遺産分割協議・調停に強い弁護士の選び方と費用・報酬の相場
[ご注意]
記事は、公開日(2020年10月2日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。
目次
弁護士に遺産分割協議の代理を依頼するメリット
弁護士に遺産分割協議の代理を依頼すると、次のようなメリットがあります。- 協議を有利に進めることができる
- 感情的な対立を避けることができる
- 遺産の全容を把握できる
- 遺産分割協議書の作成や相続手続きも併せて依頼できる
協議を有利に進めることができる
遺産分割協議の代理を弁護士に依頼することで、協議を有利に進めることができ、自分が希望する内容で協議を成立させられる可能性が高まります。 弁護士は法律と交渉事のプロフェッショナルです。 弁護士が代理人になることで、相手方が無茶な主張をしている場合は、冷静に法的根拠を基にこれを退けることができ、依頼者の希望する内容で協議を成立させられるように、例えば、次のような観点から交渉に当たります。- 相手方が法定相続分以上の財産を取得しようとしていないか。
- 各財産の評価は適切か。依頼者の有利になるように(依頼者が取得予定の財産がなるべく低くなり、相手方の取得予定の財産がなるべく高くなるように)評価する余地はないか(詳しくは「遺産分割における不動産評価方法を弁護士がわかりやすく説明」参照)。
- 現物分割以外の分割方法(換価分割・代償分割)によって依頼者の希望を実現することはできないか。
- 依頼者の寄与分を主張することはできないか。相手方が寄与分を主張している場合、これを退けることはできないか。
- 相手方に特別受益があることを主張することはできないか。相手方が依頼者に特別受益があることを主張している場合、これを退けることはできないか。
感情的な対立を避けることができる
遺産分割協議で揉める背景に感情的な対立があるケースがあります。 弁護士に依頼すると、余計に相手方を刺激するのではないかと心配される方もいますが、経験豊富な弁護士は、相手方の感情に配慮しつつ、冷静に法的根拠に基づき主張を展開することができるため、感情的な対立を和らげ、協議の成立に導くことが可能です。 もっとも、そのためには、遺産分割の経験豊富な弁護士に依頼した方がよいですし、依頼前の面談時に弁護士の人となりについても見定める必要があるでしょう。遺産の全容を把握できる
弁護士は、相続人本人では情報を収集することが難しい場合であっても、弁護士会を通じて、金融機関や行政機関等に対して、亡くなった人の財産についての情報開示を求めることができる場合があります。 これを「弁護士会照会」又は「23条照会」といいますが、この照会等による遺産の調査によって、一部の相続人が隠していた遺産や誰も気づいていなかった遺産の存在が明らかになり、遺産の全容を把握することができる場合があります。 なお、弁護士会照会によって情報開示を受けられる財産には次のようなものがあります。- 預貯金
- 有価証券
- 自動車
遺産分割協議書の作成や相続手続きも併せて依頼できる
遺産分割協議が成立したら、その内容を文書にします。 この文書を遺産分割協議書といいます。 弁護士をはじめ専門家に遺産分割協議の代理を依頼した場合は、通常、遺産分割協議書の作成も併せて依頼することができます。 相続手続きには理解の難しい仕組みや制度がたくさんあります。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門家に相談してみることをご検討ください。弁護士に遺産分割協議の代理を依頼するデメリット
弁護士に遺産分割協議の代理を依頼するデメリットは、弁護士に支払う費用(報酬)がかかることです。 この点については、次の項目で詳しく説明します。弁護士に遺産分割協議の代理を依頼した場合の費用(報酬)
弁護士費用について説明します。誰が払う?相続人全員で分担する?
