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遺産相続における兄弟でのトラブル事例!回避策・解決策を徹底紹介

遺産分割における兄弟間のトラブル事例
親が亡くなり、兄弟で親の遺産を分割して相続することになったときに、どのような割合で分割すべきか、兄弟で揉めることがあります。 そこで、この記事では、遺産相続における兄弟の相続割合について説明します。また、遺産相続に関する兄弟のトラブル事例と、その回避策・解決策についても、併せて紹介します。 遺産相続で兄弟で揉めてしまっては亡くなった親に顔向けできません。円満に遺産分割協議が進むよう、この記事が参考になれば幸いです。

[ご注意]
記事は、公開日(2019年5月29日)時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

兄弟の相続割合は基本的には平等

兄弟の相続割合は基本的には平等です。長男であろうが、長女であろうが、末っ子であろうが、家業を継ごうが、継ぐまいが、皆、同じ相続割合です。 被相続人(亡くなった人)の配偶者がいない場合(先に亡くなっているか、離婚しているような場合)の相続人は、子供だけです。 その場合の相続割合は、2人兄弟であれば2分の1ずつですし、3人兄弟であれば3分の1ずつです。 被相続人の配偶者がいる場合は、配偶者が2分の1で、残りの2分の1を子供の数に応じて按分します。2人兄弟であれば4分の1ずつで、3人兄弟であれば6分の1ずつです。 両親が離婚していても、どちらの親に引き取られた子供も、どちらの親の遺産も相続することができ、相続割合についても、どちらの親に引き取られたかによって違いはありません。 また、養子であっても実子ある兄弟と相続割合に違いはありません。被相続人に配偶者がいなくて、実子と養子が1人ずついる場合は、相続割合は2分の1ずつです。 なお、養子に出た子供は、養親の遺産に加えて、実親の遺産も相続することができます(普通養子縁組の場合に限ります。特別養子縁組の場合は実親の遺産を相続することはできません。)。 また、半血の兄弟(異父兄弟、異母兄弟)であっても、親の遺産の相続割合に違いはありません。 つまり、被相続人が生前に複数の異性との間に子供を設けていた場合でも、それらの半血の兄弟の間で相続割合に違いはないということです。 嫡出子(婚姻中の夫婦の間の子供)であっても、非嫡出子(婚姻していない男女の間の子供)であっても違いはありません(以前は非嫡出子の相続割合は嫡出子の2分の1でしたが、20131211日から法改正により同じになりました)。 ただし、非嫡出子の場合は、認知されていなければなりません。生前に認知されていなくても、死後3年以内に認知の訴えを提起すれば認知を受けられる可能性があります。

兄弟の相続割合が平等でないケース

兄弟の相続割合は平等なのが原則ですが、必ずしも平等でなければならないわけでありません。 兄弟の相続割合に差をつける方法が2あります。一つは遺言もう一つは遺産分割協議です。

遺言

遺言によって相続割合の指定がある場合は、原則として、遺言の指定に従うことになります。 ただし、相続人や受遺者(遺言によって遺産をもらい受ける人)全員の同意があれば、遺言の指定と異なる割合で相続することもできます。

遺産分割協議

遺言がない場合は、兄弟が同じ割合で遺産を相続することが原則となりますが、これも相続人全員の同意があれば、変更することができます。 例えば、兄弟の中で家業を継ぐ人が多くの遺産を相続するケース等です。この相続人全員による遺産の分割方法に関する協議のことを遺産分割協議と言います。

遺産相続を巡る兄弟トラブル事例

遺産相続における兄弟のトラブル事例 遺産相続を巡る兄弟トラブルには、次のような事例があります。
  • 他の相続人から相続放棄を求められる
  • 遺産が勝手に使い込まれた
  • 相続開始を知らないうちに他の相続人が相続していた
  • 遺言書が有効か無効かで意見が割れている
  • 遺言の内容が偏っている
  • 遺産の独り占め等、決められた相続分よりも多くの遺産を取得しようとする人がいる
  • 特別受益について意見が割れている
  • 寄与分について意見が割れている
  • 誰がどの財産を取得するかで意見が割れている
  • 不動産の分割方法で意見が割れている
  • 不動産の評価額について意見が割れている
  • 不動産を取得することになったが他の相続人が登記に協力してくれない
以下、それぞれの事例の詳細と、その回避策、解決策について、説明します。

