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養子縁組を考えている人の必須知識│条件や手続き、流れなど

養子縁組を検討している人の必須知識、手続き、条件、流れ

日本では、養子縁組はまだまだ身近な制度とは言えません。

しかし、養子縁組を検討している家族が多くいるのも事実です。そこで、養子縁組を考えている方が知っておきたい情報をまとめました。

養子を受け入れる家族も、養子本人も、良い決断ができるよう、必要な情報を集め、十分に検討することが大切です。

今回は、養子縁組の手続きや相続、などについて詳しく解説します。

[ご注意]
記事は、公開日(2018年12月19日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

養子縁組とは

養子縁組とは、実の親子ではない(血縁関係のない)人の間に親子関係を生じさせる制度です。

養子縁組によって法律上の子となった人を養子、親になった人を養親と言います。そして、養子縁組による親子のことを養親子と言います。

ちなみに、実の子を実子、実の親を実親、実の親子関係のことを実親子と言います。

養子縁組をした日から養子は実子と同じく法定相続人となり、親の財産を相続することができます。
普通養子縁組と特別養子縁組の違い
養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組があり、実の親との親子関係を終了するかどうかで分けられます。

普通養子縁組とは

普通養子縁組とは、実親との法律上の親子関係を維持したまま、養親との間で新たに法律上の親子関係を生じさせることを言います。

つまり、普通養子縁組によって養子となった人は2組の親を持ちます。したがって、実親の財産も相続することができ、また養親が十分な支援をできないときは実親からも扶養を受けることができます。

養子にとってメリットが多く、一般的には普通養子縁組を検討することが多いようです。

なお、いわゆる婿養子や、相続税対策のために孫を養子にする場合などは、ほぼ普通養子縁組です。

また、再婚時に連れ子を再婚相手の養子にしたり、親戚の家の子を養子にもらうケースも、多くの場合は普通養子縁組で行われます。

ちなみに、後述する特別養子縁組と区別するために普通養子縁組と呼ばれますが、単に養子縁組とも呼ばれます。

普通養子縁組の相続

前述の通り、普通養子縁組では実親と養親の両方に対して相続権をもちます。法定相続分(遺産の取り分の割合)も実子と変わりません。

また、養親の片方としか養子縁組をしていない場合は、養子縁組をしている方しか相続権をもちません。

ちなみに親が祖父母より先に亡くなった場合は、祖父母の遺産を代襲相続することもできます。おじ、おばの財産を親を代襲相続して相続することも、実方、養方ともに可能です。

普通養子縁組は養子離縁届けを役所に提出することで養子縁組を解消することができます。

話し合い(協議離縁)で合意が取れない場合、離縁調停を申し立て、それでも不成立の場合は、離縁裁判を行う流れとなります。養子縁組の離縁を検討している場合は、弁護士に相談するのもひとつの方法です。

特別養子縁組とは

特別養子縁組では実親との親子関係を終了し、養親のみが法律上の親となります。

そのため特別養子縁組が成立すると、実親の財産の相続権や、実親から扶養を受ける権利は無くなります。

そもそも特別養子縁組は育児放棄や虐待など、家庭に恵まれない子どもに温かい家庭を提供し、健全な養育を図ることを目的として創設された制度です。そのため、普通養子縁組とは意味合いが異なります。

また特別養子縁組の離縁は、原則できないとされています。もし、離縁したい場合は、家庭裁判所への申し出が必要です。

特別養子縁組の相続

特別養子縁組が成立すると、養親の財産の相続権のみ持ちます。養親の相続では、実子と同じように相続されます。

養子縁組が成立するための要件

養子縁組が認められるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

また、特別養子縁組の成立要件は、普通養子縁組より条件が厳しくなっています。これは前述のとおり、実親との親子関係を解消するため、慎重に検討することが必要だからです。

普通養子縁組の要件

  • 養親が成年者(20歳以上)であること。もしくは結婚していれば20歳未満でも成年とみなされる
  • 養子が尊属(叔父、叔母など)または年長者でないこと
  • 後見人が被後見人を養子にする場合(後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も同様)は、家庭裁判所の許可を得ていること
  • 結婚している人が未成年者を養子にする場合は、夫婦の両方が養親になること
  • 養親または養子となる人が結婚している場合は、配偶者の同意を得ること
  • 養親となる人が養親となる意思があること
  • 養子となる人が養親となる人の養子となる意思があること(養子となる人が15歳未満の場合は、法定代理人が代りに承諾)
  • 未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所の許可を得ていること(養子が自分や配偶者の直系卑属の場合は許可不要)
  • 養子縁組の届出をしていること(市区町村役場に受理されて初めて成立する)

特別養子縁組の要件

  • 夫婦共同で養親になること(夫婦の一方の連れ子の場合は養親となるのは夫婦のもう一方のみ)
  • 養親となる夫婦の少なくともどちらかが25歳以上で、もう一方が20歳以上であること
  • 養子が15歳未満であること
  • 実の両親の同意があること(意思表示ができない場合や、虐待など、養子となる人の利益を著しく害する事由がある場合は、同意は不要)
  • 父母による養子となる者の監護が著しく困難、または不適当であること。その他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があること
  • 特別養子縁組を請求してから6か月間監護した状況(請求前の監護の状況が明らかなときは監護を始めた時から6か月間の状況)を考慮して、特別養子縁組を成立させることがふさわしいと家庭裁判所によって認められること
なお監護とは、子どもが日常生活を送れるよう面倒を見ることを言います。

