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【山林相続】手続きや相続放棄まで徹底解説!

山林の相続
「親が亡くなって、どこにあるかもわからない山林を相続することになった」という方が、意外といるようです。 しかし山林を相続しても嬉しくないことも…活用もできず買い手がつかないとなると、税金や管理費がかかってしまいます相続人誰も相続したがらない…ということも。 相続放棄する方法もありますが、プラスの財産も含めすべての財産を手放さなければいけないので、最終手段として、よく検討してからにしましょう。 この記事では、山林を手放す方法や相続税について解説します。山林の評価は複雑なので、税理士にお願いしても良いでしょう。

[ご注意]
記事は、公開日(2020年9月4日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

山林の相続問題

山林の相続を巡っては、次のような点が問題となることがあります。
  • 山林を相続しても活用できず売り手も貸し手も貰い手すらも見つからないのに、税金や管理費用がかかる
  • 相続人の誰も山林を相続したがらず、遺産分割協議がまとまらない
  • 全員が相続放棄をしたために、結局、山林の管理を免れられない
以下、このような問題点の対処法について説明していきます。

山林を手放す方法

山林「だけ」の相続放棄は不可

「山林を相続放棄することはできるか」という質問を受けることがあります。相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の権利や義務を一切承継しない選択をすることをいいます。 この問いに対する答えは「はい、できます」となりますが、山林「だけ」を相続放棄することはできません。したがって、山林だけ相続放棄をするということはできず、すべて相続するか、まったく相続しないかを選択しなければならないのです。

遺産分割協議による交渉

なお、山林は相続したくないが他の遺産は相続したいという場合は、希望する遺産を相続できるように、他の相続人との遺産分割協議において交渉することによって、実現できる可能性があります。 しかし、価値がなく費用ばかりかかるような山林を他の相続人が相続したがる可能性は低く、希望通りの遺産分割を実現することは難しいでしょう。

売却

また、相続しておいて、後から山林だけ手放すことはできれば、山林以外の遺産を所得しつつ、山林の管理義務から解放されることができます。 この点については、買い手がつくような山林であれば、後からでも手放すことが可能ですが、買い手がつかない山林を手放すことは難しいでしょう。

寄付

選択肢としては、誰かに寄付することぐらいしかありませんが、使い道がなく買い手もつかない山林は、只でももらってくれる人は中々見つからないでしょう。 寄付の受け入れ先として可能性がありそうな先としては、次のようなところが考えられます。
  • 自治体
  • 隣地の所有者
  • 公益法人
  • 自治会、町内会
しかし、寄付を受け入れてもらえる可能性はあまり高くないので、実質的に相続放棄が手放す最後のチャンスと言っても過言ではないでしょう。

相続放棄すべきかの判断基準

それでは、相続したくない山林を含む遺産を相続放棄すべきかどうか判断するためのポイントについて説明します。

プラスの財産よりもマイナスが多ければ相続放棄

通常、相続放棄は、プラスの財産の価額よりも借金等のマイナスの財産の価額の方が大きい場合に利用されます。そのような場合に相続すると、相続人が損してしまうからです。

相続税・固定資産税と管理費用もマイナスの財産と考える

同様に、山林以外に特に財産がなく、しかも、その山林が使い道も価値もないという場合に相続すると、山林の維持管理費や固定資産税を延々と負担し続けなければならなくなり、相続人が損してしまいます。 このような場合もまた、相続放棄した方が得であるといえるでしょう。つまり、山林の使い道や価値がない場合は、負債と同様に考えて、遺産のプラスの財産と天秤にかけて、プラスが大きければ相続し、マイナスが大きければ相続放棄をするという判断をするのがよいでしょう。

相続税・固定資産税

山林にかかる相続税の計算方法は後述します。 固定資産税額は、課税明細書に記載されています。課税明細書が見当たらない場合は役所で固定資産評価証明書を取得するとよいでしょう。
管理費用
山林の管理費用については、森林組合に相談してみるとよいでしょう。 森林組合は各都道府県にあります。 全国の森林組合の連絡先は、「全国森林組合連合会」のウェブサイトの「都道府県森林組合連合会一覧」のページをご参照ください。

相続放棄費用

また、厳密いうと、相続放棄をするにも費用がかかりますので、その分も加味して損得を計算する必要があります。 相続放棄にかかる費用については関連記事をご参照ください。

相続財産管理人報酬(全員で相続放棄する場合)

