
口座名義人が死亡して口座が凍結されると、凍結が解除されて口座が元通りに使えるようになることは二度とありません。
相続手続きを経て、口座の名義変更をするか、払い戻しをするかしかありません。
相続した預金を払い戻したり、預金の名義を変更するためには、銀行での相続手続きが必要です。
銀行での相続手続きには、ケースに応じて、様々な書類を提出しなければなりません。
銀行が間違った人に払い戻してしまっては大変なので、銀行が誰に払い戻せばよいか判断するために、ケースに応じて、必要な書類が異なるのです。
以下では、銀行での相続手続きに必要な書類について、次のケースごとに説明します。
- 預金を取得する人が遺言によって決まっている場合
- 遺産分割協議書がある場合
- 遺産分割協議をしたが遺産分割協議書がない場合
- 調停または審判によって預金を取得する人が決まっている場合
なお、厳密には、必要な書類は銀行よって多少異なります。
以下では、通常、必要となる書類について説明しますが、実際に手続する際は、預金のある銀行に必要書類を確認してください。
また、以下の説明の中で、「法定相続情報一覧図」というものが出てきますが、法定相続情報一覧図とは、法定相続人が誰で各法定相続人は被相続人とそれぞれどのような間柄なのかという情報を一覧化した図のことで、この写しを提出することによって、戸籍謄本類の代わりとすることができます。ただし、法定相続情報一覧図を作成するために戸籍謄本類が必要なため、いずれにせよ戸籍謄本類は収集しなければなりません。
▼法定相続情報一覧図について詳しく知りたい方へおすすめの記事▼
預金を取得する人が遺言によって決まっている場合
まず、預金を取得する人が遺言によって決まっている場合について説明します。
遺言書があっても、預金を取得する人が遺言によって決まっているとは限りません。
誰にどの財産を承継させるか遺言書に記載されている場合もありますが、遺産を受け取る割合だけ指定されている場合もあるのです。
後者の場合は、実際に誰がどの財産を受け取るかは遺産分割協議によって決めることになります。
また、前者の場合でも、相続人全員の合意があれば、遺言の内容に従わずに、遺産分割協議によって誰がどの財産を承継するか決めることができます。
そのような場合は、遺言書があっても、遺言によって預金を取得する人が決まるわけではないので、後述する「遺産分割協議書がある場合」等の項目をご参照ください。
預金を取得する人が遺言によって決まっている場合、遺言執行者が選任されているかどうかによって必要な書類は異なります。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人のことです。
遺言執行者がいない場合は、相続人や受遺者(遺贈によって遺産をもらい受ける人)が手続きをします。
▼遺言執行者について詳しく知りたい方へおすすめの記事▼
遺言執行者が選任されている場合
遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者が手続きをします。
手続きには下表の書類が必要です。
必要になるケース | 入手先 | |
---|---|---|
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本 | 法定相続情報一覧図の写しがない場合 | 本籍地の市区町村役場 |
遺言執行者の印鑑登録証明書 | 必ず | 住所地の市区町村役場 |
遺言執行者の実印 | 必ず | 自分 |
遺言書 | 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 | 遺言者が保管した場所 |
検認済証明書 | 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
遺言公正証書謄本 | 公正証書遺言の場合 | 遺言が作成された公証役場 |
遺言執行者選任審判書謄本 | 審判によって遺言執行者が選任された場合 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) | 必ず | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
印鑑届 | 名義変更の場合(払戻の場合は不要) | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
通帳・証書・キャッシュカード類 | 必ず | 自分 |
遺言執行者が選任されていない場合
遺言執行者が選任されていない場合は、相続人または受遺者が手続きをします。
手続きには下表の書類が必要です。
必要になるケース | 入手先 | |
---|---|---|
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本 | 法定相続情報一覧図の写しがない場合 | 本籍地の市区町村役場 |
預金を取得する相続人または受遺者の印鑑登録証明書 | 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 | 住所地の市区町村役場 |
預金を取得する相続人または受遺者の実印 | 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 | 自分 |
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の印鑑登録証明書 | 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 | 住所地の市区町村役場 |
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の実印 | 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 | 自分 |
遺言書 | 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 | 遺言者が保管した場所 |
