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みなし相続財産とは?みなし相続財産を活用した相続税対策も紹介

「夫が支払っていた妻が受取人の生命保険、支払い完了する前に亡くなった。妻を受取人にしていたのだから、妻だけが受け取るものですよね…?」

その生命保険は、もしかしたら「みなし相続財産」かもしれません。

「みなし相続財産」という言葉は相続税について調べているとよく出てくる言葉です。

みなし相続財産について、正しく理解しておかなければ、思わぬ財産に相続税がかかることになってしまいます。

また、みなし相続財産を活用して相続税対策についても知っておくべきでしょう。
是非、参考にしてください。

相続問題でお悩みの方はまずは弁護士にご相談ください

[ご注意]
記事は、公開日(2018年11月5日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

みなし相続財産とは?

みなし相続財産とは、相続財産ではないものの、相続財産とみなして相続税の課税対象となる財産のことを言います。

みなし相続財産の例

みなし相続財産には次のものがあります。

  • 生命保険金
  • 退職手当金
  • 生命保険契約に関する権利
  • 定期金に関する権利
  • 保証期間付定期金に関する権利
  • 契約に基づかない定期金に関する権利
  • その他遺贈により取得したものとみなされるもの
  • 相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者の受贈財産
  • 農地等の贈与者が死亡した場合の農地

以下、それぞれについて説明します。

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生命保険金

生命保険とは、保険料を支払う代わりに、被保険者(保険の対象として保険が掛けられている人)が亡くなった時に保険金を受け取れるという内容の保険のことです。

生命保険の保険金(被保険者が亡くなった時にもらえるお金)のことを生命保険金といいます。

生命保険金を受け取った場合には、相続税が課せられる場合、贈与税が課せられる場合、所得税と住民税が課せられる場合の3つのパターンがあります。

被保険者、保険料の負担者および保険金受取人がそれぞれ誰かによって、課せられる税金の種類が異なる仕組みになっているのです。

詳しくは、下表をご参照ください。

被保険者保険料の負担者保険金受取人税金の種類
ABB所得税、住民税
AAB相続税(満期の場合は贈与税)
ABC贈与税

生命保険金に相続税が課せられる場合は、上表の通り、被保険者と保険料の負担者が同じ人の場合です。

例えば、旦那さんを被保険者とする保険で、保険料も旦那さんが負担していて、保険金の受取人が奥さんになっているパターンです。

このような場合には、生命保険金に相続税が課せられます(ただし、満期になったことにより受け取った保険金には贈与税が課されます)。

相続財産とみなされる保険金の金額は、被相続人(亡くなった人)がその保険料の全部を負担していた場合には、取得した保険金の全額となり、被相続人が保険料の一部を負担していた場合には、次の算式により計算した金額となります。

取得した保険金額×被相続人が負担した保険料の金額÷保険料の総額

退職手当金

被相続人の死亡により被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、みなし相続財産となります。

なお、被相続人の死亡後3年以降に支給が確定した退職手当金等は、一時所得として、相続人の所得税や住民税の課税対象となります。

また、弔慰金、花輪代、葬祭料等は、本来、みなし相続財産ではありませんが、このような名目であっても、実質的に退職手当金等に該当する場合は、みなし相続財産になります。

実質的に退職手当金等に該当するかどうかの判定が難しい場合は、次の金額を超える部分の金額を退職手当金等(=みなし相続財産)として取り扱います。

  • 被相続人の死亡が業務上の死亡である場合:普通給与の3年分
  • 被相続人の死亡が業務上の死亡でない場合:普通給与の半年分

生命保険契約に関する権利

例えば、被相続人が妻に生命保険を掛けていたとします。

具体的には、被相続人が、保険料を負担し、かつ、保険金の受取人になっていて、妻が、被保険者であり、保険契約者でもある場合です。

この場合に被相続人が死亡すると、妻は、以降の保険料を自分で負担して契約を継続するか、または、解約して保険会社から返戻金(へんれいきん)を得ることができます(掛け捨ての保険の場合は返戻金が出ません)。

妻が契約を継続し満期になった場合は、満期保険金を受け取ることができます(掛け捨ての保険の場合は満期保険金が出ません)。

被相続人に保険料を負担してもらったことにより、妻は、満期保険金または解約返戻金を得ることができるので、この満期保険金または解約返戻金を得ることができる権利(生命保険契約に関する権利)は、相続財産とみなされます。

なお、契約者が被相続人の場合、すなわち、被相続人が、妻を被保険者とする生命保険を契約して、保険料を負担していた場合は、この生命保険契約に関する権利は、「みなし」ではなく、本来の相続財産になります。