他の相続人から相続放棄を求められる

例えば、長男が、ほかの兄弟に対して相続を放棄するように求めるようなことがあります。相続人である以上、相続する権利はありますから、相続放棄をするかどうかは、その人の自由です。 ひとたび相続放棄をすると、後から撤回することができません。相続放棄を求められても、すぐには応じず、どうすべきかじっくり考えた方がよいでしょう。 相続放棄の期間は、原則としては相続の開始を知った時から3か月以内ですが、家庭裁判所への申立てによって伸長することもできます。 慌てて結論を出すと後悔することになりかねないので、弁護士に相談する等して、よく考えたうえで結論を出しましょう。

また、相続放棄ではなく相続分の放棄(または相続分の譲渡)を求められることもあります。 相続分の放棄や相続分の譲渡の場合は、相続放棄のような家庭裁判所での手続きがないので、気軽に応じてしまいがちですが、ひとたび同意書に押印してしまうと基本的には撤回できないので、やはり慎重に判断するようにしましょう。

遺産が勝手に使い込まれた

相続人の一人が被相続人の預貯金を勝手に引き出して使い込むトラブルは比較的よく起こります。

回避策

被相続人の預貯金がある金融機関は、死亡を把握すると、口座を凍結して勝手に引き出すことができないようにします。 相続人の一人が預金を勝手に引き出してしまうようなおそれがある場合は、金融機関に被相続人の死亡を伝えて口座を凍結してもらうとよいでしょう。 死亡の事実は誰から伝えても構いません。伝える先は、亡くなった人が口座を開設していた金融機関の支店です。直接赴いて伝えてもよいですし、電話で伝えてもよいでしょう。 亡くなった人の氏名、住所、生年月日、口座番号等の確認があるので、スムーズに答えられるように準備しておくとよいでしょう。 複数の金融機関に口座を持っている場合は、金融機関ごとに連絡する必要があります。なお、一つの金融機関の複数の支店に口座を持っている場合は、一つの支店に連絡すれば十分です。

解決策

既に使い込まれた後の解決策としては、次のようなことが考えられます。
  • 口座の履歴等から使い込んだ金額を明確にして遺産分割の際に使い込み分を差し引く
  • 不当利得返還請求(または不法行為に基づく損害賠償請求)をする
使い込んだ人が使い込みの事実を認めた場合は、遺産分割の際にその分を差し引くことで解決することができますが、認めないような場合は、裁判等で争うことになります。その場合は、弁護士に相談した方がよいでしょう。

相続開始を知らないうちに他の相続人が相続していた

相続人が複数いる場合に相続手続きをして遺産を取得するためには、相続人全員が実印を押印した遺産分割協議書が必要になります(遺言がある場合は不要なケースもあります)。 したがって、基本的には、相続開始を知らないうちに他の相続人が相続していたということは起こらないのですが、相続人の一人が勝手に被相続人の口座から預貯金を引き出したり、手続きの必要がない動産を勝手に持って行ったりすることがありえます。 このような場合は、不当利得返還請求や不当行為に基づく損害賠償請求等をすることが考えられます。弁護士に相談するとよいでしょう。

遺言書が有効か無効かで意見が割れている

遺言は次のような場合に無効となることがあります。
  • 遺言者が遺言時に認知症等で意思能力がなかった
  • 自書でない箇所がある
  • 日付がない
  • 署名がない
  • 押印がない
  • 変更が所定の方式にのっとられていない
  • 表現が曖昧
遺言書が無効になるケースについては、以下の記事にも詳しく紹介されています。

回避策

遺言は遺言者である親が亡くなって初めて内容が明らかなになるものですから、相続人である兄弟が取りうる回避策は特にありませんが、遺言者の取りうる回避策としては、公正証書で遺言書を作成することが考えられます。 公正証書で遺言書を作成する場合は、法務大臣に任命された法律の専門家である公証人が本人から遺言内容を聴き取って遺言書を作成してくれるので、遺言書が無効になる可能性が低くなります。 他方、自筆証書遺言の場合であっても、2020710日に施行される民法改正後は、法務局での保管制度が施行され、保管時に形式不備のチェックがあるため、この制度を利用することで自筆証書遺言でも無効になるケースは少なくなることが期待されますが、施行日までは利用できないので、公正証書遺言を利用するとよいでしょう。

