弁護士監修記事
三井住友銀行での相続手続きを効率よく進めるためのポイント

この記事では、三井住友銀行での相続手続きについて説明します。
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。
相続手続に関する不明点や困り事は、専門家への無料相談でスッキリ解決!
お住まいの都道府県の専門家を選べます。
まずは、お住まいの都道府県をクリック!
目次
三井住友銀行における相続手続きの流れ
三井住友銀行における相続手続きの流れは、概ね次の通りです。
- 死亡届を役所に提出
- 通帳、キャッシュカードを確認
- 引き落としや入金の予定がある場合は、引落口座や入金口座を変更
- 口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡
- 必要書類の提出
- 払戻し
以下、それぞれについて説明します。
死亡届を役所に提出
死亡届が提出されていない場合は、相続手続きを開始することができません。
死亡届は、被相続人が亡くなったことが判明したら、7日以内(国外で死亡した場合は、死亡を知った日から3か月以内)に役所に提出しなければなりません。
葬儀を葬儀社に依頼する場合は、通常、葬儀社が提出を代行してくれます。
死亡届について詳しくは「死亡届の書き方と必要書類、死亡に伴う各種手続をわかりやすく説明」をご参照ください。
通帳、キャッシュカードを確認
亡くなった人が、どこの銀行に口座をもっているのか不明な場合は、それを明らかにしなければなりません。
通帳やキャッシュカードを探しましょう。
引き落としや入金の予定がある場合は、引落口座や入金口座を変更
銀行に連絡をすると、口座が凍結され、出入金が一切できなくなります。
公共料金やクレジットカード等の引き落としがある場合は、決済方法の変更や解約などの手続きを並行して進めましょう。
凍結された口座に入金の予定がある場合は、早めに入金元に対して連絡するとよいでしょう。
そうしないと、被相続人が賃貸物件を持っている場合などは、借主が家賃を入金できなくなり困ってしまいます。
口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡
通帳またはキャッシュカードを準備して、口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡します。
連絡方法は、電話または来店です。
通帳とキャッシュカードのどちらも見つからない場合(口座番号等が不明の場合)は、電話では対応できないので、来店しなければなりません。
電話の場合は、「三井住友銀行 田町相続オフィス」電話番号:0120-141-611(通話無料)にかけます。
受付時間は9時~16時で、土日祝日と、12月31日、1月1日~3日はお休みです。
つながったら「#1」を入力します。
来店の場合は、口座のある店舗でなくても、お近くの店舗で構いません。
お近くの店舗は以下のリンク先ページにて調べることが出来ます。
必要書類の提出
必要書類はケースによって異なります。
口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡した際に、銀行が必要書類について説明してくれますが、こちらでも必要書類について説明しておきます。
必要書類は、三井住友銀行のウェブサイトに掲載されている以下のチャートを元に確認することができます。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人のことで、受遺者とは、遺言によって遺産をもらい受ける人のことです。
以下、それぞれのケースの必要書類は以下のリンクから確認できます。
なお、遺言書がない場合の手続きでは、戸籍謄本等に変えて法定相続情報一覧図の写しでも構いません。
法定相続情報一覧図については「法定相続情報一覧図を13種類のテンプレートから簡単に作成する方法」をご参照ください。
払戻し
提出書類に不備がなければ、10日前後で、指定した相続人の口座に払戻しがあります。
口座凍結前に預金を引き出すこともできるが、注意点あり
葬儀費用等が急ぎで必要な場合で、かつ、キャッシュカードの暗証番号が分かる場合は、口座凍結前にATMで預金を引き出すことも可能です。
しかし、これには次の2つの問題があります。
- 他の共同相続人との間でトラブルになることがある
- 相続を単純承認したことになる
以下、それぞれについて説明します。
他の共同相続人との間でトラブルになることがある
被相続人の預金口座は、遺産分割協議の対象ですから、勝手に引き出して使うことは本来許されません。
引き出す前に必ず他の共同相続人の同意を取り付けましょう。
