税理士監修記事

マンションの相続税評価額の計算方法と相続税対策をわかりやすく説明

マンションを持っていて子供や配偶者に相続させるという人にとっても、相続した人にとっても、「相続税がいくらかかるか」ということは気になるでしょう。

この記事では、マンションの相続税評価額の計算方法や相続税の計算方法、それから、「なぜ、マンションは現金よりも相続税が安くなるのか」という点について説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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基礎控除額以下なら相続税はかからない

まず始めに知っておかなければならないのは、正味の遺産額(課税価格の合計額)が基礎控除額以下なら相続税はかからず、申告も不要だということです。

基礎控除額は、以下の計算式によって計算することができます。

3000万円+600万円+法定相続人の数

法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことです。

上記の式に当てはめると、相続税の基礎控除額は、法定相続人の数ごとに次のようになります。

法定相続人の数 基礎控除額
1 3600万円
2 4200万円
3 4800万円
4 5400万円
5 6000万円
以降も法定相続人が1人増えるごとに600万円を加算

法定相続人の数え方について詳しくは、「相続税はいくらからかかるのか?いくらまで無税なのか?」の「法定相続人の数え方」の項目をご参照ください。

例えば、法定相続人が1人の場合は、基礎控除額が3600万円ですが、遺産がマンション以外にないとすれば、マンションの価額が3600万円以下の場合は、相続税はかからず、申告も不要であるということです。

マンションの相続税評価額の計算方法

相続税を計算するためには、個々の相続財産を評価して、正味の遺産額を算出しなければなりません。

マンションの価額は、区分建物の価額と敷地権の価額を足し合わせて算出します。

相続税の計算のための財産の評価には、相続税評価額を用います。

区分建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じ額です。

固定資産税評価額は、毎年4月~6月頃(市町村によって異なります)に納税義務者に届く「固定資産税・都市計画税納税通知書」に同封されている(別送の場合もあります)「課税明細書」の「価格」または「評価額」の欄に記載されています。

課税明細書のフォーマットは市町村ごとに異なるため、課税明細書の見方が分からない場合は、市町村の役所(東京23区は都税事務所)で確認するとよいでしょう。

固定資産税評価額は、3年に1度、評価替えが行われ、固定資産税評価額が更新されます。

最近では2018年に行われました。

評価替えの年でなくても、地価の下落傾向がみられる場合には、評価額が変更になることがあります。

相続税の計算には、相続開始の年(亡くなった年)の固定資産税評価額を用います。

なお、課税明細書が見当たらないという人のために、固定資産税評価額を確認する他の手段をお伝えしておきます。

固定資産税評価額は、「固定資産評価証明書」(「固定資産課税台帳登録事項証明書」ともいいます)にも記載されています。

固定資産評価証明書は、市区町村の役所や都税事務所で、交付を受けることができます。

交付を受けられる人には制限があり、まったく関係のない他人の不動産の証明書の交付を受けることはできません。

交付を受けられるのは、所有者と同居の家族、相続人、借地人、借家人、代理人などです。

なお、固定資産税評価証明書は、登記手続きに必要なので、取得しても無駄になりません。

また、マンションを人に貸している場合は、借家権の価額を建物の評価額から差し引くことができ、その分、評価額を下げることができます。

貸家の評価額は、次の算式で計算することができます。

家屋の相続税評価額-家屋の相続税評価額×借家権割合×賃貸割合

借家権割合は、2019年現在、全国どの地域でも30%となっています。

賃貸割合は、一部のみ貸している場合に使用しますが、マンションの1室を貸す場合は、通常、その部屋全体を貸すでしょうから、その場合は、賃貸割合は100%で計算します。

