弁護士監修記事
相続登記申請書の書き方を分かりやすく解説!相続登記は自分でできる

この記事では、相続登記申請書の書き方や、添付書類、それらの綴じ方等についてわかりやすく説明します。
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。
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目次
相続登記申請書の書き方
相続登記申請書の書き方は、ケースによって異なります。
ケース別に、書き方(PDFファイル)と記入用紙(Wordファイル)をそれぞれ紹介します。
公正証書遺言がある場合
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に遺言書を作成してもらってする遺言のことです(「公正証書遺言で最も確実かつ誰でも簡単に遺言をする方法を丁寧に解説」参照)
自筆証書遺言がある場合
自筆証書遺言とは、自筆(自書)で書かれた遺言のことです(「自筆証書遺言が無効となるケースとケース別の正しい書き方を完全解説」参照)。
遺産分割した場合
遺産分割とは、亡くなった人が所有していた財産(遺産)を、その人の死亡と同時にもらい受ける権利のある人(相続人)が複数いる場合に、その人たちの間で遺産を分けることです(「遺産分割で揉めず損せずスムーズに協議をまとめるための重要ポイント」参照)。
遺産分割せず法定相続分通りに共有する場合(法定相続登記)
共有とは、財産を分割せずに、共同で所有することです。
数次相続がある場合
数次相続とは、被相続人(亡くなって財産を残す人)が亡くなって(一次相続)、遺産分割協議や移転登記、名義変更等が済まないうちに、相続人が亡くなり、次の相続(二次相続)が開始されることをいいます(「数次相続とは?数次相続の手続を損なくスムーズに進めるための全知識」参照)。
相続登記申請書の添付書類
常に必要な書類
相続登記の際に必ず必要となる書類と、場合によって必要となる書類があります。
まずは、どのようなケースでも必ず要る書類について説明します。
相続登記で必ず必要となる書類は次のとおりです(登記申請書以外)。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 住所証明情報
- 固定資産税評価証明書
以下、それぞれについて説明します。
登記事項証明書(登記簿謄本)
登記事項証明書と登記簿謄本は、基本的には同じです。
登記事務がコンピュータ化しているところで発行したものが登記事項証明書で、コンピュータ化していないところで発行したものが登記簿謄本です。
全国の地方法務局の出張所のどこでも発行することができます(その不動産を管轄する主張所である必要はありません)。
登記事項証明書(登記簿謄本)で登記内容を確認しなければ登記申請書を作成することができないので必要です。
手数料は1通480円~600円で申請方法によって異なります。
住所証明情報
住所証明情報とは、不動産取得者の住所を証明する書類のことです。
不動産の所有者の住所は登記簿に記載されるので、その住所が正確なものであることを証明する書類が必要なのです。
住所証明情報として、次の書類が認められています。
- 住民票の写し(住所地の市区町村役場で入手可能)
- 印鑑登録証明書(住所地の市区町村役場で入手可能)
- 戸籍の附票(本籍地の市区町村役場で入手可能)
以上のうち、いずれでも構いません。
固定資産税評価証明書
登録免許税の税額は固定資産税評価額に応じて変わってきます。
登録免許税額の確認のために必要です。
最新年度のものが必要です。
東京都23区内の場合は各都税事務所、東京都23区以外の市町村及びそれ以外の道府県の場合は住所地の市町村役場で入手可能です。
登記簿上の所有者の住所と被相続人の本籍地が異なる場合に必要になる書類
所有者として登記された者の氏名と被相続人の氏名が同じでも、同姓同名の別人ということもありえるので、住所も同じかどうかを確認して、その不動産が被相続人(亡くなった人)の所有物であるかどうかを確認することになっています。
登記簿上の所有者の住所と、被相続人の本籍地が同じであれば、同一人物であることの確認が取れるので、追加の書類は不要です。
しかし多くのケースでは、登記簿上の所有者の住所と被相続人の本籍地は異なるので、そのような場合は、基本的には住民票の除票(被相続人の本籍地が記載されたものである必要があります。)で確認することになっています。
住民票の除票とは、死亡した人の住民票のことです。
登記簿上の所有者の住所と、被相続人の住民票の除票上の住所が同じであれば、同一人物であることの確認が取れるので、被相続人の住民票の除票を添付して申請します。
しかし、住民票の除票上の住所も、登記簿上の所有者の住所と異なる場合は、戸籍の附票で確認します。
戸籍の附票には、その戸籍にいる間の住所の履歴が記載されています。
戸籍の附票に記載されている住所の中に、登記簿上の所有者の住所と同じものがあれば、同一人物であることの確認が取れますが、被相続人が登記簿に戸籍を移っていた場合は、被相続人が過去にいた戸籍について、除かれた戸籍や改製原戸籍も含めて、附票を調べることになります。
登記簿上の所有者の住所と同一の住所が記載された附票が見つかれば、それを添付書類として提出します。
しかし、除かれた戸籍や改製原戸籍の附票の保存期間は5年であり、既に廃棄されている可能性もあります。