また、引き出したお金を、葬儀費用といった「遺産から支出しても構わないもの」の支払いに充てた場合は、必ず領収書を取っておいて、自分のために使ったものではないことを証明できるようにしておきましょう。
相続を単純承認したことになる
葬儀費用だけのために引き出すのであればよいのですが、引き出したお金を自分のために使ってしまうと、相続を単純承認したことになります(単純承認については「単純承認したことになって知らないうちに借金を相続しないための知識」参照)。
相続放棄を検討する必要がまったくなければそれで問題ないのですが、後日、プラスの財産よりも負債の方が大きかったことが発覚した場合に、相続放棄をしようと思っても、一度単純承認してしまうと、相続放棄ができません(相続放棄については「財産放棄と相続放棄の違いを理解して財産放棄で損しないための全知識」参照)。
口座凍結後の仮払い
口座締結後、遺産分割協議が長期化していて、葬儀費用等を支払いたいのに、預金の払戻しを受けられないということがあります。
そのような場合には、仮払手続きを利用するとよいでしょう。
また、遺産分割協議が成立している場合は、仮払いではなく、本来の相続手続によるべきですが、預金額が少額であれば、相続手続よりも簡便な仮払手続きを利用することも考えられます。
仮払いを受けるためには、相続人全員の同意書が必要でしたが、相続法の改正によって、2019年7月1日(改正法の施行日)からは、他の相続人の同意がなくても仮払いを受けられるようになりました。
施行日以前に相続が開始されていても、施行日以降であれば、仮払いを受けることができます。
仮払いを受けるための方法には、次の2つがあります。
- 金融機関の窓口で直接仮払いを求める
- 家庭裁判所に仮払いを申し立てる
以下、それぞれについて説明します。
金融機関の窓口で直接仮払いを受ける
銀行等の金融機関の窓口で直接仮払いを求める方法のメリットには、次の2つがあります。
- 裁判所での手続きが不要(手間も日数も費用もかからない)
- 仮払いが必要な理由を求められない
ただし、生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度として創設されるので、払戻可能額に一定の上限額が設けられています。
上限額は、基本的には次の式で計算します。
相続開始時の預貯金債権の額(預貯金残高)× 1/3 × 仮払いを求める相続人の法定相続分 |
※法定相続分について「法定相続分とは?相続人の組み合わせパターン別法定相続分の計算方法」参照
例えば、A銀行に600万円、B銀行に1200万円の預金があって、仮払いを求める相続人の法定相続分が2分の1の場合は、A銀行からは、600万円×1/3×1/2=100万円なので、100万円以内の仮払いを受けることができ、B銀行からは、1200万円×1/3×1/2=200万円以内の仮払いを受けることが出来るようになります。
ただし、一つの金融機関から仮払いを受けられる金額には、法務省令によっても上限が設けられます。上記算式の上限額が法務省令の上限額を超える場合には、法務省令で定められた上限額である150万円の範囲内で仮払いを受けることができます。
設例のケースでは、A銀行からは100万円、B銀行からは150万円の仮払いを受けることができます。
仮払いを受けた分は、遺産分割の際に相続分から差し引かれます。
家庭裁判所に仮払いを申し立てる
それほど緊急ではないが、遺産分割協議が長引きそうなので、遺産分割前に仮払いを受ける必要がある場合は、家庭裁判所に仮払いを申し立てることによって、預貯金債権の法定相続分の全額の仮払いを受けることも可能です。
この方法は、上限金額の縛りがないというメリットがある反面、次のようなデメリットがあります。
- 家庭裁判所に遺産分割調停(または審判)を申し立てたうえで、さらに仮払いを申し立てなければならない(手間と日数と費用がかかる)
※遺産分割調停については「遺産分割調停前に知っておくべき調停を有利に進める方法と調停の流れ」参照 - 仮払いを受ける理由が求められる
まとめ
以上、三井住友銀行における相続手続きについて説明しました。
相続手続きは自分でもできますが、相続財産に不動産が含まれる場合は自分で行うのは難しいでしょうから、その場合は、銀行の相続手続きも併せて司法書士に依頼するとよいでしょう。
相続に関する不明点や困り事は
無料相談でスッキリ解決!
『遺産相続ガイド』のオススメの【司法書士】はコチラ ≫
また、相続税の申告が必要な場合は、相続手続きも含めて、相続税の申告を依頼する税理士に依頼するとよいでしょう。
税に関する不明点や困り事は
無料相談でスッキリ解決!
『遺産相続ガイド』のオススメの【税理士】はコチラ ≫