絶縁した兄弟との遺産相続|適切な対応で泥沼化を回避

絶縁した場合の遺産相続

兄弟と絶縁している場合、親の遺産相続をどのように進めればよいか、悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、この記事では、絶縁した兄弟がいる場合の遺産相続の進め方とその注意点をわかりやすく説明します。

是非、参考にしてください。

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[ご注意]
記事は、公開日時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

絶縁していても同意なく決めた遺産分割には効力がない

絶縁して何年も音信不通であったとしても、法で定められた相続人である限り、相続する権利をもっています。

したがって、絶縁したからと言って、その人の同意なく行った遺産分割(相続人が複数いる場合に相続人の間で遺産を分けること)には効力がありません。

法定相続人が複数いる場合は、名義変更等の遺産相続手続きをするに当たって、通常、相続人全員が同意して実印を押印した遺産分割協議書(遺産分割協議の結果を記した書面)が必要です(遺言によって財産の取得が指定されている場合はこの限りではありません)。

相続人全員の押印がある遺産分割協議書がなければ、被相続人(亡くなった人)名義の預貯金の払戻しを受けることも、名義を変更することも、不動産の所有権移転登記(名義変更)をすることも、自動車の移転登録(名義変更)をすることもできません。

遺産分割協議書はご自身でも作成できますが、いくつかのポイントを踏まえて作成する必要があります。もし難しいようであれば専門家に相談してみましょう。

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遺産分割までの間、不動産や預貯金などの相続財産は各相続人がそれぞれの法定相続分に応じた持分で共有している状態になっています。

不動産

相続不動産について、絶縁している相続人の同意がなくても、法定相続分に応じた持分で登記(共同相続登記)することは可能ですが、それをすることに特段の意味はなく手数料や手間が余計にかかってしまうだけです。

なお、賃料債権のような一部の可分債権(分割可能な債権)については、遺産分割前に、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解されているところ、遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものですが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものと解されています(最高裁判所第一小法廷平成1798日判決)。

このような賃料債権のような例外もありますが、大部分の遺産については、共同相続人全員の同意がなければ取得できないものと考えておいてください。

預貯金

また、被相続人の預貯金について、相続の開始を金融機関が把握していなければ、キャッシュカード等によって、遺産分割前に勝手に引き出すことも事実上できてしまいますし、現金その他の動産についても、一部の相続人が勝手に持ち帰ってしまって、後にトラブルになるケースがあります。

このように、引き出そうと思えば引き出せてしまう預貯金や、名義変更手続きが不要な現金その他の動産についても、当然ながら遺産分割をしなければ取得することができません。

勝手に取得した財産については、不当利得返還請求(または不法行為に基づく損害賠償請求)を受けると、返還しなければなりません。その際には、法定利息が加算されることもありますので、いくら絶縁しているとはいえ、勝手に遺産を持ち帰ってはいけません。

なお、形見分けの範囲内であれば、持ち帰っても問題とならないケースもあります。

絶縁状態に応じた対応が考えられる

一口に絶縁と言っても状況は様々でしょうから、この記事では、次の3つのパターンに分類し、パターンごとに遺産相続の進め方と注意点を説明します。

  • 絶縁した兄弟の連絡先を知っている場合
  • 絶縁した兄弟の連絡先を知らない場合
  • 絶縁した兄弟が7年以上生死不明の場合

絶縁した兄弟の連絡先を知っている場合

絶縁した兄弟の連絡先を知っている場合は、絡を取って遺産分割協議を進めるべきです。

遺産分割協議を進めるに当たって直接会わなくても構いません。電話でも、メールでも、郵便でのやり取りでも構いません。

それでも向こうが協議に応じない場合は、弁護士に依頼して協議に応じるよう交渉してもらうか、家庭裁判所に遺産分割調停または遺産分割審判を申立てます。

調停を申立てても向こうが期日に出頭しない場合は、調停は成立せずに、そのまま審判に移行します。

出頭しないことが明白な場合は、調停を経ずに始めから審判を申立てた方が無駄がないでしょう(審判を申立てても家庭裁判所が話し合いの余地があると判断すれば調停に回されることもあります)。

遺産分割調停と朝廷を有利に進める方法については、関連記事も合わせて参考にしてください。

絶縁した兄弟の連絡先を知らない場合

絶縁した兄弟の連絡先がどうやっても分からない音信不通状態の場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立てて、さらに、選任された不在者財産管理人が権限外行為許可の申立てをして(遺産分割への同意は権限外行為に当たるため)、これが認められれば、絶縁した兄弟の代わりに不在者財産管理人と遺産分割協議を進めることができます。

不在者財産管理人は、法定相続分に基づいて遺産分割をしようするので、不在の兄弟の相続分を他の相続人が取得しようとしても、それは難しいでしょう。

絶縁した兄弟が7年以上生死不明の場合

親が亡くなった時点で、絶縁した兄弟が7年以上も生きているか死んでいるかも分からない状態の場合は、失踪宣告を受けることによって、絶縁した兄弟を相続人から除外することができます。

失踪宣告を受けると、法的には、生死不明になってから7年後に死亡したものとみなされます。

絶縁した兄弟が生死不明になってから7年後が、親が亡くなった時よりも前であれば、その兄弟は、法的には、親が亡くなった時に既に亡くなっているものとみなされますから、親の遺産の相続人となることはできません。

なお、このような場合において、その兄弟に直系卑属(子供や孫など)がいる場合は、その直系卑属が代襲相続人となるため、その直系卑属と遺産分割をすることになります。

遺言によって全遺産の取得者が決まっている場合は絶縁した兄弟が協力しなくても相続手続きできる

遺言によって、すべての遺産の取得者が決まっている場合は、遺産分割協議の必要はありませんから、絶縁した兄弟が協力しなくても、遺言執行者を選任して、遺言で指定されたとおりに相続手続きを進めることができます。

遺言執行者とは、相続人の代わりに、遺言内容を実現するための手続きを行う人のことです。

なお、遺言で取得者が指定されていない遺産がある場合は、指定されていない遺産については、遺産分割協議が必要になります。

また、遺産の取得割合のみが記載されていて、具体的に誰がどの財産を取得するかについての記載がない場合も、やはり遺産分割協議が必要になります。

相続人の廃除事由や相続欠格事由があれば、相続人から除外できる

相続人の廃除事由や相続欠格事由があれば、相続人から除外することができます。しかし、単に絶縁したというだけでは、いずれの事由にも該当しません。

まとめ

以上、絶縁した兄弟がいる場合の遺産相続の進め方と注意点について説明しました。

不明な点は、遺産相続に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

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