弁護士監修記事
財産目録の書式をダウンロードしてカンタンに財産目録を作成する方法

財産目録は、いつ、どのように作成すればよいか知っていますか?
この記事では、財産目録を作成しなければならない場合や、作成するメリット、それから、書式をダウンロードして簡単に財産目録を作成する方法について説明します。
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。
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目次
財産目録とは?
財産目録とは、財産の一覧表のことです。
現金や預貯金、不動産といった積極財産(プラスの財産)だけでなく、負債等の消極財産(マイナスの財産)についても一覧にします。
財産目録は、どういうときに、誰が、作らなければならない?
財産目録は、相続財産についてだけでなく、様々なケースで作成されます。
また、個人だけでなく法人の財産についても作成されます。
例えば、次のような場合には、財産目録の作成が義務付けられています。
- 公益法人、非営利法人、社会福祉法人、医療法人、学校法人、宗教法人等について監督官庁に設立を届出る場合や決算を報告する場合
- 会社が解散による清算手続きをする場合
- 株式会社の更生手続や再生手続が開始された場合
- 破産手続を開始した場合
- 不在者財産管理人が選任された場合
「相続人が音信不通の場合に不在者財産管理人を選任し遺産分割する方法」参照 - 未成年者後見人や成年後見人が選任された場合
「未成年後見人とは?親権者がいなくなった場合に知っておくべき全知識」及び「成年後見人とは?成年後見制度のデメリット、家族信託という選択肢も」参照 - 相続の限定承認を申述する場合
「限定承認のメリット・デメリットと利用すべき場合や手続きの流れ」参照 - 遺言執行者が選任された場合
「遺言執行者とは?どんな場合に必要?遺言執行者の選び方と役割、報酬」参照
これらの場合は、財産目録を作成しなければならないと法律で決められています。
この記事をご覧の方は相続財産の財産目録について知りたい方が多いかと思いますが、以上の通り、財産目録は、相続財産以外の財産についても財産目録は作成されるため、ウェブ等で財産目録について調べようとすると、相続財産についての説明しているページのほか、法人の財産について説明しているページ等も出てくるので、少々混乱するかもしれません。
なお、この記事では、相続財産の目録について説明します。
相続財産目録を作成するケース
相続財産目録を作成するケースには、次のものがあります。
- 自分の財産の目録を生前に作成
- 相続人らが被相続人(亡くなった人)の遺産の目録を作成
- 遺言執行者が遺言執行に先駆けて遺産の目録を作成
このうち、作成が義務付けられているのは、遺言執行者だけです。
相続人らが遺産の目録を作成することは、義務ではないものの、相続財産が多岐に渡る場合、相続人らは遺産の目録を作成しなければ、遺産分割協議や相続税の申告の際に不便なので、遺産の目録を作成することが多いでしょう。
しかし、被相続人が亡くなった後に相続人らで遺産を調査するのはなかなか大変です。
自分の財産のことは自分自身が最もよく把握しているでしょうから、生前に財産目録を作成し、相続人の負担を減らしてあげられるとよいでしょう。
自分の財産の目録を生前に作成するメリット
自分の財産目録を生前に作成することには次のようなメリットがあります。
- 相続税対策を正確に検討できる
- 遺言内容を詳細に検討できる
- 相続人に遺産の全容を知らせることができる
以下、それぞれについて説明します。
相続税対策を正確に検討できる
相続税対策を講じることによって、相続人が納めなければならない税金が低くなることがあります。
相続税対策を検討する前に、まず、自分の財産と、その価値について把握しなければなりません。
そのために、財産目録を作成することが有用なのです。
なお、相続税対策については「相続税対策で無駄なく節税するために知っておくべきすべてのこと」をご参照ください。
遺言内容を詳細に検討できる
遺言内容を検討するに当たって、財産目録を作成し、自分の財産と、その価額について整理しておくとよいでしょう。
財産目録を見ながら誰にどの財産を与えるか検討することができます。
遺言について詳しくは「遺言書の正しい書き方とは?思いどおりに財産を承継させるポイントを解説!」をご参照ください。
相続人らに遺産の全容を知らせることができる
財産目録を作成し、遺言書に添付する等して相続人や包括受遺者(対象を特定されずに遺言によって財産をもらい受ける人)が財産目録を確認できるようにしておくことで、相続人らは遺産の全容を知らせることができます。
相続人らに遺産の全容を知らせることは次のような点において意味があります。
- 相続を承認するか放棄するかの判断材料を提供する