特別養子縁組の要件の改正

民法等の一部を改正する法律が令和元(2019)年6月7日に成立し、令和2年(2020)年4月1日に施行されました。それにより特別養子縁組の制度が利用しやすくなりました。

具体的には、養子となる人の年齢上限の引き上げ(6歳から15歳に変更)や、特別養子縁組の成立の手続きを二段階に分けることで養親となる人の負担を軽減するなどの改正が行われました。また、手続きの一部は児童相談所長が申立てができるようになりました。

改正の概要については、法務省ホームページに記載されています。

養子縁組の手続き

養子縁組の手続き
普通養子縁組と特別養子縁組では養子縁組の手続きが異なります。

普通養子縁組

普通養子縁組の手続きは、養子縁組届出書を作成し、必要書類を揃えて養親もしくは養子の本籍地(もしくは住所地)の市区町村役場に提出します。

必要書類

  • 養子縁組届書
  • 養親になる人と養子になる人の戸籍謄本(本籍地に届出をする場合は不要)
  • 届書を持参した人の本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • 養子縁組許可審判書(未成年者を養子にする場合等で裁判所の許可が必要な場合)
  • 養子縁組に関する配偶者の同意書(配偶者がいる場合)
  • 外国の法律に関する資料(外国籍の人を養子縁組する場合)

なお、養子縁組届書は市区町村ホームページからダウンロードするか、役所でもらうことができます。また、提出にあたっては届出人の印鑑(シャチハタ不可)が必要です。

費用

普通養子縁組の役所での手続きに費用はかかりません。戸籍謄本を発行する場合の手数料程度です。

家庭裁判所への養子縁組許可の申立て

養子となる人が未成年者の場合や、後見人が被後見人を養子にする場合などは、あらかじめ養親の居住地の家庭裁判所の許可が必要です。

この許可が取れた後、市区町村役場に書類を提出します。

必要書類

  • 養子縁組許可申立書
  • 申立人(養親)の戸籍謄
  • 養子となる人の戸籍謄本
  • 法定代理人の戸籍謄本(養子が15歳未満の場合のみ)
  • 800円の収入印紙(養子1人につき)
  • 返送用切手(枚数は各家庭裁判所によって異なるので、管轄の家庭裁判所に確認してください)

養子縁組許可申立書は家庭裁判所で入手できるほか、裁判所ホームページからダウンロードすることができます。

費用

収入印紙代、返送用の切手の費用がかかります。

期間

養子縁組の許可の審判には、数ヶ月かかります。地域によっても異なるので、あらかじめ家庭裁判所の担当者に確認しておきましょう。

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特別養子縁組

児童相談所やあっせん機関を介して養子のあっせんを受ける場合は、法的な手続の前に、あっせんを受けるための手続きや、両者を引き合わせて相性などを確認する手続きがあります。

法的手続きに移るまでの流れは、自治体や機関ごとに異なりますが、概ね、次のような流れで進められます。

  • 申請要件の確認
  • 里親研修受講
  • 里親登録申請
  • 調査、審議
  • 里親認定
  • 子どもの紹介、引き合わせ
  • 交流期間(1~3か月)
  • 委託の決定
  • 6か月間の同居

家庭裁判所に特別養子縁組成立の申立てを行う前に、養親となる人と養子となる子は、6か月以上一緒に住んで監護していなければなりません。

上記の手続きを終えたら、法的な手続きに移ります。特別養子縁組の法的手続きは、以下の2つが挙げられます。

  • 家庭裁判書への特別養子縁組成立の申立て
  • 市区町村の役所への特別養子縁組届の提出

家庭裁判所への特別養子縁組成立の申立て

必要書類

家庭裁判所に提出する書類は、以下の通りです。

  • 特別養子適格の確認申立書
  • 特別養子縁組成立の申立書
  • 養親となる人の戸籍謄本
  • 養子となる人の戸籍謄本
  • 養子となる人の実父母の戸籍謄本

費用

申立てに必要な費用は、800円分の収入印紙と、裁判所からの連絡用の切手のみです。

市区町村の役所への特別養子縁組届の提出

特別養子縁組成立の審判が確定したら、審判確定の日から10日以内に、市区町村の役場に、特別養子縁組届を提出します。

届出先の市区町村は、養子の本籍地か、養親の本籍地、住所地、所在地のいずれかになります。

必要書類

  • 特別養子縁組届書
  • 家庭裁判所の審判書謄本と確定証明書
  • 養親となる人の戸籍謄本(本籍地に届出する場合は不要)

費用

戸籍謄本発行の手数料程度です。

よくある質問

最後に、養子縁組についてよくある質問をまとめました。

養子縁組をすると、苗字はどうなりますか?

原則として養親の姓に変更されますが、結婚により相手の苗字に変更した配偶者(筆頭者でない人)は、養子縁組をしても養親の姓になりません。

養子の苗字や戸籍については、関連記事に詳しく書かれています。

養子の戸籍はどうなりますか?

未婚の養子の場合は、原則として養親の戸籍に入ります。しかし、戸籍に変動なく身分事項に記載される場合や、養親の新しい戸籍ができ、そこに入る場合もあります。

独身ですが、養子を取れますか?

普通養子縁組であれば、養子をとることは可能です。相続税対策のために親族と養子縁組を組むことがあるようです。特別養子縁組は配偶者がいないとできません。

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この記事を書いた人

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