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贈与税はいくらからかかる?いくらまで無税?

贈与税はいくらからかかるのでしょうか?(いくらまで無税なのでしょうか?) 多額の贈与でも贈与税がかからない方法はあるのでしょうか? 贈与税がかかる場合、税額はどのように計算するのでしょうか? この記事では、このような疑問に対して、税理士がわかりやすく説明します。 是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年9月24日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

贈与税はいくらからかかるのか?いくらまで無税なのか?

贈与税はいくらからかかるのでしょうか?いくらまで無税なのでしょうか? 端的に言えば、贈与税は年間110万円を超える贈与からかかります(年間110万円まで無税です)。 そして、この場合、贈与税の申告は不要です。

「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方式

贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つあり、贈与を受けた人が、どちらの方式で贈与税を計算するかを贈与者ごとに贈与税の申告時に選択することができます(ただし、一度、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与については翌年以降暦年課税を選択することはできません)。

暦年課税方式

暦年課税方式では、贈与税は、一人の人が11日から1231日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。 つまり、3人の子供に、年間110万円ずつ20年間にわたって贈与すると、110万円×20年×3人=6600万円となり、子供たちに合計6600万円を税負担なく譲り渡すことできます。 ただし、複数人から贈与を受けた場合でも、基礎控除額は110万円で変わりありません。 例えば、同じ年に、父と母からそれぞれ100万円の贈与を受けた場合、100万円+100万円-110万円=90万円となり、90万円に対して贈与税がかかります。 また、贈与税の対象となる財産は、金銭だけではありません。経済的な価値のある財産であれば、基本的に贈与税の対象となります。 贈与税の計算の基礎となる財産の評価は、「相続税評価額」によって行われます。 相続税評価額については以下の記事で詳しく説明しています。 そして、金銭以外の財産を贈与した場合も、基礎控除の適用を受けることができます。 例えば、相続税評価額が1000万円の土地の贈与を受けた場合、「1000万円-110万円=890万円」が、贈与税の課税価格となります。 なお、土地の場合は、評価額が110万円を超えることが多いと思われますが、その場合でも、持分を分けて贈与することによって、1年間当たりの贈与額を110万円以下に抑えることができます。 例えば、評価額が2200万円の土地であれば、20分の1ずつの持分を毎年贈与することで、贈与税がかからなくなります。 しかし、贈与契約書を毎年作成して贈与しても、贈与による持分の変動を毎年登記しなければ、贈与の成立を税務署に認めてもらうことは難しいでしょう。 贈与の成立が認められなければ、贈与したつもりの土地の所有権は元の所有者の元に留まったままであり、相続が開始されれば相続税の対象となってしまいます。 かといって、毎年贈与契約書を作成して持分変動を登記するとなると、司法書士報酬・登記費用等それなりの費用と手間がかかります。 税理士に相談のうえ、検討するとよいでしょう。

贈与税の基礎控除が受けられないケース

暦年贈与の基礎控除を利用して非課税で贈与を受けたつもりでも、税務署から暦年贈与と認めてもらえず、課税されてしまう場合があります。 課税されてしまう主なケースには次の2があります。
  • 贈与を税務署に認めてもらえず、相続時に相続税が課せられる
  • 暦年贈与ではなく連年贈与として扱われる
以下、それぞれについて説明します。

贈与を税務署に認めてもらえず、相続時に相続税が課せられる

贈与を税務署に認めてもらえないケース

次のような場合は、税務署に贈与があったとは認めてもらえない可能性があります。
  • 贈与について双方の同意がない場合
  • 贈与が履行されていないと判断される場合
以下、それぞれについて説明します。
贈与について双方の同意がない場合
贈与は契約であり、双方の意思の合致により贈与契約が成立します。つまり、贈与者が贈与の意思を表示し、受贈者が受贈の意思を表示していなければ、贈与契約は成立しません。 したがって、親が子に知らせずに勝手に入金したような場合は、贈与が成立していないと判断される可能性があります。
贈与が履行されていないと判断される場合
贈与が履行されていないと判断される場合も、贈与があったと税務署に認めてもらえない可能性があります。 例えば、次のような場合には、贈与が履行されていないと判断される可能性があります。
  • 入金先の口座を贈与者が管理している場合
  • 名義変更していない場合
子供名義ではあるけども、親が通帳、届印、キャッシュカードを管理していて、子供が自由に引き出すことができない口座に入金したような場合は、贈与が履行されたとは判断されない可能性があります。 また、不動産、自動車、船舶、有価証券などを贈与したつもりでも、名義変更していない場合は贈与があったと判断されない可能性があります。

贈与の事実が認められないと相続時に相続税が課せられる

贈与があったと認められないということは、子供名義の口座にあるお金でも、実態は親のお金のままということです。 親が亡くなって相続が発生した場合、その子供名義の口座のお金も相続財産となり、相続税の課税対象となります。