- 各遺産の存在を認識させる
- 遺産分割協議の際に活用してもらう
- 相続税申告を容易にする
以下、それぞれについて説明します。
相続を承認するか放棄するかの判断材料を提供する
相続すると、現金や預貯金、不動産といった積極財産(プラスの財産)だけでなく、負債等の消極財産(マイナスの財産)も相続することになります。
積極財産の総額よりも消極財産の総額の方が高額な場合に相続すると、相続人が自分の財産で相続債務を弁済しなければならなくなってしまいます。
相続人は、必ず相続を承認しなければならないわけではなく、相続を放棄することもできます。
相続人は、相続を承認するべきか放棄するべきかを判断するに当たり、積極財産と消極財産のどちらが高額なのかを知りたいでしょう。
なお、相続放棄については「相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点」をご参照ください。
各遺産の存在を認識させる
財産に債権がある場合に、相続人がその存在に気付かなければ、時効で消滅してしまって相続できないこともありえます。
そのようなことにならないためにも、財産目録を残すことは有益です。
遺産分割協議の際に活用してもらう
共同相続人や包括受遺者が複数いる場合は遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議を行う際も、財産目録は有用です(遺産分割について詳しくは「遺産分割で揉めず損せずスムーズに協議をまとめるための重要ポイント」を参照)。
相続税申告を容易にする
相続税額は課税対象額から算定されます。
財産目録が作成されていると課税対象額を容易に算定することができ、相続税の申告の際に便利です。
相続税について詳しくは「相続税の計算方法や土地評価方法、贈与税との比較など相続税の全知識」をご参照ください。
相続人らの負担を軽減してあげよう
以上のとおり、財産目録は有用であり、被相続人が財産目録を作成していない場合は、相続人らで財産目録を作成することが多いです。
被相続人が亡くなった後に遺産を調査するのはなかなか大変です。
自分の財産のことは自分自身が最もよく把握しているでしょうから、生前に財産目録を作成し、相続人の負担を減らしてあげられるとよいでしょう。
相続財産目録の記載対象となる財産
相続財産目録の記載対象となる財産は、前述の通り、現金や預貯金、不動産といった積極財産(プラスの財産)だけでなく、負債等の消極財産(マイナスの財産)も含まれます。
相続財産について詳しくは「相続財産とは何?相続の対象となる財産と相続税の対象となる財産」をご参照ください。
生命保険金などのように、相続財産ではなくても、相続税の課税対象となる財産もあり、これをみなし相続財産と言います。
みなし相続財産について詳しくは「みなし相続財産とは?みなし相続財産を活用した相続税対策も紹介」をご参照ください。
みなし相続財産についても財産目録に記載し、相続税の申告の際に漏れがないようにしておくとよいでしょう。
財産目録の作成方法
自分の財産の目録を作成する場合や、相続人らが遺産の目録を作成する場合は、前述の通り、法的な作成義務ではないので、書式も自由です。
分かりやすいようにまとめればよいでしょう。
パソコンが得意な人はパソコンで作成した方が手っ取り早いでしょう。
パソコンで作成する場合の書式については、自分で一から作成しても構いませんし、以下に提示するものを利用しても構いません。
また、以下のものをアレンジしても構いません。
財産目録 excel(エクセル)版 |
パソコンにexcelのアプリケーションがインストールされていない人は、以下のPDF版を印刷して手書きでご利用ください。
財産目録 PDF版 |
記入例は、以下のリンクからご確認ください。
財産目録 記入例 |
まとめと財産目録の作成に関する相談先
以上、財産目録について説明しました。
財産目録を作成する前に、負債も含めて、財産をしっかりと調査することが必要です。
財産の調査方法や、財産目録の作成方法が分からない場合は、専門家に相談するとよいでしょう。
相続の専門家には、弁護士、司法書士、行政書士、税理士等、様々な種類があります。
財産目録の作成方法だけを相談したい場合は、行政書士が比較的安く対応してくれるでしょう(そうはいっても事務所ごとに料金は異なるので事前に確認して比較するとよいでしょう)。
他の相談に付随して財産目録の作成を依頼したい場合は、主たる相談内容の専門家に、財産目録の作成も併せて依頼できないか確認するとよいでしょう。
例えば、遺産分割協議に関する相談であれば弁護士に、不動産登記に関する相談であれば司法書士に、相続税に関する相談であれば税理士が、それぞれ専門です。
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