また、契約者がどちらであれ、解約返戻金や満期保険金が出ない掛け捨て保険の場合は、相続財産にもみなし相続財産にもなりません。

なお、生命保険契約に関する権利の相続税評価額は、相続開始時に契約を解約した場合に支払われる解約返戻金をベースに算定されます。

具体的には、ベースとなる返戻金に、配当金を加えたり、源泉徴収される所得税を控除したりして算定されます。

保険会社に依頼すれば算定してもらえるので、自分で算定する必要はありません。

定期金に関する権利

定期金とは、定期金給付契約に基づき保険会社から定期的に給付されるお金のことです。

被相続人が保険会社とまだ給付事由が発生していない定期金給付契約を結んでいた場合、被相続人の死亡後に、定期金受取人に指定された人に定期的にお金が給付されます。

被相続人が負担した掛金や保険料に財産性があると考えみなし相続財産となります。定期金に関する権利の評価額の算定については、国税庁ウェブサイトの「定期金に関する権利の自動計算」のページをご参照ください。

保証期間付定期金に関する権利

定期金給付契約には保証期間が設定されていることがあります。

保証期間内に定期金の受取人が亡くなった場合は、受取人の相続人等が定期金の受取人となることができます。

このような保証期間付定期金に関する権利もみなし相続財産となります。

契約に基づかない定期金に関する権利

契約に基づかない定期金に関する権利とは、被相続人の死亡により相続人等が取得した定期金や一時金に関する権利のことです。

例えば、退職年金の受給者が死亡して相続人がその年金の支給を受けることになったような場合の、年金の支給を受ける権利が、契約に基づかない定期金に関する権利に当たります。

なお、次の法律の規定による遺族年金に関する権利については、みなし相続財産には当たらず非課税です。

  • 国家公務員共済組合法
  • 地方公務員等共済組合法
  • 船員保険法
  • 厚生年金保険法

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その他遺贈により取得したものとみなされるもの

遺贈とは、被相続人の遺言によってその財産を移転することをいいます。

その他遺贈により取得したものとみなされるものには、次のものがあります。

  • 特別縁故者に対する相続財産の分与
  • 低額譲渡
  • 債務免除等
  • その他の利益の享受
  • 信託に関する権利
  • 特別の法人から受ける利益

以下、それぞれについて説明します。

特別縁故者に対する相続財産の分与

特別縁故者とは、次のいずれかに該当する人のことをいいます。

  • 被相続人と生計を同じくしていた人
  • 被相続人の療養看護に努めた人
  • 被相続人と特別の縁故があった人

特別縁故者は、相続人捜索の公告期間内に相続人としての権利を主張する人がいない場合で、家庭裁判所に相続財産分与を申立てて認められた場合に、清算後に残った相続財産の全部または一部を取得することができます(特別縁故者について詳しくは「特別縁故者として財産分与を受けるために絶対に知っておくべき9のこと」参照)。

相続税評価額は、分与財産の分与時の時価に相当する金額です。

低額譲渡

遺言により著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合、その対価と時価との差額に相当する金額がみなし相続財産となります。

債務免除等

遺言により対価を支払わないで、または、著しく低い価額の対価で債務を免除された場合、その免除された債務の金額に相当する金額がみなし相続財産となります。

その他の利益の享受

遺言により対価を支払わないで、または、著しく低い価額の対価で利益を受けた場合、その時の利益の金額に相当する金額がみなし相続財産となります。

信託に関する権利

遺言等により委託者以外の者が受ける信託の利益について、その利益を受ける権利がみなし相続財産となります。

特別の法人から受ける利益

この点の説明は複雑になりますし、この要件に該当することが実際上あまりないので、説明を割愛します。

気になる場合は、税理士に確認してください。

相続又は遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者の受贈財産

相続時精算課税適用者が特定贈与者(相続時精算課税の適用を受ける贈与をした人)から相続又は遺贈により財産を取得した場合は、相続時精算課税の適用を受ける財産を相続税の課税価格に加算しますが、相続時精算課税適用者が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合は、相続時精算課税の適用を受ける財産はみなし相続財産となります。

いずれの場合でも、相続時精算課税の適用を受ける財産が相続税の課税対象となります。

みなし相続財産と言うか言わないかが違うだけなので、一般の方が気にする必要はありません。

なお、相続時精算課税については「相続時精算課税制度を迂闊に利用して大損しないために知るべきこと」をご参照ください。

農地等の贈与者が死亡した場合の農地

贈与税の納税猶予の適用を受けていた農地等は、贈与者が死亡した場合に、みなし相続財産となります。

相続税評価額は、贈与者の死亡時の時価になります。

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生命保険金と退職手当金の非課税限度額

生命保険金と退職手当金は、必ずしも全額が課税対象となるわけではありません。

受取人が相続人の場合は、生命保険金や退職手当金のうち一定額までは非課税とされますが、受取人が相続人でない場合は非課税とされる金額はありませんので、全額が課税対象となります。