暦年贈与ではなく連年贈与として扱われる

暦年贈与ではなく連年贈与として扱わると、課税される可能性があります。 連年贈与とは、複数の年に分割して履行された一つの贈与のことです。 例えば、2200万円の贈与をする約束をして毎年110万円ずつ20年間にわたって履行したような場合は連年贈与になります。 連年贈与は、約束をした年か最初の履行があった年にまとめて課税されます。 1年間に控除できる金額は110万円なので、連年贈与としてまとめて課税されると贈与税がかかってしまいます。

贈与税の基礎控除を税務署に認めてもらうための対策

以上のとおり、暦年贈与を受けたつもりでも、連年贈与だと判断されたり、そもそも贈与が有効に行われていないと判断された場合は、課税対象となってしまいます。 暦年贈与を税務署に認めてもらうためには、次のような対策が有効です。
  • 贈与契約書を作成する(確定日付つき)
  • 受贈者が管理している口座に振り込む
  • 登記や登録の制度のある財産については名義を変更する
以下、それぞれについて説明します。

贈与契約書を作成する(確定日付つき)

贈与契約書を作成することによって、贈与について双方の同意があったことを証明することができます。 毎年贈与する場合は、毎年契約書を作成することによって、連年贈与ではなく暦年贈与だということが証明しやすくなります。 契約書には、記名と押印が必要ですが、その際に、自筆で署名し、かつ、実印で押印すると、本人が契約を締結したことを証明しやすくなります。 贈与契約書のひな形は「贈与契約書の注意点とすぐに使える豊富な種類のひな形一覧(Word、PDF)」でダウンロードすることができます。 是非、ご活用ください。 また、公証役場で確定日付を付してもらうことによって、その日にその契約書が存在していたことを証明することができ、バックデートで契約書を作成したのではないかと疑われることを避けることができます。 公証役場は全国にあります。 日本公証人連合会の公証役場一覧ページからお近くの公証役場を探すことができます。

受贈者が管理している口座に振り込む

前述の通り、入金先の口座の通帳、届印、キャッシュカードを受贈者が管理していた場合、たとえ、名義が受贈者のものであっても、贈与が履行されたとは認められない可能性があります。 受贈者が管理している口座に入金するようにしましょう。

登記や登録の制度のある財産については名義を変更する

不動産、自動車、船舶、有価証券といった登記や登録の制度がある財産については名義変更をします。

贈与税がかからない場合

贈与税は、個人から贈与された財産に対して課税されます。 ただし、贈与税がかからない財産もあります。 例えば、次のような財産については、贈与税がかかりません。
  • 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
  • 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
  • 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
  • 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
  • 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
詳しくは以下の記事で説明しています。

贈与税の計算方法

暦年課税方式では、贈与税は、毎年11日から1231日までの1年間に譲り受けた財産の合計額に対して課税されます。1年間に譲り受けた財産の合計額から基礎控除額である110万円を引いた額(これを課税価格といいます)に、税率をかけて、さらに一定の金額を控除をするという方法で計算されます。 <贈与税の計算式>
課税価格(1年間に贈与を受けた財産の総額-110万円)×税率-控除額=贈与税額
暦年課税方式による贈与税の税率は、特例贈与財産と一般贈与財産とで異なり、特例贈与財産の方が税率が低く設定されています。 特例贈与財産とは、直系尊属(親や祖父母等)から、贈与を受けた年の11日時点で20歳以上の直系卑属(子や孫等)への贈与財産のことで、一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない財産のことです。 一般贈与財産用の税率(一般税率)の速算表は次のとおりです。
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超300万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円
600万円超1000万円以下 40% 125万円
1000万円超1500万円以下 45% 175万円
1500万円超3000万円以下 50% 250万円
3000万円超 55% 400万円
特例贈与財産用の税率(特例税率)の速算表は次のとおりです。
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超400万円以下 15% 10万円
400万円超600万円以下 20% 30万円
600万円超1000万円以下 30% 90万円
1000万円超1500万円以下 40% 190万円
1500万円超3000万円以下 45% 265万円
3000万円超4500万円以下 50% 415万円
4500万円超 55% 640万円
贈与税の計算方法を説明します。 <計算例1> 例えば、30歳のAさんが、ある年の1年間に父母や祖父母といった直系尊属から受けた贈与の総額が1000万円であったとします。 Aさんは、どの贈与者からの贈与についても暦年課税を選択したとします。 1000万円から暦年課税の基礎控除額110万円を控除すると、「1000万円-110万円=890万円」となります。 贈与を受けた年の11日時点で20歳以上の人が直系尊属から贈与された財産は特例贈与財産に該当するので、特例税率の速算表に沿って贈与税額を計算します。 890万円は、「600万円超1000万以下」に該当するので、税率30%と控除額90万円を適用します。 そうすると、890万円×30%90万円=177万円」が贈与税額となります。 少し複雑なケースについても説明します。 <計算例2> Aさんは、ある年の1年間に、直系尊属から600万円、直系尊属以外の人から400万円、合計1000万円の贈与を受けたとします。 この場合は、特例贈与財産と一般贈与財産の両方があることになります。 その場合は、次の手順で計算します。
  1. すべての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。
  2. すべての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」割合に応じた税額を計算します。
  3. 1で算出した税額と、2で算出した税額を合計して、贈与税額を計算します。
12はどちらを先に計算しても構いません。 上記の事例をこの計算手順に当てはめて計算してみましょう。 まず、1の税額を計算します。 最初に、すべての財産を一般税率で計算します。 基礎控除後の課税価格890万円(=1000万円-110万円)を一般税率の速算表に当てはめると、600万円超1000万円以下の行を見ればよいので、税率が40%で、控除額が125万円であることが分かります。 そうすると、すべての財産を一般税率で計算した税額は、「890万円×40%125万円=231万円」となります。 そして、この231万円に占める一般贈与財産の割合に応じた税額を計算します。 Aさんがその年に贈与を受けた1000万円のうち、一般贈与財産は、直系尊属以外の人から受けた400万円なので、1の税額は、「231万円×400万円/1000万円=924千円」となります。 続いて、2の税額も同様に計算すると、「177万円×600万円/1000万円=1062千円」となります(177万円は、特例税率の速算表に沿って「890万円×30%90万円=177万円」と計算できます)。 3に進んで、Aさんがその年に納めるべき贈与税額は、「924千円+1062千円=1986千円」となります。

