税理士監修記事

相続税の無申告はばれる?税務調査、加算税、時効、配偶者控除

相続税の無申告は、税務署にばれるのでしょうか?ばれるとすれば、なぜばれるのでしょうか?ばれない方法はあるのでしょうか?

どのような場合に税務調査が入るのでしょうか?

無申告がばれると、どのような罰則があるのでしょうか?税金が加算されるのでしょうか?

期限後申告でも配偶者控除を受けることはできるのでしょうか?

無申告のまま何年かすると、時効となって相続税を払わなくてもよくなるのでしょうか?

この記事では、以上のような相続税の無申告に関する疑問について、税理士がわかりやすく丁寧に説明します。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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無申告でも問題ない場合もある

財産を相続しても、相続税の申告をしなくてよい場合もあります。

相続税の申告は、被相続人(亡くなった人)から相続、遺贈(遺言によって財産を取得させること)や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した各人の課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合に、必要となります。

したがって、課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額以下である場合には、相続税の申告をする必要はありません小規模宅地等の特例特定計画山林の特例などを適用することにより課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告をする必要がありますので、ご注意ください。)。

「遺産に係る基礎控除額」は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の算式で計算します。

課税価格の求め方については「相続税の課税価格とは?計算方法をわかりやすく丁寧に説明!」をご参照ください。

相続税申告の要否を簡易的に判定するには、「申告要否の簡易判定シート」又は「相続税の申告要否判定コーナー」を利用するとよいでしょう。

前者は申告要否を簡易的に判定するためのもので、後者は申告要否の判定に加えて税額の概算についても簡易的に計算できます(あくまで概算であり、正確に計算するためには相続税申告書に基づいて計算する必要があります)。

また、課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合であっても、未成年者控除障害者控除及び相次相続控除の適用を受けることによって納付すべき税額が無くなる場合は、申告不要です。

そして、相続放棄や遺産分割の結果、財産を取得しなかった人も申告不要です。

無申告が税務署にばれる理由

なぜ、相続税の無申告が税務署にばれるのでしょうか?

まず、役所に死亡届が出されると、役所から税務署に通知されるため、税務署が相続開始を把握することができます。

そして、税務署は、次のような情報を閲覧して調査する権限があります。

  • 過去10年分の預貯金の出入金履歴
  • 過去10年分の有価証券の移動履歴
  • 不動産の登記情報、固定資産税の課税データ
  • 自動車の登録情報
  • 生命保険金の給付情報
  • 所得

税務署は、このような情報を元に、相続税の無申告をかなり正確に捕捉することができるのです。

無申告がばれた場合の流れ

無申告が税務署にばれると、その後は、どうなるのでしょうか?

まずは、税務調査で申告漏れの指摘を受け、期限後申告を促されることになります。

期限後申告した場合は、通常、相続税に加えて、無申告加算税及び延滞税が課されます(期限後申告をしても、配偶者控除の適用を受ける等して、税額が生じないこともあります。)。

また、財産を隠蔽又は仮装していた場合は、無申告加算税に代えて、より税率の高い重加算税が課されることなります。

なお、税務署の指摘に従わず、期限後申告をしない場合は、税務署が相続税の税額を決定する処分が下されることになります。

決定処分に不服がある場合は、「税務署長に対する再調査の請求」又は「国税不服審判所長に対する審査請求」をすることができます。この点について詳しくは国税庁ウェブサイトの「税務署長の処分に不服があるとき」をご参照ください。

無申告で税務調査が入る割合

無申告の場合に税務調査が入る割合は、約0.1%です。

割合だけ見ると、随分低いと思われるかもしれませんが、無申告の人の大多数は、課税価格の合計額が基礎控除額以下で相続税の対象外であるためです。

申告が必要なケースであるにもかかわらず無申告としたら、極めて高い割合で追徴課税を受けることになるでしょう。

税務調査が入る可能性が高いケース

無申告の場合に税務調査が入る可能性が最も高いのは、税務署から事前に「相続税の申告等についてのご案内」という書類が届いているケースです。

「相続税の申告等についてのご案内」が届く場合は、被相続人の死亡の半年後頃に、相続人の住所地に郵送されます。

「相続税の申告等についてのご案内」には、「「相続税の申告書」または「相続税の申告要否検討表」の提出をお願いします。」と記載されています。

つまり、「相続税の申告等についてのご案内」は、相続人が相続税の申告の必要があると判断する場合は「相続税の申告書」を提出しなさい、ないと判断する場合は「相続税の申告要否検討表」に記入して検討したうえでその判断をし、検討に用いた記入済みの「相続税の申告要否検討表」を提出しなさいという趣旨の書類です。

