弁護士監修記事

死亡保険金(死亡保険金)を相続する前に知っておくべき6つの重要な知識

配偶者や親が亡くなって死亡保険金(死亡保険金)を受け取ることになった場合に備えて事前に知っておくべき6つの重要な知識についてまとめました。

是非、参考にしてください。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

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死亡保険金は相続財産?遺産分割の対象?

死亡保険金は、原則として遺産分割の対象とはなりません。

 

受取人が指定されている場合は、当然、指定された受取人の固有の財産となりますし、受取人が「相続人」となっている場合も、保険金を相続するのではなく、保険契約に基づき相続人がそれぞれの相続分に応じて取得するものと解されているため、やはり、受取人の固有の財産となります。また、受取人が「被相続人」(亡くなった人)となっている場合であっても、被相続人の合理的意思解釈として、相続人を受取人とする黙示の意思表示があったものとして、やはり相続人がそれぞれの相続分に応じて取得するものと解されています。

また、受取人に指定されている人が既に亡くなっている場合は、受取人に指定されている人の相続人が保険金を受け取ることができます。

なお、受取人の相続人が複数いる場合は、保険金の分配については、相続分に応じるのではなく、按分します。

死亡保険金は相続放棄をしても受け取れるか?

相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の権利や義務を一切承継しない選択をすることをいいます。

簡単にいうと、プラスの財産も借金等のマイナスの財産もどちらも相続しないということです。

プラスの財産だけ相続するということはできず、プラスの財産もマイナスの財産もひっくるめて相続しなければならないため、プラスの財産よりもマイナスの財産の大きい場合に相続してしまうと損をしてしまいますが、相続放棄することによってプラスの財産もマイナスの財産も相続しなくなります(マイナスの財産だけ放棄するということはできません)。

相続放棄について詳しくは「財産放棄と相続放棄の違いを理解して財産放棄で損しないための全知識」をご参照ください。

相続放棄を検討する際に気になるのが、相続放棄をしても生命保険金(死亡保険金)を受け取ることができるかどうかということでしょう。

この問題も、遺産分割の対象となるかという問題と同じように考えます。

つまり、死亡保険金は相続財産ではないため、相続放棄をしても、死亡保険金を受け取ることができます。

ただし、保険金受取人が相続放棄をして相続人でなくなると、死亡保険金にかかる相続税の非課税限度額が適用されなくなるため、相続税が高くなってしまう可能性があり、注意が必要です。

この点について詳しくは後述します。

死亡保険金は特別受益の持戻しの対象となるか?

特別受益とは、相続人が複数いる場合に、一部の相続人が、被相続人からの遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことです。

特別受益があった場合は、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分は算定されます(なお、このようにして相続分を算定することを特別受益の持戻しといいます。)。

例えば、被相続人にはAとBの2人の子がいたとします。

そして、Aには1000万円の生前贈与を行っており、また、相続財産の価額は2000万円であったとします。

この場合における特別受益の持戻し後のA、Bそれぞれの相続分は次の式で計算することができます。

  • Bの相続分:(2000万円+1000万円)÷2=1500万円
  • Aの相続分:1500万円-1000万円=500万円

特別受益について詳しくは「特別受益とは?特別受益によって相続分を減らされないための全知識」をご参照ください。

ここで、一部の相続人が死亡保険金を受け取った場合、その保険金を特別受益とするかどうかという問題が生じます。

この点、死亡保険金は、特別受益に当たらないと解するのが相当であるとされています。

もっとも、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条(特別受益について定めた条文)の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当であるとされています。

そして、上記特段の事情の有無については、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきであるとされています。

このように、死亡保険金が持戻しの対象となるかどうかについては、一概に判断できるものではありませんが、過去の裁判例を見ると、次のような事情があると、死亡保険金が持戻しの対象と認定されやすいと思われます。

  • 保険金の額の遺産の総額に対する比率が6割超
  • 被相続人と保険金受取人が別居している
  • 保険金受取人の被相続人の介護等に対する貢献度合いが低い

繰り返しになりますが、この特段の事情の有無の判断は諸般の上記の基準をすべて満たしたとしても、裁判で持戻しが認定されるとは限りません。

持戻しが認定されるかどうかについては、弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士は、死亡保険金を受取人でない相続人からの相談も、死亡保険金の受取人である相続人からの相談も、誠実に対応してくれます。