贈与税計算シミュレーションツール(贈与税計算機)

贈与税の計算方法を理解しなくても、贈与税計算シミュレーションツール(贈与税計算機)を利用することで、贈与税の税額を簡単に算出することができます。 以下のリンクからご利用ください。 「贈与税計算シミュレーションツール(贈与税計算機)で税額を簡単に計算!

相続開始前3年以内の贈与は相続税がかかる

贈与を受けた財産については、原則として、贈与税が課されます(暦年課税の場合) しかし、相続又は遺贈により財産を取得した者に対して、亡くなる前の3年間に行われた贈与は、相続税の計算に足し戻されるため、相続税が課されます。 このときに足し戻す額は、基礎控除後の課税価格ではなく、基礎控除前の贈与財産の価額です。 なお、既に贈与税を支払っている場合は、相続税も課されることとなり、贈与税と相続税の2重課税となってしまいます。そこで、相続税の税額から既に支払った贈与税の税額を差し引いた額を相続税として納めればよいこととなっています。 ただし、贈与税として支払った金額が、課されるべき相続税よりも大きかったとしても、差額の贈与税は還付されません。 なお、相続開始前3年以内に贈与された財産であっても、次の財産については加算する必要はありません。

相続時精算課税

相続時精算課税方式では、2500万円まで贈与税が非課税になります。 贈与税はかかりませんが、相続時には、この制度により取得した贈与財産とその他の相続財産とを合わせた遺産総額に相続税が課税されるので、注意が必要です。 なお、2500万円を超える部分については、一律20%の贈与税が課せられます。 つまり、1億円の不動産の贈与の際に、相続時精算課税制度を利用することはできますが、7500万円については贈与税を支払わなければなりません。 (1億円-2500万円=7500万円)✕20%=1500万円の贈与税が課されます。 ただし、課された贈与税は、贈与者が亡くなった時の相続税から控除され、贈与税額が相続税額を上回る場合は、差額の還付を受けることができます。 相続時精算課税を利用することができるのは、次のすべての条件を満たす場合のみです。
  • 贈与者が贈与をした年の11日時点で60歳以上
  • 受贈者(贈与を受ける人)が贈与を受けた年の11日時点で20歳以上
  • 贈与者と受贈者の関係が親子か祖父母と孫
なお、前述のとおり、一度、相続時精算課税を選択した贈与者からの贈与については翌年以降暦年課税を選択することはできません(つまり、毎年110万円の暦年課税の基礎控除が受けられません)。 相続税の課税対象となる遺産額が相続税の基礎控除額以下の場合は、相続税対策は必要ありませんから、暦年課税の基礎控除を利用する必要性は高くないため、相続時精算課税を選択しても特段問題にはなりませんが、暦年課税の基礎控除を利用した相続税対策が必要な場合は、相続時精算課税を選択することはお勧めできません。 相続税の基礎控除について簡単に説明しておきます。 相続税には基礎控除があり、相続税の課税対象となる遺産額が基礎控除額以下の場合は、相続税がかかりません。 基礎控除額は、以下の計算式によって計算することができます。
3000万円+600万円+相続人の数
法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことです。 法定相続人の数え方について詳しくは、以下の記事で説明しています。 相続時精算課税については以下の記事をご参照ください。

まとめ

以上、贈与税について説明しました。 贈与税の仕組みは複雑なので、非課税で贈与したつもりでも、税務調査が入って、贈与税や相続税が課税されてしまうことがあります。 事前に、税理士に相談して、贈与計画を立ててもらうとよいでしょう。

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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