相続した預金を引き出す方法。口座凍結後の仮払い計算例付き

相続人が、故人の預金を引き出すにはどのような手続きをとればよいのでしょうか?

また、緊急にお金が必要な場合は、勝手に引き出しても違法にはならないのでしょうか?

口座が凍結されたら、どんな理由でも引き出しはできないのでしょうか。

この記事では、このような相続した預金の引出しに関するよくある疑問について説明します。

是非、参考にしてください。

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記事は、公開日(2019年12月16日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

相続した預金の払戻しを受けるまでの流れ

相続した預金の払戻しを受けるまでの流れは、概ね次の通りです。

  1. 死亡届を役所に提出
  2. 通帳、キャッシュカードを確認
  3. 口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡
  4. 引き落としや入金の予定がある場合は、引落口座や入金口座を変更
  5. 必要書類の提出
  6. 払戻し

以下、それぞれについて説明します。

死亡届を役所に提出

死亡届が提出されていない場合は、相続手続きを開始することができません。

死亡届は、被相続人が亡くなったことが判明したら、7日以内(国外で死亡した場合は、死亡を知った日から3か月以内)に役所に提出しなければなりません。

葬儀を葬儀社に依頼する場合は、通常、葬儀社が提出を代行してくれます。
▼死亡届について詳しく知りたい方へおすすめの記事▼

通帳、キャッシュカードを確認

亡くなった人が、どこの銀行に口座をもっているのか不明な場合は、それを明らかにしなければなりません。

通帳やキャッシュカードを探しましょう。

口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡

通帳またはキャッシュカードを準備して、口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡します。

連絡方法は、銀行によって異なるため、銀行のウェブサイトで確認するか、銀行に電話して確認するとよいでしょう。

引き落としや入金の予定がある場合は、引落口座や入金口座を変更

銀行に連絡をすると、口座が凍結され、出入金が一切できなくなります。

公共料金やクレジットカード等の引き落としがある場合は、決済方法の変更や解約などの手続きを並行して進めましょう。

凍結された口座に入金の予定がある場合は、早めに入金元に対して連絡するとよいでしょう。そうしないと、被相続人が賃貸物件を持っている場合などは、借主が家賃を入金できなくなり困ってしまいます。

必要書類の提出

必要書類は、ケースによって異なりますし、また、銀行によって異なります。

口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡した際等に、銀行が必要書類について教えてくれるでしょう。

払戻し

必要書類を漏れなく提出すると、指定した口座に預金の払戻しがあります。

必要書類を提出してから払戻しまでの期間は、ケースや銀行によって異なりますが、1週間~2週間ほどのことが多いです。

口座凍結前に預金を引き出すこともできるが、注意点あり

葬儀費用等が急ぎで必要な場合で、かつ、キャッシュカードの暗証番号が分かる場合は、口座凍結前にATMで預金を引き出すことも可能です。

しかし、これには次の2つの問題があります。

  • 他の共同相続人との間でトラブルになることがある
  • 相続を単純承認したことになる

以下、それぞれについて説明します。

他の共同相続人との間でトラブルになることがある

被相続人の預金口座は、遺産分割協議の対象ですから、勝手に引き出して使うことは本来許されません。引き出す前に必ず他の共同相続人の同意を取り付けましょう。

また、引き出したお金を、葬儀費用といった「遺産から支出しても構わないもの」の支払いに充てた場合は、必ず領収書を取っておいて、自分のために使ったものではないことを証明できるようにしておきましょう。

相続を単純承認したことになる

葬儀費用だけのために引き出すのであればよいのですが、引き出したお金を自分のために使ってしまうと、相続を単純承認したことになります。
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相続放棄を検討する必要がまったくなければそれで問題ないのですが、後日、プラスの財産よりも負債の方が大きかったことが発覚した場合に、相続放棄をしようと思っても、一度単純承認してしまうと、相続放棄ができません。
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口座凍結後の仮払い

口座締結後、遺産分割協議が長期化していて、葬儀費用等を支払いたいのに、預金の払戻しを受けられないということがあります。

そのような場合には、仮払手続きを利用するとよいでしょう。

また、遺産分割協議が成立している場合は、仮払いではなく、本来の相続手続によるべきですが、預金額が少額であれば、相続手続よりも簡便な仮払手続きを利用することも考えられます。

仮払いを受けるためには、相続人全員の同意書が必要でしたが、相続法の改正によって、201971日(改正法の施行日)からは、他の相続人の同意がなくても仮払いを受けられるようになりました。 

施行日以前に相続が開始されていても、施行日以降であれば、仮払いを受けることができます。

仮払いを受けるための方法には、次の2つがあります。

  • 金融機関の窓口で直接仮払いを求める
  • 家庭裁判所に仮払いを申し立てる

以下、それぞれについて説明します。

金融機関の窓口で直接仮払いを受ける

銀行等の金融機関の窓口で直接仮払いを求める方法のメリットには、次の2があります。

  • 裁判所での手続きが不要(手間も日数も費用もかからない)
  • 仮払いが必要な理由を求められない

ただし、生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度として創設されるので、払戻可能額に一定の上限額が設けられています。

相続開始時の預貯金債権の額(預貯金残高)×1/3×仮払いを求める相続人の法定相続分

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例:A銀行に600万円、B銀行に1200万円の預金。仮払いを求める法定相続人が2人の場合

先述の計算式に当てはめてみます。

A銀行:600万円×1/3×1/2=100万円
B銀行:1200万円×1/3×1/2=200万円

しかし、一つの金融機関から仮払いを受けられる金額には、法務省令によっても上限が設けられます。先述の計算式の上限額が法務省令の上限額を超える場合には、法務省令で定められた上限額である150万円の範囲内で仮払いを受けることができます

そのため、設例のケースでは、A銀行からは100万円、B銀行からは150万円の仮払いを受けられるという結果になります。
なお、仮払いを受けた分は、遺産分割の際に相続分から差し引かれます。

家庭裁判所に仮払いを申し立てる

それほど緊急ではないが、遺産分割協議が長引きそうなので、遺産分割前に仮払いを受ける必要がある場合は、家庭裁判所に仮払いを申し立てることによって、預貯金債権の法定相続分の全額の仮払いを受けることも可能です。

この方法は、上限金額の縛りがないというメリットがある反面、次のようなデメリットがあります。

  • 家庭裁判所に遺産分割調停(または審判)を申し立てたうえで、さらに仮払いを申し立てなければならない(手間と日数と費用がかかる)
  • 仮払いを受ける理由が求められる

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預金を引き出した場合の清算方法

預金を引き出した場合の清算方法について説明します。

引き出したお金の使途が葬儀費用の支払い等の場合は、清算は不要ですが、相続人が自分のために使った場合は、遺産分割時に引き出した分を差し引いて清算します。

相続分以上に引き出された場合は、他の相続人は、引き出した人に対して不当利得返還請求(または不法行為に基づく損害賠償請求)をすることができます。

まとめ

以上、相続した預金の引き出し方について説明しました。

うっかり引き出すと相続放棄できなくなる等の不利益もあるため注意しましょう。

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