当サイトには、遺産相続問題に精通した弁護士を掲載していますので、よろしければ、ご活用ください。

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死亡保険金にかかる税

死亡保険金を受け取った場合には、相続税が課せられる場合、贈与税が課せられる場合、所得税と住民税が課せられる場合の3つのパターンがあります。

被保険者、保険料の負担者および保険金受取人がそれぞれ誰かによって、課せられる税金の種類が異なる仕組みになっているのです。

詳しくは、下表をご参照ください。

被保険者 保険料の負担者 保険金受取人 税金の種類
A B B 所得税(一時所得)、住民税
A A B 相続税(満期の場合は贈与税)
A B C 贈与税

死亡保険金に相続税が課せられる場合は、上表の通り、被保険者と保険料の負担者が同じ人の場合です。

例えば、旦那さんを被保険者とする保険で、保険料も旦那さんが負担していて、保険金の受取人が奥さんになっているパターンです。

このような場合には、死亡保険金に相続税が課せられます(ただし、満期になったことにより受け取った保険金には贈与税が課されます)。

死亡保険金に贈与税がかかる場合は、上表の通り、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人のいずれも異なる場合です。

例えば、母を被保険者とする死亡保険の保険料を父が負担していたとします。

そして、その死亡保険金の受取人は子になっていたとします。

そして、母が亡くなり、子が死亡保険金を受け取ったとします。

このような場合、受け取った死亡保険金は、保険料の負担者である父から保険金受取人である子への贈与があったものとみなされ、受け取った保険金の全額に贈与税が課せられます(贈与税について詳しくは「贈与税がかからない方法や贈与税の計算方法等の贈与税に関する全知識」参照)。

所得税と住民税が課せられるケースは、保険料の負担者と保険金の受取人が同じケースです。

被保険者が奥さんで、保険料を旦那さんが負担して、受取人も旦那さんというようなケースに、一時所得として所得税と住民税が課せられます。

所得税と住民税は、受け取った保険金からこれまで支払ってきた保険料を差し引いた金額が所得税と住民税の課税対象となります(なお、保険料を一時払いすることによって、税法上、金融類似商品と評価される場合があり、その場合は、源泉分離課税がなされます)。

死亡保険金にかかる相続税の計算方法

死亡保険金は、受取人が被相続人の場合を除き、相続財産ではないのですが、相続財産とみなして相続税の課税対象となります(被保険者と保険料の負担者が同じ場合)。

以下では、死亡保険金を含めた相続税の計算方法を説明します。

相続税は次のような流れで計算することができます。

  1. 遺産総額(課税価格)を算出する
  2. 相続税の基礎控除額を差し引いて課税対象額を算出する
  3. 法定相続分に基づき各法定相続人の相続税額を算出し、それらを合計する
  4. 相続税総額を実際の相続分に基づき按分する
  5. 各相続人の事情に応じて税額を増減する

以下、それぞれについて説明します。

遺産総額(課税価格)を算出する

遺産総額(課税価格)は次の計算式によって算出することができます。

(プラスの財産 - 非課税財産)- マイナスの財産 - 葬式費用 + 相続開始前3年以内に贈与した財産

「プラスの財産」には、死亡保険金等のみなし相続財産も含まれます。

被相続人がその保険料の全部を負担していた場合には、取得した保険金の全額となり、被相続人が保険料の一部を負担していた場合には、次の算式により計算した金額となります。

取得した保険金額×被相続人が負担した保険料の金額÷保険料の総額

また、「非課税財産」には、次のものがあります。

  • 皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
  • 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
  • 一定の公益事業を行う者が取得した公益事業用財産
  • 条例による心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
  • 相続人が取得した生命保険金等及び退職手当金等のうち一定の金額
  • 相続税の申告書の提出期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人又は認定特定非営利活動法人に贈与(寄附)した財産

非課税限度額内の死亡保険金が含まれます。

相続人が死亡保険金を受取人である場合は、保険金のうち一定限度の金額が非課税となるのです。

死亡保険金の非課税限度額は、次の式で計算することができます。

500万円×法定相続人の数

法定相続人の数には、保険金受取人でない法定相続人も含めます。

例えば、受取人が1人でも、法定相続人が3人の場合は、500万円×3人=1500万円が非課税限度額となります。

非課税限度が適用されるのは、受取人が相続人である場合であり、受取人が相続放棄をした場合は、相続人でなくなるため、非課税限度額の適用はなくなります。

なお、受取人以外の相続人に相続放棄をした人がいた場合でも、その人も非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めます。

相続欠格や相続人の廃除があった場合は、欠格者や被廃除者(廃除された人)は、非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めません。

ただし、欠格者や被廃除者を被代襲者とする代襲相続人がいる場合は、その代襲相続人は非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めます。

相続欠格については「相続欠格とは?相続欠格事由とは?判例に基づいてわかりやすく説明」を、相続人の廃除については「相続廃除の意味とは?排除は誤字!推定相続人の廃除で遺留分をなくす」を、代襲相続については「代襲相続とは?範囲は?孫や甥・姪でも相続できる代襲相続の全知識」をそれぞれご参照ください。

ところで、養子を増やせば、その分、非課税限度額が青天井に増えるのではないかと考える方もいるかもしれません。

しかし、そのような税金対策としての養子縁組に対しては、非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めることができる養子の数に一定の制限を設けられています。