解決策

遺言者が亡くなった後は遺言に不備が見つかっても修正することができません。したがって、遺言を有効化するような対策はありません。 遺言が有効か無効か判断するためには、高度な専門知識が必要となりますので、弁護士に相談することをお勧めします。 弁護士を交えた当事者間の協議で決着しない場合は、裁判で争われることになります。

遺言で指示された相続割合が兄弟の一人に偏っている

遺言の内容が、一部の人ばかりが遺産を取得できるようになっていると、不公平感からトラブルに発展しやすいです。 また、一定範囲の相続人(配偶者、子(および、その代襲者)、直系尊属)には、遺留分といって、相続できる最低限の割合が法律上決められています。 遺留分を侵害する遺贈や贈与がなされた場合は、遺留分権利者は、遺贈や贈与を受けた人に対して、遺留分侵害の限度で遺贈や贈与された財産の返還を請求することができます。

回避策

遺言者である親による回避策としては、遺言書を作成する際に、遺留分を侵害しない内容にすることが挙げられます。 また、親が会社を経営している場合、後継者である子供に株式等の事業資産が集中することによって、他の兄弟の遺留分を侵害してしまうことがあります。 そこで、「将来の紛争防止のため経営承継円滑化法に基づく遺留分に関する民法の特例」を活用すると、後継者を含めた先代経営者の推定相続人全員の合意の上で、先代経営者から後継者に贈与等された非上場株式について、一定の要件を満たしていることを条件に、 ①遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)又は ②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)をすることができます。 事業承継時の遺留分対策については、専門的な内容ですので、事業承継に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

解決策

遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分減殺請求によって、財産の返還を請求することができます。

決められた相続分より多くの遺産を取得しようとする

遺言がなく相続人が複数いる場合は、法定相続分に応じて各相続人が遺産を取得できることになっていますが、相続人の間の力関係によって、一部の相続人が多くの遺産を取得しようとすることがあります。

回避策

相続人間の力関係に差がある場合に、遺産分割を相続人間の協議に委ねてしまうと、トラブルに発展しかねません。 そこで、回避策としては、遺言で、誰がどの財産を取得するか、きっちり定めておくことが考えられます。もっとも、遺言があっても、相続人と受遺者(遺贈を受ける人)全員の合意があれば、協議によって遺言とは異なる遺産分割をすることも可能です。

解決策

実際にこのようなトラブルが生じてしまった場合は、当事者間の協議で解決することは難しいことが多いので、弁護士に相談し、間に入ってもらうことを検討すべきでしょう。

特別受益についての意見が割れている

特別受益とは、相続人が複数いる場合に、一部の相続人が、被相続人からの遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことです。 特別受益があった場合は、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分が算定されます。このようにして相続分を算定することを「特別受益の持戻し」といいます。 遺贈や死因贈与(贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与)によって取得した財産については、基本的に、すべて特別受益に該当しますが、贈与によって取得した財産については特別受益に該当する場合としない場合があるため、その解釈を巡ってトラブルになることがあります。 特別受益については関連記事も参考にしてください。

回避策

この回避策としては、持戻しの免除が考えられます。特別受益の持戻しの免除とは、特別受益の持戻しをさせないことです。 特別受益の持戻しがあると、贈与財産の価額が控除されますが、持戻しが免除されると、控除されません。 持戻し免除の意思表示の形式に指定はありません。ですが、遺贈による特別受益の持戻しの免除は、同じく遺言によるべきとする見解もあるので、念のため、遺言によって行うべきでしょう。贈与による特別受益の持戻しの免除は、遺言で行う必要はありません。 明示の意思表示は勿論、黙示の意思表示も認められます。ですが、黙示の意思表示は、しばしば相続人間におけるトラブルを引き起こします。 黙示の意思表示の有無で相続人同士が揉めることがあるのです。黙示の意思表示の有無については、総合的に判断されますが、次のような事情があれば、意思表示があったと認められやすいでしょう。
  • 受贈者(贈与を受ける人)により多くの財産を与えようという被相続人の意図がある場合
  • 贈与の代わりに被相続人も利益を得ている場合
しかし、被相続人の立場としては、死後に相続人間でトラブルにならないように、明示の意思表示をしておいた方がよいでしょう。 なお、被相続人は持戻しの免除の意思を表示した後でも自由にこれを撤回することができます。 また、持戻しの免除があったとしても贈与や遺贈が遺留分を侵害する場合は、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求を行うことができます。

