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成年後見人制度のメリットとデメリット、後見以外の制度を選ぶべき場合

認知症等によって判断能力が低下した場合に備えて、事前に成年後見制度について情報収集しておくことは有用です。

この記事では、成年後見制度のメリットとデメリットを紹介し、後見制度以外の選択肢についても説明します。

是非、参考にしてください。

成年後見制度を利用するメリット

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害等の理由で判断能力が不十分な人を保護し、支援するための制度です。

成年後見制度を利用するメリットして、例えば、次のような点が挙げられます。

  • 不必要な契約をしてしまっても取り消すことができる
  • 不動産や預貯金等の財産を管理してもらえるため、身近な人等による財産の使い込みや経済的な破綻を予防できる
  • 介護などのサービスや施設への入所に関する契約等の生活に必要な契約を代理しておこなってもらえる
    ※成年後見人に食事の世話や実際の介護をしてもらえるわけではないことにご注意ください。
  • 相続に関する権利等、有している権利の行使を代理してもおこなってもらえる(例えば、遺産分割協議を代理して行ってもらえる)

成年後見制度を利用するデメリット

他方、成年後見制度を利用するデメリットして、次のような点が挙げられます。

  • 申立ての費用と手間がかかる
  • 後見人への報酬がかかる(又は、後見人となった親族に無報酬で事務負担をかけてしまう)
  • 積極的な資産運用ができなくなる
  • 相続税対策ができなくなる

以下、それぞれについて説明します。

申立ての費用と手間がかかる

成年後見制度を開始するには、後見開始の申立てをして、家庭裁判所の審判を受けなければなりません。

この手続きには、手間と費用がかかります。

申立費用については、鑑定が不要な場合は2万円程度ですが、鑑定が必要な場合はさらに鑑定費用(5万~10万円程度)がかかります。

被後見人の資力が乏しい場合は、成年後見制度利用支援事業の助成を受けることができます。しかし、希望すれば必ず助成を受けられるわけではありませんし、受けられたとしても、かかった費用の全額が助成されるとも限りません。

また、申立てについては、司法書士や弁護士に委任することができ、その場合は、申立ての手間を大きく削減することができます。

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ただし、10万~30万円程度の委任料がかかるでしょう。

後見開始の申立方法については「成年後見申立てによって後見人を選任するための手続きの流れ」を、成年後見制度にかかる費用については「成年後見人の費用・報酬のすべてについてわかりやすくまとめました」を、成年後見制度利用支援事業については「成年後見制度利用支援事業で申立費用と後見人報酬の助成を受ける方法」をそれぞれご参照ください。

後見人への報酬がかかる(又は、後見人となった親族に無報酬で事務負担をかけてしまう)

成年後見制度を利用すると、後見人への報酬が必要となることがあります。

後見人に司法書士、弁護士、社会福祉士等の専門職が選任された場合は、報酬は必ずかかります。

親族が選任された場合は報酬をもらわないこともできますが、そうすると、その親族後見人は無報酬で後見事務の負担を強いられることになってしまいます。

また、後見人に親族を希望しても、家庭裁判所の判断で専門職が選任されることもありますし、親族を後見人に選任したうえで、専門職を後見監督人(後見人の事務を監督する人)に選任することもあります。

後見人の報酬額の目安は、管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)に応じて、下の表のとおりです。

管理財産額報酬月額
1000万円以下2万円
1000万円超5000万円以下3万~4万円
5000万円超5万~6万円

成年後見人等の後見等事務において、身上監護等に特別困難な事情があった場合には、上記基本報酬額の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加するものとします。

また、成年後見人等が、例えば、報酬付与申立事情説明書に記載されているような特別の行為をした場合には、相当額の報酬を付加することがあります。

後見監督人の報酬額の目安は、管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)に応じて、下の表のとおりです。

管理財産額報酬月額
5000万円以下1万~2万円
5000万円超25千~3万円

なお、被後見人の資力が乏しい場合は、成年後見制度利用支援事業によって、費用助成を受けることができますが、助成金額は、厚生労働省が参考単価として示した金額を月額上限としている自治体が多いようです。

【成年後見人等に対する報酬助成の参考単価】

居住種別報酬助成額(月額・上限)
施設入居者18千円
在宅者28千円

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積極的な資産運用ができなくなる

家庭裁判所はあくまで本人の財産の保護という観点から判断を行います。

そのため、不動産投資や株式投資等の積極的な資産運用はできません。

この点は、投資をするほどの財産がない場合は気にすることはないでしょうが、資産の多い人にとってはデメリットといえるでしょう。

相続税対策ができなくなる

相続税の基礎控除額以上の財産がある場合は、相続税がかかる可能性がありますが、相続税対策として、生前贈与や、生命保険の加入、不動産の購入、賃貸不動産の経営等が有効なケースがあります。

しかし、成年後見制度を利用すると、このような相続税対策を実行することは難しくなります。成年後見制度は、本人の財産を保護するための制度であり、相続人を保護するためのものではないからです。