このようなケースは稀ではありますが、その場合には、また別の書類によって、登記簿上の所有者と被相続人が同一人物であることを確認することになります。
どのような書類を求められるかはケースによって異なりますので、実際にこのような事態になった場合は、管轄の法務局出張所の職員に尋ねるとよいでしょう。
法定相続分に応じた共有名義で登記をする場合に必要な書類
法定相続分に応じた共有名義で登記をする場合は、被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本等が必要です。
そのためには少なくとも以下の両方が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
また、代襲相続がある場合や、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となる場合は、さらに多くの戸籍謄本が必要になります。
代襲相続とは、相続人となるべき者(被代襲者)が、相続開始以前に死亡しているときや相続欠格または廃除により相続権を失ったときにおいて、その被代襲者の直系卑属(代襲者)が被代襲者に代わって、その受けるはずであった相続分を相続することをいいます(「代襲相続とは?範囲は?孫や甥・姪でも相続できる代襲相続の全知識」参照)。
代襲相続がある場合は、被代襲者の出生から死亡まで(死亡していない場合は現在まで)の戸籍謄本と、代襲者全員の現在の戸籍謄本が必要になります。
また、兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の父母それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。
戸籍謄本の収集方法については「相続に必要な戸籍謄本を自分で簡単に収集するための重要なポイント」をご参照ください。
遺産分割協議で取得者が決まった場合に必要な書類
遺産分割協議で取得者が決まった場合は、共有名義で登記をする場合と同様に、被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本等が必要となるほか、遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑登録証明書が必要になります。
遺産分割協議書の作成方法については「遺産分割協議書のひな形をダウンロードして自分で簡単に作成する方法」をご参照ください。
印鑑登録証明書は、各相続人の住所地の市区町村役場で取得することができます。
各相続人に取得して送ってもらうか、印鑑登録カードを預かることによって代わりに取得することもできます。
遺言で取得者が決まっている場合に必要な書類
遺言で取得者が決まっている場合は、遺言書および検認済証明書(自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合)ならびに被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本または除籍謄本が必要です。
公正証書遺言の場合は、遺言書および検認済証明書の代わりに、遺言公正証書謄本が必要です。
この不動産が遺言によって「相続」されたものである場合は、以上の書類で足りますが、「遺贈」されたものである場合は、さらに、追加の書類が必要です(「遺贈する」と「相続させる」の違いについてはこちらのページを参照)。
追加の書類は、遺言執行者が選任されているかどうかによって異なります。
遺言執行者が遺言で選任されている場合は、遺言執行者の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)が必要です。
遺言執行者が家庭裁判所の審判で選任されている場合は、遺言執行者の印鑑登録証明書に加えて、遺言執行者選任審判書謄本が必要です。
遺言執行者が選任されていない場合は、被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本等(前述の共有名義の登記をする場合の項目を参照)と、相続人全員の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)が必要です。
遺言執行者について詳しくは「遺言執行者とは?どんな場合に必要?遺言執行者の選び方と役割、報酬」をご参照ください。
相続放棄した人がいる場合に必要な書類
相続放棄した人がいる場合は、相続放棄申述受理証明書が必要となることがあります(登記する不動産を相続する人が遺言によって決まっている場合は不要です)。
相続放棄申述受理証明書があると、相続放棄をした人の分の戸籍謄本や印鑑登録証明書が不要になります。
相続放棄申述受理証明書について詳しくは「相続放棄申述受理証明書が必要なケースと申請方法・申請書の記入例」をご参照ください。
代理人に登記手続を依頼する場合に必要な書類
司法書士等の代理人に登記手続を依頼する場合は、委任状が必要です。
委任状の書式は司法書士の方で用意してくれることがほとんどで、依頼者は署名押印のみすればよいでしょう。
司法書士に依頼した方が、間違いがないのでお勧めです。
添付書類の原本還付を受ける方法
所定の方法で戸籍謄本等のコピーを提出することで、原本の還付を受けることができます。
原本を還付してもらいたい書類のコピーに、「原本と相違ない」旨を記載のうえ、申請者の記名押印をします。
