弁護士監修記事

婿養子の相続権についてわかりやすく説明!婿入りとは違うので要注意

婿養子は、誰の遺産について、いくら相続する権利があるのでしょうか?

婿養子と、いわゆる婿入りとでは、相続権が異なるので、ご注意ください。

この記事では、婿養子の相続について、弁護士がわかりやすく説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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婿養子とは?

婿養子とは、法律用語ではなく法律上の定義はありませんが、一般に、男性が婚姻と同時に(または前後して)、妻となる人の両親と養子縁組することや、養子縁組をした男性のことをいいます。

また、婚姻時には、夫婦どちらの氏(名字)を称するかを選択しますが、婿養子の場合は、妻の氏を選択することが一般的です。

そして、妻の実家で一緒に暮らすことが多いようです。

婿養子と婿入りの違い

婿養子と似たものに「婿入り」という言葉があります。

「婿入り」も、法律用語ではなく法律上の定義はありませんが、一般に、婚姻時に妻の氏を称することを選択して、妻の実家で一緒に暮らすケースのことを指すことが多いようです(ただし、最近は同居しないケースも増えているようです)。

「婿入り」と言う場合は、婿養子と違って、妻の両親と養子縁組しないケースも含まれるようです。

まとめると、下の表のようになるのではないかと思われます。

婿養子 婿入り
妻の氏のことが多い 妻の氏
住居 妻の実家のことが多い 妻の実家
妻の両親との養子縁組 する 問わない

なお、婿入りした男性は「入り婿」と呼ばれることがあります。

婿養子の相続権

夫婦のどちらの氏を選択したかということや親と同居しているかどうかは、相続人となるかどうかに影響を及ぼしません。

影響するのは養子縁組です。

妻の両親と養子縁組している場合は、妻の両親のどちらが亡くなったときでも、妻や妻の兄弟たちと共に相続人となります。

法定相続分も妻や妻の兄弟たちと変わりません。

妻の片親とのみ養子縁組をしている場合は、養子縁組している方のみ相続人となります。

また、妻の親が、その親である妻の祖父母よりも先に亡くなった場合等には、妻の祖父母の遺産を代襲相続することも可能です(代襲相続については「代襲相続とは?範囲は?孫や甥・姪でも相続できる代襲相続の全知識」参照)。

さらに、子供も直系卑属(親・祖父母等)もいない妻の兄弟が亡くなった場合には、妻や妻の他の兄弟たちと共に相続人になります。

この場合に、妻の片親とのみ養子縁組をしている場合は、法定相続分は半分になります。

これは、養子だから半分というわけではなく、実子であっても異母兄弟姉妹、異父兄弟姉妹についての法定相続分は、全血の兄弟姉妹の半分であり、これと同じ扱いになります。

また、妻のおじやおばの財産を妻の親を代襲して相続することも可能です。

なお、養子縁組をしても実親との親子関係は消滅しないので、実親が亡くなったときも相続人となります。

他方、特別養子縁組の場合には、実親との親子関係が消滅するので、実親の遺産の相続はできません。もっとも、特別養子縁組は、養子となる子が原則として6歳未満であること等の厳格な要件があり、婿養子に用いられる制度ではありません。

養子は離縁(養子縁組の解消)後には相続できない

普通養子縁組は、離縁(養子縁組による親子関係を解消すること)することもできますが、離縁後は養方(養親及び養親を通じての親族)との親族関係は無くなり、養方の相続をすることはできません。

離縁するには、基本的には当事者双方の同意が必要です。

なお、離縁前に開始した相続については、離縁は影響しません。

養親の死後に離縁する死後離縁の場合は、養親の遺産を相続することに支障はありません。

離縁について詳しくは「養子縁組を解消する方法と養子縁組の解消で損しないためのお金の話」をご参照ください。

離婚しても自動的に離縁するわけではない

婿養子となった人が妻と離婚した場合でも、妻の両親との養親子関係は自動的には解消されません。

養親子関係を解消するためには、離縁の手続きが必要です。

離縁するには、前述のとおり、基本的には当事者双方の同意が必要です。

同意が得られない場合は、裁判で離縁を争うことになりますが、子夫婦が離婚したというだけでは、離縁は認められにくいでしょう。

離婚後、離縁をせずに、養親の相続が開始した場合は、離婚した婿養子も相続人になります。

離縁を巡って揉めている場合は、一度、弁護士に相談してみることをお勧めします。

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婿養子が亡くなった場合の相続人は?

婿養子が亡くなった場合、妻が相続人になるのは当然として、婿養子に子などの直系卑属がいる場合は、直系卑属が相続人となります。

子がいない場合は、直系尊属が相続人となりますが、普通養子縁組の場合は、養親と実親の両方が相続人となります(特別養子縁組の場合は養親のみ)。

直系卑属も直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹が相続人になります。

実方と養方の両方の兄弟姉妹が対象です。

夫婦の一方のみと養子縁組している場合は、養方の兄弟姉妹は、異母兄弟・異父兄弟と同じ扱いになるので、実方に全血の兄弟姉妹がいる場合は、全血の兄弟姉妹の半分の法定相続分になります。

また、婿養子が亡くなった後、養親が亡くなった場合に、養子の子が代襲相続できるのかという問題があります。

この点については、養子縁組と養子の子が生まれたのと、どちらが早いかによって結論が異なります。

養子縁組後に生まれた場合は、代襲相続することができますが、生まれた後に養子縁組した場合は、代襲相続することはできません。

婿養子の場合は、通常、養子縁組後に子供が生まれるでしょうから、その場合は代襲相続が可能です。

婿養子も相続放棄する場合は申述が必要

婿養子も相続放棄する場合は、家庭裁判所への申述が必要です。

この点は、実子であっても婿養子であっても何ら変わることはありません。

相続放棄について詳しくは「相続放棄によって借金を相続しないようにする方法と相続放棄の注意点」をご参照ください。

婿養子でも相続手続きは同じ

婿養子が相続する場合の手続きも実子の場合と何ら変わることはありません。

相続手続きについては「相続手続きをミスなくスムーズに自分で行うための簡単完全マニュアル」をご参照ください。

婿養子の相続税

相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。

したがって、法定相続人の数が一人増えるごとに基礎控除額が600万円増えることになります。

養子縁組によって養子の数が増えれば、法定相続人の数を増やすことができ、基礎控除額が増えます。

養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合は、養子の数に含めることはできないとされていますが、婿養子の場合は、基本的には問題ないでしょう。

また、養子の数を増やせるだけ増やせば、その分、基礎控除額も増えるかというとそういうわけではなく、基礎控除額の算定の元となる法定相続人の数に算入することができる養子の数には、法律によって一定の制限が設けられています。

原則として、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までが限度です。

なお、法定相続人の数が増えると、基礎控除額だけでなく、生命保険金の非課税も増えます。

生命保険金の非課税枠は、「500万円×法定相続人の数」で計算することができます。

こちらについても、非課税枠の計算の元となる法定相続人の数には、同様の制限が設けられています。

なお、相続や遺贈(遺言によって財産を与えること)などによって財産を取得した人が、被相続人(亡くなった人)の一親等の血族(代襲相続人を含む)と配偶者以外の人の場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されますが、養子は、血はつながっていないものの、一親等の血族であり、この制度の適用はありません(詳しくは「相続税の2割加算で損するケースと2割加算でも得するケースを徹底検証」をご参照ください。)。

まとめ

以上、婿養子の相続について説明しました。

不明な点は弁護士に相談しましょう。

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また、相続税については、税理士に相談しましょう。

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