そもそも、弁護士費用は誰が払うのでしょうか? それは、「弁護士に依頼した人」です。 当事者間に利害の対立がある場合、弁護士は、依頼者の利益になるように主張を組み立て、相手方と交渉します。 なお、弁護士は、裁判所のような中立な機関ではないので、相続人全員で一人の弁護士に依頼して妥当な遺産分割方法を決めてもらうというような利用方法は、本来、予定されている弁護士の利用方法ではありません。 このような利用方法であれば、家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判の手続きを利用する方が一般的でしょう(遺産分割調停については「遺産分割調停前に知っておくべき調停を有利に進める方法と調停の流れ」参照)。遺産分割に強い弁護士の選び方
遺産分割に強い弁護士の選び方について説明します。ランキング
弁護士を探す際に「相続 弁護士 ランキング」といったキーワードで探す人が多いようです。 しかし、「相続弁護士ランキング」なるランキングは、公的なものはありませんし、民間の格付け機関によるものも存在しないようです。 企業法務の分野では、日本経済新聞社が毎年、企業や弁護士にアンケート調査をおこなって集計しているランキングがありますが、相続分野では、そのようなランキング付けは行われていないようです。 また、事務所の所属弁護士数によるランキングは存在していますが、所属弁護士数が多い事務所が必ずしも遺産分割案件に強いというわけではありませんので、遺産分割の弁護士を、所属弁護士数ランキングを元に選ぶというのは得策ではないでしょう。口コミ
レストラン等を選ぶ際はウェブ上で口コミ(クチコミ)を確認してお店を選ぶということをしている人も多く、レストラン等の口コミを投稿し閲覧できるサイトも多くあります。 しかし、弁護士については、そのような口コミサイトは現状ほとんどありません。 現状、弁護士の口コミを掲載しているほぼ唯一のサイトは、Googleマップです。 Googleマップでは拠点ごとに口コミが掲載される仕組みになっています。 したがって、同じ事務所でも東京のオフィスと大阪オフィスでは異なる口コミが掲載されています。 このような口コミを閲覧できる機能は、一見、弁護士選びに有用に思われますが、注意点もあります。 一つ目の注意点としては、口コミの掲載数があまり多くないということです。 まだ口コミが一つも掲載されていない事務所も多いです。 二つ目の注意点としては、口コミは誰でも投稿でき、その口コミが事実に基づくものか検証されていないという点です。 Googleマップの口コミは、Googleアカウントさえあれば、誰でも投稿することができます。 その口コミが事実に基づく正当なものかどうかは分からないので、あくまで参考程度に留めておくことが賢明でしょう。おすすめの選び方
最もおすすめの選び方は、相続問題に精通した弁護士を探して問い合わせることです。 弁護士は、法律全般の専門家であり、基本的には、どの弁護士でも対応することができます。 しかし、医者に専門分野があるように、弁護士にも得意分野をもっている人がいます。 相続問題に特化して経験を積み、あらゆる相続問題に精通している弁護士がいるのです。 やはり、相続問題に精通した弁護士に依頼した方が、より良い結果が得られる可能性が高いでしょう。下記の電話番号から、ぜひ相談してみてください。 弁護士を選ぶ際は、依頼したい問題に精通しているかどうか以外に、事務所の立地、自分(依頼者)との相性(相談しやすさ)、信頼できるか等の指標も重要です。 依頼内容によっては、何度も事務所を訪問することになりますので、あまり遠方だと交通費や移動時間が嵩んでしまいます。 遠方の弁護士に依頼してはいけないわけではありませんが、遠方の弁護士に依頼する場合は、遠方であることのデメリット以上のメリットがあるかどうかを判断した方がよいでしょう。 また、弁護士との相性も重要です。 弁護士との間に心理的な垣根を感じてしまう場合、訊きたいのに訊けないとか、伝えた方がよいかもしれないが伝えにくいとかということが生じてしまいます。 弁護士のコミュニケーションがうまくいかないと、ストレスになってしまいますし、よりよい結果を得られない可能性が生じてしまいます。 そして、いくら気さくで話しやすくても、信頼できない弁護士は避けた方がよいでしょう。 例えば、連絡するといったのに連絡がないとか、費用についてしっかりと説明してくれないというような弁護士は避けるべきです。 初回の面談時に、気になる点は遠慮なく質問し、疑念が残る場合は、依頼せずに、他の弁護士にも相談してみた方がよいでしょう。面談前に準備は必要?
面談前に事前準備が必要かどうかは、相談内容によります。 まずは、電話やメール等で弁護士に問い合わせましょう。 問い合わせる際には事前準備は不要です。 弁護士や事務員が、必要な情報を質問して引き出してくれます。 面談時に用意した方がよい資料等がある場合は、弁護士や事務員から指示があるでしょうから、あれこれと気を揉むよりも、まずは問い合わせた方がよいでしょう。まとめ
以上、遺産分割協議・調停に強い弁護士の選び方と費用・報酬の相場について説明しました。 次のようなケースでは、一度、専門家に相談してみることをお勧めします。- 双方の主張に食い違いがあり、協議が難航している
- 他の相続人が無茶な要求をしてくる
- 他の相続人が威圧的で意見が言いにくい
- 感情のもつれによって協議が進まない
- 相続人の中に協議に応じない人や連絡のつかない人がいる
- 遺産を管理している人が遺産の内容を明らかにしない、遺産の一部を隠している気がする
- 財産目録がなく遺産の全容が把握できない
- 遺産分割協議書の作成や相続手続きを併せて依頼したい
この記事を書いた人
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