非課税限度額は、次の式で計算することができます。

500万円×法定相続人の数

相続人について詳しくは、「法定相続人とは?法定相続人の範囲と優先順位、相続割合を図で説明」をご参照ください。

例えば、法定相続人が3人の場合は、500万円×3人=1500万円が非課税限度額となります。

なお、相続放棄をした人がいた場合でも、その人も非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めます(相続放棄について詳しくは、「相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点」をご参照ください。)。

しかし、相続欠格や相続人の廃除があった場合は、欠格者や被廃除者(廃除された人)は、非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めません。

しかし、欠格者や被廃除者を被代襲者とする代襲相続人がいる場合は、その代襲相続人は非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めます。

代襲相続について詳しくは、「代襲相続とは?範囲は?孫や甥・姪でも相続できる代襲相続の全知識」をご参照ください。

ところで、養子を増やせば、その分、非課税限度額が青天井に増えるのではないかと考える方もいるかもしれません。

しかし、そのような税金対策としての養子縁組に対しては、非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めることができる養子の数に一定の制限が設けられています。

法定相続人の数に含めることができる養子の数は、実子がいる場合と、実子がいない場合とで異なります。

実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までとなっています。

もっとも、3人目以降の養子も法定相続人ではありますが、「法定相続人の数」には含めないため、非課税限度額は増えないという話です。

生命保険金を活用した相続税対策

生命保険を活用して相続税対策を行うことができます。

詳しくは、「生命保険に相続税がかかる場合と計算方法、生命保険による相続税対策」の「生命保険を活用した相続税対策」の項目をご参照ください。

みなし相続財産と本来の相続財産はどう違う?

みなし相続財産は、相続税との関係において相続財産とみなされるにすぎず、本来の相続財産ではありません。

本来の相続財産とは次の点で取り扱いが異なります。

  • みなし相続財産は遺産分割の対象とならない
  • 相続放棄してもみなし相続財産は取得できる

なお、遺産分割については「遺産分割で揉めず損せずスムーズに協議をまとめるための重要ポイント」を、相続放棄については「相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点」を、それぞれご参照ください。

また、本来の相続財産については「相続財産とは何?相続の対象となる財産と相続税の対象となる財産」をご参照ください。

本来の相続財産とみなし相続財産以外で相続税がかかる財産

本来の相続財産とみなし相続財産以外にも、次の2つについては相続税がかかります。

  • 相続開始前3年以内の贈与財産
  • 相続時精算課税の適用を受ける財産(相続又は遺贈により財産を取得した場合)

前者については「暦年課税とは?暦年課税と相続時精算課税はどちらが得か?」の「暦年課税の贈与に相続税が課される場合(相続開始前3年以内の贈与)」の項目をご参照ください。

後者については、前述の通り、相続時精算課税適用者が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した場合は、相続時精算課税の適用を受ける財産を相続税の課税価格に加算します。

なお、相続時精算課税適用者が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。

相続時精算課税については「相続時精算課税制度を迂闊に利用して大損しないために知るべきこと」をご参照ください。

みなし相続財産の別の意味

前述の通り、みなし相続財産とは、相続財産ではないものの、相続財産とみなして相続税の課税対象となる財産のことを言います。

しかし、これとは別の意味でみなし相続財産という言葉が使われることがあります。

遺産分割においては、相続財産の価額から寄与分を控除し、これに特別受益の価額を加えたものを相続財産とみなし、各相続人の相続分算定の基礎とします。

この「相続財産の価額から寄与分を控除し、これに特別受益の価額を加えたもの」のことをみなし相続財産と言うこともあるので、この意味で使われているみなし相続財産と、前述の意味で使われているみなし相続財産を混同しないように注意しましょう。

なお、寄与分と特別受益について簡単に説明します。

寄与分とは、被相続人の生前に、相続人が、被相続人の財産の増加や維持に寄与した程度のことです。

寄与分がある相続人は、他の相続人に比べて、その分多くの財産を相続することができます。

寄与分については詳しくは、「寄与分の正当な評価を受けて寄与分を当然に得るための最重要知識9選」をご参照ください。

特別受益とは、相続人が複数いる場合に、一部の相続人が、被相続人からの遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことです。

特別受益があった場合は、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分は算定されます。

特別受益について詳しくは、「特別受益とは?特別受益によって相続分を減らされないための全知識」をご参照ください。

まとめ

以上、みなし相続財産について説明しました。

みなし相続財産について不明な点は、相続税に強い税理士に相談しましょう。

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この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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