解決策

生前贈与が特別受益に当たるかどうかの判断には高度な法的知識が必要ですので、弁護士に相談することをお勧めします。

寄与分について意見が割れている

寄与分とは、被相続人の生前に、相続人が、被相続人の財産の増加や維持に寄与した程度のことです。寄与分がある相続人は、その分多くの財産を相続することができます。 寄与分の有無や金額については杓子定規に決まるものではないので、寄与分を主張する相続人と、それを否定する相続人との間でトラブルになることがあります。

回避策

被相続人が取りうる回避策としては、寄与分がありそうな相続人には、贈与や遺贈をして、かつ、必要に応じて特別受益の持戻し免除の意思表示をすることが考えられます。 寄与分自体を遺言で定めることはできません。例えば、「長男○○の寄与分は○○円とする。」とか「長女○○の寄与分は相続財産の〇割とする。」というような遺言をすることはできないのです。 しかし、遺言で、相続分や遺産分割方法を指定することは、当然できます。 寄与分がありそうな相続人に対して、例えば、法定相続分が4分の1であるところ、2分の1を相続させる旨の遺言をしたり(「相続分の指定」といいます)、法定相続分が2分の1のところ、相続財産の4分の3の価値を占める不動産を相続させる旨の遺言をしたり(「遺産分割方法の指定」といいます)することは当然ながらできるのです。

解決策

寄与分が認められるどうかや、認められるとして何円分の寄与分が認められるかの判断には、高度な法的知識が必要なので、寄与分について意見が割れている場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

誰がどの財産を取得するかで合意しない

遺言がない場合は、法定相続分に従って遺産分割することになります。 遺産が現金や預貯金などの簡単に分けられるものだけなら問題ないのですが、現金や預貯金以外の財産について、誰がどの財産を取得するか意見が割れ、トラブルになることがあります。

回避策

回避策としては、誰にどの財産を相続させるのか、主要な財産についてはすべて遺言で指定することが考えられます。 また、財産に変更が生じた場合には、遺言書の書き換えを忘れないようにしなければなりません。

解決策

遺言がなく、遺産分割協議で意見が割れた場合、まず、各財産を正しく評価することが重要です。 財産の評価は時価で行います。時価とは、その時に売った場合に買い手がつく値段のことです。 財産が正しく評価されていないと不公平が生じてしまいます。遺産分割協議と財産評価を同時並行で進めようとするとうまくいかないことがあります。 ある財産を取得する人にとってはその財産が低く評価をされた方が得で、取得しない人は高く評価された方が得だからです。 この点、各財産の評価額を固めてから遺産分割協議に入った方が協議がうまくいくことが多いです。 また、遺産分割協議が上手くいかない場合は、遺産分割調停や遺産分割審判を申立てる方法があります。こちらは以下の関連記事に詳しく書かれています。

不動産の分割方法で意見が割れている

不動産の分割方法を巡っては、遺産分割協議の中でも特にトラブルになることが多いです。 不動産は、遺産の財産価値の多くを占めることが少なくありませんし、自宅の場合は特に相続できるかどうかによって住む場所が変わってくるので生活に与える影響も大きいためです。 また、不動産の分割方法(分割しない方法も含みます)は、選択肢も豊富で、それぞれにメリットとデメリットがあるので、なかなか意見がまとまらない原因になっています。

回避策

回避策としては、やはり、遺言によって分割方法を指定することが考えられますが、相続人のためになる合理的な内容にすることが重要です。

解決策

当事者間で解決できない場合は、前述のとおり、調停や審判を申立てるという方法があります。

不動産の評価額について意見が合わない

前述のとおり、ある財産を取得する人にとってはその財産が低く評価をされた方が得で、取得しない人は高く評価された方が得なため、評価額について意見が分かれることがあります。