「相続税の申告書」と「相続税の申告要否検討表」のどちらも提出しなくても罰則等はありませんが、その場合は、税務調査の対象となる可能性が高いです。「相続税の申告等についてのご案内」が届いた場合は、税務署が、事前に掴んでいる情報から、申告が必要である可能性が極めて高いと判断しているケースです。

それにもかかわらず、無申告で「相続税の申告要否検討表」も提出しないとなると、当然、税務調査の対象となる可能性が高いです。「相続税の申告要否検討表」を提出した場合は、これに記載された情報と、税務署が掴んでいる情報との整合性が検証され、疑わしい点がある場合は、税務調査の対象となる可能性が高いです。もっとも、「相続税の申告等についてのご案内」が送られているということは、前述のとおり、税務署が、既に捕捉している情報から、申告が必要である可能性が高いと判断しているわけであって、申告不要とする検討表の内容は、既存の情報と何らかの矛盾がある可能性が高く、検討表を提出した場合も、やはり、税務調査の対象となる可能性が高いです。

ちなみに、「相続税の申告要否検討表」に事実と異なる記載をしても直接の罰則はありませんが、それによって申告要否の判断を誤る可能性があり、結果的に、無申告加算税や延滞税を課せられることになる可能性がありますし、税務調査と対象となる可能性も益々高まるでしょう。

したがって、「相続税の申告要否検討表」に記入する際は、しっかりと財産調査をした上で、正確に記載しましょう。

また、書き方が分からない場合や税務署か税理士に相談するとよいでしょう。

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また、被相続人の死亡の半年後頃に、「相続税の申告等についてのご案内」ではなく、「相続税についてのお知らせ」という書類が届くことがあります。

この場合は、税務署が、「相続税の申告等についてのご案内」の場合ほど確実ではないものの、申告が必要である可能性があると考えている場合になります。

「相続税についてのお知らせ」が届いた場合は、要否検討表のような提出書類はありませんが、内容物に目を通し、申告要否を検討しましょう。

なお、「相続税の申告等についてのご案内」も「相続税についてのお知らせ」も届かない場合でも、無申告で税務調査の対象となった事例は存在しますので、何も届かない場合でも、申告の要否はしっかりと検討しましょう。

自分で申告要否を検討することが難しい場合は、税務署か税理士に相談するとよいでしょう。

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無申告の場合でも税務調査の連絡前に期限後申告をすると無申告加算税の税率が低くなる

期限後申告をした場合、原則として、無申告加算税が課せられますが、その税率は、税務調査の事前通知の前後、及び、税務調査の前後で、それぞれ異なります。

税務調査の事前通知前が最も税率が低く5%税務調査の事前通知後から税務調査前の期間が、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%税務調査後が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%です。

なお、期限後申告を、法定申告期限から1か月以内に自主的に行った場合は、無申告加算税は課されません。

したがって、期限内に後から申告の必要があったことに気が付いた場合は、なるべく早く期限後申告をした方がよいでしょう。

なお、無申告加算税について詳しくは「相続税の無申告加算税の税率と計算方法、延滞税についても説明」をご参照ください。

税務調査の時期

相続税の税務調査の対象となった場合、通常、申告の翌年か翌々年の8月~11月に税務署から連絡がきて、9月~12月に実施されます。

この時期を過ぎると、税務調査が入る可能性は格段に低くなります。

無申告の場合の税務調査の流れ

無申告で税務調査の対象となった場合は、税務署から相続人へ連絡があります。

連絡の目的は実地調査の日程調整です。

他の相続人とも日程を調整して、実地調査の日程を決めます。

必ずしも、相続人全員が立ち会えなくても構いませんが、出来る限り立ち会った方がよいでしょう。

実地調査は、被相続人が最後に住んでいた家で行われることが多いですが、既に手放していたり、財産を別の場所に移している場合は、相続人の自宅や、財産を移した場所で行われます。