検認済証明書 | 自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
遺言公正証書謄本 | 公正証書遺言の場合 | 遺言が作成された公証役場 |
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) | 必ず | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
印鑑届 | 名義変更の場合(払戻の場合は不要) | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
通帳・証書・キャッシュカード類 | 必ず | 自分 |
遺産分割協議書がある場合
遺産分割協議によって預金を取得する人が決まった場合で、遺産分割協議書を作成した場合は、預金の相続手続きに下表の書類が必要です。
必要になるケース | 入手先 | |
---|---|---|
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本 | 法定相続情報一覧図の写しがない場合 | 本籍地の市区町村役場 |
各相続人と被相続人との関係が確認できる戸籍抄本または戸籍謄本 | 法定相続情報一覧図の写しがなく、かつ、被相続人の戸籍謄本で被相続人との関係が確認できない場合 | 本籍地の市区町村役場 |
相続人全員(相続放棄した人を除く)の印鑑登録証明書(未成年者については法定代理人の印鑑登録証明書) | 必ず | 住所地の市区町村役場 |
手続者の実印 | 必ず | 自分 |
遺産分割協議書(相続人全員(相続放棄した人を除く)の署名押印(実印)) | 必ず | 自分 |
相続放棄申述受理証明書 | 相続放棄をした人がいる場合 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) | 必ず | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
印鑑届 | 名義変更の場合(払戻の場合は不要) | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
通帳・証書・キャッシュカード類 | 必ず | 自分 |
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遺産分割協議をしたが遺産分割協議書がない場合
遺産分割協議をしたからといって必ず遺産分割協議書を作成しなければならないわけではありません。
多くの銀行での相続手続きは遺産分割協議書がなくても可能です(銀行によっては必要な場合もあります)。
銀行での手続きの点だけなら遺産分割協議書がなくても問題ありませんが、遺産に不動産がある場合は登記の際に遺産分割協議書が必要ですし、また、相続人間における後々のトラブル予防のためにも、遺産分割協議書を作成することをお勧めします。
遺産分割協議書がない場合は、下表の書類が必要です。
必要になるケース | 入手先 | |
---|---|---|
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本 | 法定相続情報一覧図の写しがない場合 | 本籍地の市区町村役場 |
各相続人と被相続人との関係が確認できる戸籍抄本または戸籍謄本 | 法定相続情報一覧図の写しがなく、かつ、被相続人の戸籍謄本で被相続人との関係が確認できない場合 | 本籍地の市区町村役場 |
相続人全員(相続放棄した人を除く)の印鑑登録証明書(未成年者については法定代理人の印鑑登録証明書) | 必ず | 住所地の市区町村役場 |
相続放棄申述受理証明書 | 相続放棄をした人がいる場合 | 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
相続人全員の実印 | 必ず | 自分 |
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) | 必ず | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
印鑑届 | 名義変更の場合(払戻の場合は不要) | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
通帳・証書・キャッシュカード類 | 必ず | 自分 |
調停または審判によって預金を取得する人が決まった場合
遺産分割協議が調わない場合に、家庭裁判所での遺産分割調停や遺産分割審判によって決着をつけることがあります。
▼遺産分割調停について詳しく知りたい方へおすすめの記事▼
預金を取得する人が決まった場合は、下表の書類が必要です。
必要になるケース | 入手先 | |
---|---|---|
調停調書謄本 | 調停によって預金を取得する人が決まった場合 | 家庭裁判所 |
審判書謄本 | 審判によって預金を取得する人が決まった場合 | 家庭裁判所 |
審判確定証明書 | 審判によって預金を取得する人が決まった場合で、かつ、審判書に確定表示がない場合 | 家庭裁判所 |
預金を取得する相続人または受遺者の印鑑登録証明書 | 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 | 住所地の市区町村役場 |
預金を取得する相続人または受遺者の実印 | 預金を取得する相続人または受遺者が成年の場合 | 自分 |
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の印鑑登録証明書 | 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 | 住所地の市区町村役場 |
預金を取得する相続人または受遺者の法定代理人の実印 | 預金を取得する相続人または受遺者が未成年の場合 | 自分 |
相続に関する依頼書(名称は銀行によって異なる) | 必ず | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
