税理士監修記事

遺産相続にかかる税金と控除制度・税金対策についてわかりやすく説明

身近な人が亡くなってその人の遺産を相続することになったときに気になるのは税金のことでしょう。

この記事では、遺産相続にかかる税金について分かりやすく説明します。

また、税金を減らしたり免除したりできる控除制度や税金対策についても併せて説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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遺産相続にかかる税金の種類

遺産相続に関連してかかる可能性がある税金には次のものがあります。

税金の種類 課税される場合
相続税 正味の遺産額が基礎控除額を超える場合
登録免許税 相続不動産の所有権移転登記をする場合
故人の所得税 故人に確定申告義務があり確定申告前に死亡した場合
譲渡所得税 相続した財産を譲渡して所得が生じた場合

相続した遺産そのものにかかる税金は相続税のみです。

この記事では、相続税について説明します。

登録免許税については「相続登記の登録免許税の免除・免税措置と計算方法をわかりやすく説明」を、故人の所得税については「準確定申告が不要なケースとは?必要書類の書き方もわかりやすく説明」を、譲渡所得税については「相続した不動産を売却した時にかかる税金について知っておくべきこと」をそれぞれご参照ください。

相続税はいくらからかかる?

遺産額が少ない場合には相続税はかかりません。

相続税には基礎控除という制度があり、相続人等が取得した遺産の課税価格の合計額から基礎控除額を控除した残額に対して相続税がかかる仕組みになっています。

したがって、遺産の課税価格の合計額が基礎控除額以下の場合は、相続税はかからず、申告も不要です。

基礎控除額は、以下の計算式によって計算することができます。

3000万円+600万円+法定相続人の数

法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことです。

上記の式に当てはめると、相続税の基礎控除額は、法定相続人の数ごとに次のようになります。

法定相続人の数 基礎控除額
1 3600万円
2 4200万円
3 4800万円
4 5400万円
5 6000万円
以降も法定相続人が1人増えるごとに600万円を加算

法定相続人の数え方について詳しくは、「相続税はいくらからかかるのか?いくらまで無税なのか?」の「法定相続人の数え方」の項目をご参照ください。

相続税の基本的な計算方法

相続税は、財産ごとに計算されるわけではありません。

例えば、遺産に土地と現金があったとして、土地に対する相続税と現金に対する相続税と別々に計算するのではありません。

すべての遺産に対する相続税の総額を計算し、これを相続分に応じて各相続人に按分します。

相続税の計算は、次の手順で行います。

  1. 正味の遺産額(課税価格の合計額)を算出する
  2. 正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出する
  3. 法定相続分に基づき各法定相続人の相続税額を算出し、それらを合計する
  4. 相続税総額を実際の相続分に基づき按分する
  5. 各相続人の事情に応じて税額を増減する

例えば、遺産が6000万円の土地と4000万円の現金で、法定相続人が被相続人(亡くなって財産を残す人)の子であるAB2人で、Aが土地をBが現金を相続したとします。

正味の遺産額は6000万円+4000万円=1億円です。

基礎控除額は、前述のとおり「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算できます。

今回の基礎控除額は、法定相続人は2人なので、3000万円+600万円×2人=4200万円です。

課税遺産総額は、1億円-4200万円=5800万円です。

法定相続分は2分の1ずつなので、AB、それぞれの課税対象額は5800万円×122900万円です(法定相続分については「法定相続分とは?相続人の組み合わせパターン別法定相続分の計算方法」参照)。

これを以下の相続税の速算表に当てはめます。

法定相続分に応ずる取得金額

(各法定相続人の課税対象額)

税率 控除額
1000万円以下 10
1000万円超3000万円以下 15 50万円
3000万円超5000万円以下 20 200万円
5000万円超1億円以下 30 700万円
1億円超2億円以下 40 1,700万円
2億円超3億円以下 45 2,700万円
3億円超6億円以下 50 4,200万円
6億円超 55 7,200万円

AB共に、「法定相続分に応ずる取得金額(各法定相続人の課税対象額)」の列が「1000万円超3000万円以下」の行を確認すればよいので、税率は15%、控除額が50万円となり、相続税総額は、(2900万円×15%50万円)+(2900万円×15%50万円)=770万円となります。