また、全員で相続放棄をする場合は、相続財産管理人を選任するまでは土地の管理義務から解放されないので、相続財産管理人の選任費用も加味する必要があります。 相続財産管理人の選任にかかる費用は、申立て費用と、相続財産管理人への報酬があります。
申立て費用
申立て費用は、数千円程度のもので、内訳は以下のとおりです。
  • 収入印紙800円
  • 切手代(裁判所からの連絡用。裁判所によって異なりますが1000円前後のことが多いようです。)
  • 官報公告料4,230円
相続財産管理人への報酬
相続財産管理人への報酬は、親族が相続財産管理人になる場合は不要ですが、相続財産管理人になった親族は、土地の帰属が決まるまでは、土地の管理を継続しなければなりません(相続財産管理人選任後の流れについては後述します)。 相続財産管理人に弁護士や司法書士が選任される場合は、管理の手間や難易度に応じて月額1万円から5万円ぐらいの報酬が、裁判所によって決められます。 報酬は相続財産から支払われますが、十分な財産がない場合は、申立人が予納金を納めなければなりません。予納金の金額は、家庭裁判所や事案によって異なりますが、数十万円~150万円ぐらいです。

買い手が付きそうな場合

山林に買い手がつきそうな場合は、「山林を含めた遺産の価値」から「土地の売却にかかる費用」を差し引いて、プラスになるかマイナスになるかによって、相続するか放棄するかを決めるとよいでしょう。 山林に買い手が付きそうかどうかや、山林の売却にかかる費用については、森林組合に相談するとよいでしょう。

山林の相続手続き

山林を相続する場合の手続きには、次の2つがあります。
  • 区市町村への「所有者の届出」
  • 法務局での名義変更(登記)
以下、それぞれについて説明します。

法務局での名義変更(登記)

通常、相続登記(相続による名義変更)については義務ではありません。 森林の土地については、後述の「所有者届出」が義務であり、届出前に登記を済ませておかなければならないことから、間接的に登記義務があるといえます。登記については司法書士に相談するとスムーズでしょう。

区市町村への「所有者届出」

森林の土地を新たに取得した人は、土地の所有者となった日から90日以内に、取得した土地のある市町村の役所に「森林の土地の所有者届出書」と添付書類を提出して、届出をしなければなりません。 届出期限は、登記から90日以内ではなく、土地の所有者となった日(相続開始の日)から90日以内です。 期限内に遺産分割協議が調わない場合でも、期限内に届出が必要となり、法定相続人の共有物として届出ることとなります。 その場合は、遺産分割協議成立後90日以内に、改めて届出が必要です。届出書は林野庁ホームページからダウンロードできます。 添付書類として、登記事項証明書(写しも可)又は土地売買契約書など権利を取得したことが分かる書類の写し、土地の位置を示す図面が必要です。 つまり、届出前に登記を済ませなければなりません。なお、届出をしないか、又は、虚偽の届出をしたときは、10万円以下の過料(金銭を徴収する行政処分)が科されることがあります。

山林にかかる相続税

山林の相続税評価額の計算方法の判定

山林は相続税の計算上、どのように、評価すればよいでしょうか? 山林の評価方式は地域によって、倍率方式宅地比準方式があります。 評価対象の山林がどちらの方式で評価すべき地域なのかは、次の手順で確認することができます。
  1. 国税庁の「財産評価基準書」のサイトにアクセス
  2. 相続開始の年のボタンをクリック
  3. 評価対象地の所在する都道府県をクリック
  4. 「評価倍率表」欄の下の「一般の土地等用」をクリック
  5. 評価対象地の所在する区市町村をクリック
  6. 「町(丁目)又は大字名」欄と「適用地域名」欄で評価対象地がある地域を探し、その地域の「山林」欄の表示を確認する
  7. 「純○」「中○」(「○」は数字)と記載されていれば倍率方式、「比準」「市比準」「周比準」と記載されていれば宅地比準方式で評価します。
出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」

倍率方式

倍率方式の場合は、以下の計算式で求めることができます。
固定資産税評価額×評価倍率
評価倍率は、前述の「純○」又は「中○」の「○」の数字です。

宅地比準方式

宅地比準方式については以下の記事をご覧ください。

山林を物納できる?

国税は、金銭で納付することが原則ですが、相続税に限っては、納付すべき相続税額を納期限までに、又は納付すべき日に延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、その納付を困難とする金額を限度として、申請書及び物納手続関係書類を提出の上、一定の相続財産で納付することが認められています。これを「物納」といいます。 つまり、物納は金銭で納付できない場合でなければ認められません。 また、その場合であっても、物納する財産を自由に選べるわけでなく、優先順のルールに従って、どの財産を物納されるかが決められます。 市街地山林(宅地比準方式の地域にある山林)の物納は、比較的認められやすいでしょう。 一方、それ以外の山林(倍率地域の山林)の物納は、優先順位が低く設定されており、認められにくくなります。 山林しか物納できない理由を記した報告書を税務署に提出することで、山林を物納できる可能性を高めることができます。詳しくは相続税に精通した税理士に相談するとよいでしょう。

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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