簡単に言うと、相続開始の時(亡くなった時)に、マンションを人に貸している場合は、評価額が3割引になるということです。

なお、無償で貸している場合や、著しく低廉な価格で貸している場合は、借家権割合の適用を受けることはできません。

最低でも固定資産税額の2倍~3倍の家賃をもらっていなければ借家権割合の適用を受けることはできないでしょう。

続いて、敷地権の相続税評価額の計算方法について説明します。

マンションの敷地は、マンションの11室の所有者全員で共有しています。

各所有者には、敷地の共有持分があります。

この敷地の共有持分の割合のことを「敷地権の割合」といいます。

マンションの敷地権の相続税評価額は、「敷地全体の相続税評価額×敷地権の割合」で計算することができます。

敷地権の割合は、前述の課税明細書ではなく、固定資産評価証明書や登記簿に記載されています。

登記後に敷地権の割合が変更されることも稀にあるため、正確を期すのであれば、固定資産評価証明書を確認しましょう。

敷地権の割合は、「○○分の○○」といった形で、分数で表示されています。

敷地全体の相続税評価額の計算方法については、マンションの敷地だからといって特別なことはなく、通常の宅地と同じように計算します。

宅地の評価方式には、路線価方式と倍率方式があり、地域ごとにどちらの方式で評価すべきか決められています。

どちらの方式によるべきかについては、国税庁ウェブサイトの「財産評価基準書」のページから確認することができますが、概ね、市街地は路線価方式、郊外は倍率方式となっています。

路線価方式による宅地の相続税評価額は「相続税路線価×地積×画地補正率」で計算することができます。

相続税路線価とは、路線(道路)に面する土地の1㎡当たりの相続税評価額のことで、国税庁ウェブサイトの「財産評価基準書」のページから確認することができます。

地積とは、土地の面積のことです。

画地補正率とは、その土地の奥行、形状、利用上の法的制限等画地の現状に応じた補正を行うための率です。

一般の人が画地補正率を正確に算定するのは難しいです。

本来の評価額よりも高く評価してしまっても、税務署は「高く評価してしまっていますよ」とは教えてくれないので、不必要に高額な相続税を納めることになってしまいます。

また、反対に、低く評価しまった場合は、税務調査で指摘されて修正申告が必要になり、延滞税や加算税が余計にかかるおそれがあります。

ついては、相続税の申告のための路線価地域の宅地の評価については、宅地の評価に精通した税理士に相談することを強くお勧めします。

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相続税の申告のためではなく、参考までに概算額を知りたいという場合は、「固定資産税評価額×1.14」で路線価地域の宅地の相続税評価額の概算額を試算することができます。

なお、倍率方式によって相続税評価額を計算する場合は、不整形地補正を含めた画地補正は行いません。

倍率地域の場合は、対象となる宅地の固定資産税評価額に、評価倍率表に記載されている評価倍率を乗じて(掛け算して)、相続税評価額を算出します。

固定資産税評価額が、既に不整形地補正を含めた画地補正が行われた価額になっているため、画地補正は不要なのです。

なお、この評価倍率表で、その地域が路線価地域なのか倍率地域なのかも併せて確認することができます。

評価倍率表の確認方法については「相続税を計算する際の土地の評価方法についてわかりやすく説明!」をご参照ください。

また、マンションの敷地権についても、「小規模宅地等の特例」の適用を受けて、最大80%引で評価することができます。

小規模宅地等の特例について詳しくは「小規模宅地等の特例で8割減で大幅に節税する方法と意外な落とし穴」をご参照ください。

相続税の基本的な計算方法

各相続財産を評価したら、それらを合計して(借金等の債務については差し引いて)、正味の遺産額を算出したのち、次の手順で相続税額を計算します。

  1. 正味の遺産額(課税価格の合計額)を算出する
  2. 正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出する
  3. 法定相続分に基づき各法定相続人の相続税額を算出し、それらを合計する
  4. 相続税総額を実際の相続分に基づき按分する
  5. 各相続人の事情に応じて税額を増減する

例えば、遺産が6000万円のマンションと4000万円の預貯金で、法定相続人が被相続人(亡くなって財産を残す人)の子であるAB2人で、AがマンションをBが現金を相続したとします。

正味の遺産額は6000万円+4000万円=1億円です。

基礎控除額は、前述のとおり「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算できます。

今回の基礎控除額は、法定相続人は2人なので、3000万円+600万円×2人=4200万円です。

課税遺産総額は、1億円-4200万円=5800万円です。

法定相続分は2分の1ずつなので、AB、それぞれの課税対象額は5800万円×122900万円です(法定相続分については「法定相続分とは?相続人の組み合わせパターン別法定相続分の計算方法」参照)。