これを実際の相続分に基づき按分します。

そうすると、Aの相続税額は770万円×6000万円/1億円=462万円、Bの相続税額は、770万円×4000万円/1億円=308万円となります。

そして、各相続人に、控除や2割加算の適用等、税額を増減する事情がある場合は、その事情に応じて計算します。

相続税の詳細な計算方法については、「相続税の計算方法を流れに沿ってステップごとにわかりやすく説明!」をご参照ください。

相続税の非課税財産

相続税がかからない非課税財産には、次のものがあります。

  • 皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受け継ぐ由緒ある物
  • 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
  • 一定の公益事業を行う者が取得した一定の公益事業用財産
  • 条例による心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
  • 相続人が取得した生命保険金等及び退職手当金等のうち一定の金額
  • 相続税の申告書の提出期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人又は認定特定非営利活動法人に贈与(寄附)した財産

このうち、一般の人が特に関係しそうなものは次の2点でしょう。

  • 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
  • 相続人が取得した生命保険金等及び退職手当金等のうち一定の金額

以下、この2点について、それぞれ説明します。

墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

まず、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」について説明します。

墓所とはお墓を建てる場所(区画)のことです。

霊びょうは、漢字では「霊廟」と書き、霊を祀る建物のことです。

「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件も含みます。

祭具とは、祭祀に用いられる道具のことです。

「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいいます。

例えば、純金製の高価な仏像を金庫に保管している場合は、日常礼拝の用に供しているとは認められずに相続税の課税価格に算入すべきと判断される可能性があります。

ただし、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものは含まれません。

例えば、墓石屋さんのご主人が亡くなって、商品である墓石を息子が相続した場合は、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」には含まれず、その墓石の価額は相続税の課税価格に算入されます。

なお、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」は相続税の課税価格に算入しませんが、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」の購入資金は相続税の課税価格に算入します。

つまり、被相続人の死亡後に、相続人が「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」を相続したお金で購入した場合は、その資金は相続税の課税価格に算入し、被相続人が生前に購入した「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」を相続した場合は、その価額は相続税の課税価格に算入されません。

要するに、「墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」を購入するなら、被相続人が生前に購入した方が相続税対策になるということです。

相続人が取得した生命保険金等及び退職手当金等のうち一定の金額

生命保険金と退職手当金は、必ずしも全額が課税対象となるわけではありません。

受取人が相続人の場合は、生命保険金や退職手当金のうち一定額までは非課税とされますが、受取人が相続人でない場合は非課税とされる金額はありませんので、全額が課税対象となります。

非課税限度額は、次の式で計算することができます。

500万円×法定相続人の数

法定相続人の数え方については基礎控除額を計算する場合と同じです。

相続税の控除制度

相続税の計算の際に一定の金額を控除できる制度には、次のものがあります。

  • 債務控除
  • 葬式費用控除
  • 基礎控除
  • 暦年課税分の贈与税額控除
  • 配偶者の税額軽減(いわゆる配偶者控除)
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 外国税額控除
  • 相続時精算課税分の贈与税額相当額の控除
  • 医療法人持分税額控除

それぞれの控除制度について詳しくは「相続税の控除の仕組みと種類を理解して適用漏れで損しないための知識」をご参照ください。

小規模宅地等の特例

相続税は相続財産の価額(相続税評価額)に応じて課税されるので、評価額を減額して計算することができれば、相続税の税額も減らせます。

一定の要件を満たせば、宅地の相続税評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」という制度があります。

小規模宅地等の特例の適用を受けた結果、相続税の課税価格が控除額以下になり、相続税がかからなくなることがありますが、その場合でも、相続税の申告は必要です。

相続税の申告書に、この特例を受けようとする旨を記載するとともに、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど一定の書類を添付する必要があります。

小規模宅地等の特例について詳しくは「小規模宅地等の特例で8割減で大幅に節税する方法と意外な落とし穴」をご参照ください。

相続税対策

控除制度の活用や小規模宅地等の特例以外にも相続税対策とできることはありますが、基本的には、被相続人が生前に対策すべきものです。

詳しくは「相続税対策で無駄なく節税するために知っておくべきすべてのこと」ご参照ください。

相続税の申告

正味の遺産額が基礎控除額を超える場合は、相続税を申告しなければなりません。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けて相続税がかからない場合も、正味の遺産額が基礎控除額を超えていれば、申告は必要です。

相続税の申告について詳しくは「相続税の申告が不要なケース、自分で申告する方法と申告期限」をご参照ください。

まとめ

以上、遺産相続にかかる税金について説明しました。

相続税の申告は、相続税に精通した税理士に相談して進めることが強くお勧めします。

相続税に精通した税理士に相談することで、遺産の評価額をなるべく低くなるように算定したり、各種の非課税制度の適用を受けることによって、大きく節税できる可能性があります。

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