印鑑届 | 名義変更の場合(払戻の場合は不要) | 銀行で用紙を入手して自分で記入 |
通帳・証書・キャッシュカード類 | 必ず | 自分 |
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遺産分割前に預貯金の仮払いを受けるには相続人全員の同意が必要
相続人全員の同意書等の必要書類を揃えれば仮払い受けることができる場合があります。
金融機関によって必要書類は異なるため、引き出しが必要な場合は、手続き方法を金融機関に確認しましょう。
2019年7月1日以降は他の相続人の同意がなくても仮払いを受けることができる
2019年7月1日、相続法の改正が施行され、相続人全員の同意がなくても、遺産分割前に預貯金の仮払いを受けることができるようになりました。
施行日以前に相続が開始されていても、施行日以降であれば、仮払いを受けることができます。
仮払いを受けるための方法には、次の2つがあります。
- 金融機関の窓口で直接仮払いを求める
- 家庭裁判所に仮払いを申し立てる
以下、それぞれについて説明します。
金融機関の窓口で直接仮払いを受ける
銀行等の金融機関の窓口で直接仮払いを求める方法のメリットには、次の2つがあります。
- 裁判所での手続きが不要(手間も日数も費用もかからない)
- 仮払いが必要な理由を求められない
ただし、生活費や葬儀費用の支払,相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう,遺産分割前にも払戻しが受けられる制度として創設されるので、払戻し可能額に一定の上限額が設けられています。
上限額は、基本的には次の式で計算します。
相続開始時の預貯金債権の額(預貯金残高)× 1/3 × 仮払いを求める相続人の法定相続分 |
▼法定相続分について詳しく知りたい方へおすすめの記事▼
例えば、A銀行に600万円、B銀行に1200万円の預金があって、仮払いを求める相続人の法定相続分が2分の1の場合は、A銀行からは、600万円×1/3×1/2=100万円なので、100万円以内の仮払いを受けることができ、B銀行からは、1200万円×1/3×1/2=200万円以内の仮払いを受けることが出来るようになります。
ただし、一つの金融機関から仮払いを受けられる金額には、法務省令によっても上限が設けられます。上記算式の上限額が法務省令の上限額を超える場合には、法務省令の上限額の範囲内で仮払いを受けることができます。
上限は、一つの金融機関ごとに150万円です。今回のケースでは、A銀行からは100万円、B銀行からは150万円の仮払いを受けることが出来ます。
仮払いを受けた分は、遺産分割の際に相続分から差し引かることになります。
前述の通り、この方法は、手軽である反面、金額に上限があるので、葬儀費用等の取り急ぎ必要なお金の確保に利用するとよいでしょう。
家庭裁判所に仮払いを申し立てる
それほど緊急ではないが、遺産分割協議が長引きそうなので、遺産分割前に仮払いを受ける必要がある場合は、家庭裁判所に仮払いを申し立てることによって、預貯金債権の法定相続分の全額の仮払いを受けることも可能です。
この方法は、上限金額の縛りがないというメリットがある反面、次のようなデメリットがあります。
- 家庭裁判所に遺産分割調停(または審判)を申し立てたうえで、さらに仮払いを申し立てなければならない(手間と日数と費用がかかる)
- 仮払いを受ける理由が求められる
名義人死亡後、凍結前に出金してもいい?
口座名義人が死亡しても、金融機関が死亡を把握しなければ、口座は凍結されません。
その間に、キャッシュカードの暗証番号を知っていれば、ATMで預金を引き出すことができてしまいます。
そのような行為は、次の2つの問題があります。
- 他の共同相続人との間でトラブルになることがある
- 相続を単純承認したことになる
以下、それぞれについて説明します。
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他の共同相続人との間でトラブルになることがある
被相続人の預金口座は、遺産分割協議の対象ですから、勝手に引き出して使うことは本来許されません。
引き出す前に必ず他の共同相続人の同意を取り付けましょう。
また、引き出したお金を葬儀費用といった遺産から支出しても構わないものの支払いに充てた場合は、必ず領収書を取っておいて、自分のために使ったのではないことを証明できるようにしておきましょう。
相続を単純承認したことになる
葬儀費用だけのために引き出すのであればよいのですが、引き出したお金を自分のために使ってしまうと、相続を単純承認したことになります。
相続放棄や限定承認を検討する必要がまったくなければそれで問題ないのですが、後日、プラスの財産よりも負債の方が大きかったことが発覚した場合に、相続放棄をしようと思っても、一度単純承認してしまうと、相続放棄も限定承認もできません(限定承認とは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて、残った限度で相続するという手続きのこと)。
口座凍結されたまま放置すると預金払戻請求権の消滅時効が成立する可能性がある
預貯金口座の払戻請求権は、銀行の場合は5年で、信用金庫や信用組合の場合は10年で消滅時効にかかってしまいます。
この期間までに遺産分割をしないと、金融機関から時効を援用されてしまい、払戻し請求ができなくなってしまうおそれがあります。
当座の現金が必要ない場合は、そのままにしてしまいがちですが、うっかり10年経ってしまわないように、すぐに払い戻しをしておきましょう。
もっとも、金融機関によっては、10年経ってしまった場合でも払い戻しに対応してくれるケースもあります。
まとめ
以上、口座凍結について説明しました。
凍結口座を解除などは必要書類も多いため、行政書士などの専門家に代行を依頼するのもひとつの手段です。
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この記事を書いた人
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