これを以下の相続税の速算表に当てはめます。

法定相続分に応ずる取得金額

(各法定相続人の課税対象額)

税率 控除額
1000万円以下 10
1000万円超3000万円以下 15 50万円
3000万円超5000万円以下 20 200万円
5000万円超1億円以下 30 700万円
1億円超2億円以下 40 1,700万円
2億円超3億円以下 45 2,700万円
3億円超6億円以下 50 4,200万円
6億円超 55 7,200万円

AB共に、「法定相続分に応ずる取得金額(各法定相続人の課税対象額)」の列が「1000万円超3000万円以下」の行を確認すればよいので、税率は15%、控除額が50万円となり、相続税総額は、(2900万円×15%50万円)+(2900万円×15%50万円)=770万円となります。

これを実際の相続分に基づき按分します。

そうすると、Aの相続税額は770万円×6000万円/1億円=462万円、Bの相続税額は、770万円×4000万円/1億円=308万円となります。

そして、各相続人に、控除や2割加算の適用等、税額を増減する事情がある場合は、その事情に応じて計算します。

相続税の詳細な計算方法については、「相続税の計算方法を流れに沿ってステップごとにわかりやすく説明!」をご参照ください。

なぜ、マンションの購入が相続税対策になるのか?

マンションを買うと相続税対策になるという話を聞いたことがあるかもしれません。

なぜ、マンションを買うことが相続税対策になるのでしょうか?

順を追って説明します。

まず、ンションに限らず不動産の相続税評価額は、実際の価格よりも低くなります。

土地の相続税評価額は実際の価格の8割程度、建物の相続税評価額は実際の価格の5割~7割程度です。

さらに、マンションは、立地等にもよりますが、戸建よりも借り手が付きやすい傾向にあり、人に貸すことによって、評価額を3割引することができます。

そして、マンションは、同じ敷地を多数の所有者で共有するので、土地(敷地権)の持分割合を下げることができます。

土地の持分割合が低くなると、それに応じて相続税評価額も下がりますが、土地の持分割合が低くなることの価額への影響は、実際の価格よりも相続税評価額への影響の方が大きいために、マンションの場合は、実際の価格と相続税評価額との乖離が、より広がる傾向にあるのです。

この点、タワーマンションの場合は、さらに、地積に対する延べ床面積の割合が大きくなり、比例して、各戸の敷地権割合は小さくなります。

また、タワーマンションの高層階は、眺望が良い等の理由で、低層階に比べて価格が高い傾向にありますが、相続税評価額(=固定資産税評価額)には、それほど大きな差はないため、高層階は、実際の価格と相続税評価額との差が大きく、さらに相続税対策としての効果が高いとされています。

なお、タワーマンションの高層階と低層階の固定資産税評価額に差が設けられるようになったのは、20174月以降に引渡しされた新築マンションのみで、それ以前に新築時の引渡しがされたマンションは、高層階の低層階の固定資産税評価額にまったく差がないため、さらに相続税対策としての効果が高くなっています。

また、南向きの物件も、北向きの物件と比べて実際の価格は高くなるにもかかわらず、固定資産税評価額には差がないため、相続低対策としての効果が高くなります。

しかし、気を付けなればならないのは、2あります。

一つ目は、相続開始の直前に購入して相続後すぐに売却したようなケースでは、通常の方法で計算した相続税評価額ではなく、購入金額で評価されてしまう可能性があるということです。

購入金額で評価されると、相続税対策としての効果はまったくありません。

このような相続税対策のために一時的に財産の所有形態を変更するようなことは認められないのです。

二点目は、購入したマンションの価格が下落してしまい、節税効果以上の損失が生じてしまうリスクもあるということです。

このようなリスクがあることを十分に認識し、マンションによる相続税対策に精通した税理士等の専門家によく相談した上で、慎重に検討するべきでしょう。

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まとめ

以上、マンションの相続税に関することについて説明しました。

不明な点は税理士にご相談ください。

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