なお、相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×相続人の数」で計算します。

相続人の数え方については「相続税はいくらからかかるのか?いくらまで無税なのか?」の「法定相続人の数え方」の項目をご参照ください。

財産が基礎控除額を超えない人は気にする必要はありませんが、資産が多い人にとってはデメリットといえるでしょう。

財産管理は任せたいが資産運用や相続税対策もしたい場合は家族信託

財産管理は任せたいが、資産運用や相続税対策もしたいという場合は、家族信託という選択肢が考えられます。

家族信託とは、信託法という法律を利用して、資産を信頼する家族に信託して、財産管理と資産承継を行う方法です。

「信託する」とは、財産の所有者(委託者)が、信頼できる人(受託者)に財産を渡し 、その人に管理・活用して利益をあげてもらい、その利益を所有者が指定した人(受益者)に渡してもらうという行為をいいます。

委託者自身を受益者とすることもできます。

家族信託の場合は、資産運用や相続税対策を行うことができます。

また、家族信託は、遺言の代わりに利用したり(遺言代用信託)、自分の遺産を取得した人が死亡した時に自分の遺産を取得する人を指定することもできます(受益者連続信託)。

しかも裁判所の関与がないので、申立て等の手間なく開始することができます。

もっとも家族信託もよいことばかりではありません。

後見制度では、後見人に裁判所への報告義務があり、後見人が不正等を行っていないか裁判所がチェックすることができます。

他方、家族信託では裁判所が受託者の仕事をチェックすることはありません。

受託者監督人を選任することで、受託者の仕事をチェックすることができますが、その場合は、受託者監督人への報酬が必要になります。

また、家族信託では、委託者がした不必要な契約を受託者が取り消すということは基本的にはできません。

そのようなおそれがある場合は、成年後見制度の利用が必要です。

なお、家族信託は成年後見制度と併用することもできます。

家族信託については詳しくは「認知症で財産を失って侘しい老後にならぬように家族信託で備える方法」をご参照ください。

成年後見制度に関する誤解

成年後見制度について、次のような点をデメリットして誤解されていることがあります。

  • 選挙権がなくなる
  • 特定の職業に就けなくなる
  • 印鑑登録が抹消される、できなくなる

以下、それぞれについて説明します。

選挙権がなくなる

被後見人となっても選挙権はなくなりません。

成年後見制度が始まった後もしばらくは、成年被後見人には選挙権がありませんでした。

しかし、2013314日に東京地方裁判所において、成年被後見人に一律に選挙権を制限することになる公職選挙法11条1項1号は違憲である旨の判決が下り、同年527日に公職選挙法が改正され、成年被後見人が選挙権をもつようになりました(同年630日施行)。

特定の職業に就けなくなる

被後見人は、法律に定められた欠格条項によって、一律に公務員などの職業に就けなかったのですが、この点についても、法改正がありました。

2019614日に「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が公布されました。

この法律によって、国家公務員法、自衛隊法、警備業法等、187の法律に規定されている欠格条項が一括して削除されるとともに、それぞれの法律に、職務に必要な能力の有無を個別に判断するなどとした規定が設けられます。

ただし、未施行のものもあります。

施行日については、下の表のとおりです。

項目施行期日
欠格条項を削除するのみのもの原則として公布の日
府省令等の整備が必要なもの原則として公布の日から起算して3月を経過した日
地方公共団体の条例等又はその他関係機関の規則等の整備が必要なもの原則として公布の日から起算して6月を経過した日
上記により難い場合個別に定める日

施行日ごとに資格をまとめると下の表のようになります。

施行日資格
2019614准介護福祉士、養育里親及び養子縁組里親、酒類の販売業免許 など
2019914国家公務員、自衛隊員、マンション管理士、旅行業務取扱管理者、社会福祉法人の役員、宅地建物取引業の免許、建設業の許可 など
2019121一級建築士免許、 二級建築士免許 など
20191214医師、介護福祉士、教員、弁護士、行政書士、警備員、税理士、地方公務員、農業協同組合の役員、貸金業の登録、古物営業の許可 など

印鑑登録が抹消される、できなくなる

印鑑登録が抹消されることや登録できなくなることをデメリットと考えている人がいますが、この点は、デメリットとは言えないでしょう。

印鑑登録証明書は、不動産取引等のような重要な法律行為をする際に、本人確認のために必要となります。

しかし、被後見人は自分で法律行為をすることができなくなるので、印鑑登録が不要になります。

後見開始後に印鑑登録証明書が必要な契約等をする場合は、被後見人の印鑑登録証明書ではなく、後見人の印鑑登録証明書が必要になります。

まとめ

成年後見制度や、他の選択肢について不明な点は、司法書士や弁護士等の専門家に相談するとよいでしょう。

成年後見でお悩みの方は
まずは弁護士にご相談ください

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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