回避策

各財産の評価額を固めてから遺産分割協議に入った方が協議がうまくいくことが多いです。

解決策

不動産については、通常は実勢価格(実際に取り引きされる価格)で評価されます。 不動産を売却して価額弁償を行う場合は、売却価格を評価額とすればよいのですが、売却しない場合は、どのように実勢価格を見積もるかという問題になります。 この点、固定資産税評価額や相続税評価額から実勢価格を見積もる方法が手軽です。 固定資産税評価額は実勢価格の7割程度、相続税評価額は実勢価格の8割程度になっているので、固定資産税評価額に7分の10を掛け算するか、相続税評価額に8分の10を掛け算することで、およその実勢価格を見積もることができます。 なお、土地の場合は固定資産税評価額と相続税評価額がありますが、建物の場合は固定資産税評価額しかありません。 建物の固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に記載されている課税明細書の「価格」(または「評価額」)欄に記載されています。 マンションの場合は、価格欄は一棟丸ごとの評価額になっており、自分の所有している部屋の固定資産税評価額は課税標準額の欄に記載されています。 この方法で算定した評価額で双方納得できればそれでよいのですが、この方法では実勢価格との乖離が生じることもあります。 相続税評価額や固定資産税評価額から算定した評価額に納得がいかない場合は、不動産鑑定士に鑑定してもらうとより正確な算定が期待できます。ただし、鑑定料が数十万円かかります。 また、双方が別々に鑑定を依頼すると、鑑定料も倍かかりますし、鑑定結果に開きが生じた場合に、せっかく鑑定したのに、争いが収束しないこともありえます。 合意形成のためには、鑑定を依頼する専門家を双方の合意の下で選び、鑑定結果に従うことを合意のうえで、鑑定を依頼するとよいでしょう

不動産を取得することになったが他の相続人が登記に非協力的

不動産登記について他の兄弟が非協力的 取得した不動産の登記に、他の相続人の協力が必要な場合があります。 遺産分割協議によって取得した不動産の登記には、すべての相続人の実印が押された遺産分割協議書(または遺産分割協議証明書)と印鑑登録証明書が必要です。 遺贈によって取得した不動産の登記には、すべての相続人または遺言執行者と不動産の取得者が共同で登記申請をしなければなりません。 以下、遺産分割協議によって不動産を取得した場合と、遺言によって不動産を取得した場合に分けて、それぞれ説明します。

遺産分割協議によって不動産を取得した場合

遺産分割協議書の押印に時間がかかってしまう場合に、遺産分割協議証明書にすることでスムーズに進むことがあります。 両方とも遺産分割協議で決まった内容を証明する文書ですが、両者の違いは各相続人が個別に証明するものが遺産分割協議証明書、すべての相続人がまとめて証明するものが遺産分割協議書です。 相続人が近くに住んでいる場合は、全員が一堂に会して遺産分割協議書に署名・押印することができるので、このような場合は、遺産分割協議書が適しています。 しかし、相続人全員が集まることができない場合は、郵送等で各相続人に順次回していき、署名・押印を集めることもできます。 相続人の数が多いと、全員の署名・押印が終わるまでに日数がかかるでしょうし、途中で紛失することもあるでしょう。 この点、遺産分割協議証明書の場合は、各相続人が個別に署名・押印することができるので、遺産分割協議書の場合よりも日数が短縮できることが期待できますし、途中で紛失されて一からやり直しということもありません。 したがって、相続人の数が多く、かつ、散り散りに住んでいる場合は、遺産分割協議書よりも遺産分割協議証明書の方が便利であるといえます。 しかし、遺産分割協議証明書にも欠点があります。 遺産分割協議書の場合は、各相続人がそれぞれ原本を1通ずつ持ちますが、遺産分割協議証明書の場合は、基本的には代表者しか原本を持ちません。 一人が代表してすべての相続手続を行う場合は、遺産分割協議証明書で問題ありませんが、それぞれが相続手続を行うのであれば、遺産分割協議書の方が便利でしょう。

遺言によって不動産を取得した場合

次に、遺言によって不動産を取得した場合について説明します。 遺贈によって取得した不動産の登記は、相続人全員または遺言執行者の協力が必要です(なお、遺贈ではなく「相続させる旨の遺言」によって取得した不動産の登記は不動産の取得者が単独で申請できます)。 協力してくれない相続人がいる場合は、遺言執行者を選任することで、相続人の協力は必要なくなります。

まとめ

以上、遺産相続における兄弟の相続割合とトラブル事例の回避策・解決策について説明しました。 不明な点は、相続に精通した専門家に相談することをお勧めします。

この記事を書いた人

株式会社鎌倉新書 いい相続

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