この押印に用いる印は、申請書に押印したものと同じものでなければなりません。
戸籍謄本だけでなく、住民票、住民票の除票、遺産分割協議書、印鑑登録証明書等の原本還付にも使えます。
原本還付を受けたい書類が複数枚ある場合は、そのすべてに「原本に相違ない」旨の記載と申請者の記名押印をするか、コピーをステープラー(ホチキス)等で綴じて、一番上の書類にだけ「原本に相違ない」旨の記載と記名押印をして、他の書類には契印をする方法があります。
また、相続関係説明図を添付すると、コピーの提出すら不要です。
相続関係説明図とは、亡くなった人の相続人が誰で、各相続人が亡くなった人とどのような続柄なのかという相続関係を説明するための家系図のような図のことです。
しかし、相続関係説明図によって還付を受けられるのは戸籍謄本の類のみで、住民票の除票や印鑑登録証明書等の原本還付を受けることはできません。
また、法定相続情報一覧図の写しを提出した場合は、原本すら提出不要です(法定相続情報一覧図の作成時に戸籍謄本等が必要なので、戸籍謄本等自体がまったく不要になるわけではありません)。
法定相続情報一覧図とは、法定相続人が誰で各法定相続人は被相続人とそれぞれどのような間柄なのかという情報を一覧化した図のことです。
相続関係説明図と法定相続情報一覧図は、とても似ています。
違いとしては、次のような点が挙げられます。
- 相続関係説明図は公的な制度にのっとったものではありませんが、法定相続情報一覧図は法定相続情報証明制度という公的な制度にのっとって作成されます。
- 相続関係説明図は記載すべき事項が比較的あいまいですが、法定相続情報一覧図は比較的しっかりと決められています。
なお、法定相続情報一覧図の写しを提出した場合に提出が不要になるのは、戸籍謄本の類のみで、住民票の除票や印鑑登録証明書等の提出は必要です。
相続関係説明図の作成方法については「相続関係説明図を13種類のテンプレートから選んで簡単に作成する方法」を、法定相続情報一覧図の作成方法については「法定相続情報証明制度を利用すべき場合と利用すべきでない場合の基準」をそれぞれご参照ください。
相続登記申請書と添付書類の綴じ方
相続登記申請書と添付書類の綴じ方について説明します。
書類の並び順
書類の並び順については、次のような順番が一般的とされています。
- 登記申請書
- 収入印紙貼付台紙
- 委任状(自分で申請する場合は不要)
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書(コピー)
- 相続人全員の印鑑証明書(コピー)
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票の除票(コピー)
- 不動産を相続される方の住民票または戸籍の附票(コピー)
- 固定資産税評価証明書(コピー)
- 戸籍謄本等(原本)
- 遺産分割協議書(原本)
- 相続人全員の印鑑証明書(原本)
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票の除票(原本)
- 不動産を相続される方の住民票または戸籍の附票(原本)
- 固定資産税評価証明書(原本)
この順でなければならないわけではありませんが、抜け漏れチェックにもなりますから、基本的にはこの順番で綴じるとよいでしょう。
なお、必要書類は、前述のとおり、ケースによって異なりますので、ご注意ください。
綴じ方
まず、1と2の書類をステープラー(ホチキス)で綴じて、契印をします。
契印とは、二枚以上の書類がある場合に、それらが一式の書類で、順番に違いないこと(抜き取られていたり、足されたり、順番が入れ替わったりしていないこと)を証明するために、複数のページに渡って印影が残るように押す印鑑のことです。
次に、3と4の書類は、一旦そのままで、5~9の書類をステープラーで綴じて契印をします。
先頭にくる5の書類には、「原本に相違ない」旨の記載と記名押印をします。
そしてさらに、1~9の書類をまとめて再度ステープラーで綴じます。
10以降の書類は、クリアファイルにまとめます(綴じません)。
相続登記申請書の提出方法
相続登記の申請は、その相続不動産を管轄する法務局で行います。
全国の法務局とその管轄エリアは、法務局ウェブサイトの「管轄のご案内」ページで確認することできます。
なお、郵送で申請することもできますし、オンラインで申請することも可能です。
オンラインで申請する場合は、「登記・供託オンライン申請システム」のウェブサイトの「ソフトウェアのダウンロード」のページから「申請用総合ソフト」をダウンロードして、ご利用ください。
まとめ
相続登記は自分でも可能ですが、調べたり、書類を収集したり、作成したりするための時間と労力が必要です。
専門家である司法書士に依頼すると、費用はかかりますが、時間と労力は節約できます。
また、司法書士には、登記だけでなく、以下のような周辺事務も併せて依頼することができます。
- 不動産の調査
- 相続人調査や戸籍謄本等の収集
- 法定相続情報一覧図の作成や法定相続情報証明制度利用申出の代行
- 遺産分割協議書の作成
専門家をうまく活用してスムーズに手続きを進めることも賢い選択と言えるでしょう。
相続登記や周辺事務に精通した司法書士にいくつか問い合わせて料金を確認し、検討してみることをお勧めします。
相続に関する不明点や困り事は
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