税務調査の連絡があった場合は、すぐに相続税に強い税理士に相談することをお勧めします。

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実地調査までの間に、税理士と相談のうえ、相続財産の洗い出しや評価を行い、本当に申告の必要がなかったかを検討しましょう。

調査当日までに、次の資料を手元に用意しておくと、調査官から求められたときに慌てずに調査がスムーズに進むのでよいでしょう。

  • 相続税申告時に用いた資料の原本
  • 預貯金通帳(被相続人と相続人のもの)
  • 土地の権利証や不動産購入時の資料
  • 相続人の認印

また、税務調査を待たずして申告が必要であったことが明らかになった場合は、税務調査前に期限後申告をしましょう。前述のとおり、無申告加算税の税率が低くなります。

実地調査は、通常、1日で終わりますが、1日で終わらない場合は、別日に再度実地調査が実施されることもあります。

調査当日は、申告を依頼した税理士や、調査に先立ち新たに依頼した税理士に同席してもらうことができます。

調査は、午前10時に開始され、早ければ午後3時頃、遅くとも午後5時頃には終わります。

調査官は通常2人で来て、午前中は、調査官から質問に答えるかたちで進みます。

お昼を挟みますが、調査官に昼食を用意する必要はありません(調査官は外で食べます)。

午後は通帳などの資料や、貴重品の保管場所等を確認したうえで、調査官から申告漏れ等に関する具体的な指摘があることもあります。

また、調査官からの質問に対して回答した内容を、調査官が書面にまとめるので、その書面を確認して、間違いがなければ署名押印します。

税理士に立ち会ってもらっている場合は、税理士にも確認したうえで、署名押印した方が良いでしょう。

なお、調査官からは次のような質問が想定されます。

  • 被相続人にはどのような収入があったか、どのようにして財産を蓄えたか
  • 被相続人の出費の状況(毎月の生活費はいくらだったか、お金のかかる趣味はあったか、介護費用や医療費)
  • 相続開始直前に大きな出費がある場合は、その用途
  • 被相続人がつけていた家計簿や日記の有無
  • 被相続人が取引していた金融機関、投資状況
  • 被相続人が亡くなる前の財産の管理状況
  • 被相続人が行った贈与や寄付行為
  • 被相続人の印鑑について(贈与契約書等に押印された印鑑は被相続人のものか)
  • 被相続人の配偶者や子の年齢や職業、財産状況

相続税の時効

相続税は、原則として、法定納期限から5年で時効にかかり、納付義務がなくなります(相続税の法定納期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月)。

したがって、法定納期限から原則として5年経てば、税務調査が入ることもありませんし、自ら期限後申告をする必要もありません(しようとしても受け付けてもらえません)。

ただし、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合は、時効期間が7年になります。

なお、「偽りその他不正の行為」は積極的な隠ぺい行為を指し、単に相続税を申告しなかったというだけでは、これに該当しないものと解されています。

期限後申告でも配偶者控除を受けられる

相続税の配偶者控除(正しくは「配偶者の税額の軽減」といいます。)とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

  • 1億6千万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

期限後申告(法定申告期限後の申告)でも配偶者控除を受けることはできます。

なお、この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。

つまり、税務調査で仮装又は隠蔽していた財産についての申告漏れの指摘を受けて修正申告又は期限後申告をする場合に、仮装又は隠蔽していた財産について配偶者控除を適用させることはできないということです(隠蔽・仮装したのが配偶者でなく、他の相続人だったとしても同じです)。

例えば、仮装又は隠蔽されずに期限内に申告されていた財産が6千万円で、仮装又は隠蔽されていた財産が1億円あったとすると、配偶者控除を受けられるのは前者の6千万円についてのみということになります。

まとめ

以上、相続税の無申告に関する知識について説明しました。

相続税の申告要否の判断がつかない場合は、相続税に強い税理士に相談することをお勧めします。

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