法定相続人の数に含めることができる養子の数は、実子がいる場合と、実子がいない場合とで異なります。

実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までとなっています。

もっとも、3人目以降の養子も法定相続人ではありますが、「法定相続人の数」には含めないため、非課税限度額は増えないという話です。

遺産総額の計算に話を戻します。

例えば、預貯金や不動産などの遺産が1億円、死亡保険金が3000万円、法定相続人が3人で死亡保険金の非課税限度額が500万円×3人=1500万円、借金等のマイナスの財産が2000万円、葬式費用が100万円、相続開始前3年以内に贈与した財産が600万円の場合、遺産総額は次の式で計算することができます。

1億円+3000万円-1500万円-2000万円-100万円+600万円=1億円

相続税の基礎控除額を差し引いて課税対象額を算出する

遺産総額(課税価格)が算出できたら、次に、基礎控除額を差し引いて、課税対象額を算出します。

基礎控除額は、次の計算式で算出することができます。

3000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が3人の場合の基礎控除額は、3000万円+600万円×3人=4800万円となります。

法定相続人の数を計算する際は、死亡保険金の非課税限度額の計算の基礎となる場合と同じで、相続放棄や養子などのルールにご注意ください。

遺産総額(課税価格)が1億円で、基礎控除額が4800万円だとすると、課税対象額は、1億円-4800万円=5200万円となります。

法定相続分に基づき各法定相続人の相続税額を算出し、それらを合計する

例えば、課税対象額が5200円で法定相続人が妻と子2人の3人だったとします。

法定相続分は、妻が2分の1、子2人がそれぞれ4分の1ずつなので、法定相続分に応ずる取得金額は、配偶者が2600万円、子2人がぞれぞれ1300万円ずつとなります。

これを、相続税速算表に当てはめます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
1000万円超3000万円以下 15% 50万円
3000万円超5000万円以下 20% 200万円
5000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1,700万円
2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

法定相続分に応ずる取得金額が2600万円の場合も1300万円の場合も、「1000万円超3000万円以下」の欄を確認すればよいので、税率15%、控除額50万円であることが分かります。

そうすると、それぞれの仮の相続税額は次の式で算出することができます。

妻:2600万円 × 15% - 50万円 = 340万円

子:1300万円 × 15% - 50万円 = 145万円

そして、以下のように、各相続人の相続税額を合計すると、相続税総額になります。

(妻)340万円 + (子)145万円 + (子)145万円 = 630万円

相続税総額を実際の相続分に基づき按分する

実際の相続では法定相続分どおりに財産が配分されるとは限りません。

遺贈などによって、法定相続分とは異なる割合で配分されることもよくあることです。

そのような場合は、相続税総額を実際の相続分に基づき按分します。

例えば、前述のケースで、配偶者が7000万円、子Aが2000万円、子Bが1000万円をそれぞれ相続したとします。

その場合の各人の相続税額は、以下の式で求めることができます。

まずは、妻の相続税額を計算します。

630万円 ×(7000万円 ÷ 1億円)= 441万円

次に、子Aの相続税額を計算します。

630万円 ×(2000万円 ÷ 1億円)= 126万円

最後に、子Bの相続税額を計算します。

630万円 ×(1000万円 ÷ 1億円)= 63万円

なお、法定相続分どおりに相続した場合は、この計算は不要で、前の過程で計算した額が、それぞれの相続税額になります。

各相続人の事情に応じて税額を増減する

次に、各相続人の事情に応じて税額を増減します。

軽減される制度には次のようなものがあります。

  • 暦年課税分の贈与税額控除
  • 配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)
  • 未成年者の税額控除
  • 障害者の税額控除
  • 相次相続控除

前述の例でいうと、妻の441万円の相続税は、配偶者の税額軽減によって、税額が0円になります。

配偶者の税額軽減については「相続税配偶者控除で1億6千万円を非課税にする方法とそのデメリット」を、相次相続控除については「相次相続控除で相続税を安くするために絶対に知っておくべき10のこと」を、その他の控除については「相続税の計算方法を流れに沿ってステップごとにわかりやすく説明!」の「税額控除等」の項目を、それぞれご参照ください。

また、加算される制度には、相続税額の2割加算の制度があります。

相続税額の2割加算とは、財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族(その代襲者を含みます)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額を加算する制度です。

詳しくは「相続税の2割加算で損するケースと2割加算でも得するケースを徹底検証」をご参照ください。

死亡保険金を活用した相続税対策

生命保険には、一時払い終身保険というものがあります。

一時払い終身保険とは、保険料を一度に全額支払って一生涯保険が適用されるというもので、元本割れのリスクが低い保険です。

例えば、法定相続人が3人いる場合は1500万円が非課税となりますが、これを有効に活用するために、保険料も受取金も1500万円の一時払い終身保険に加入します。

そうすると、被保険者が亡くなった時に、受取人は1500万円を非課税で受け取ることができます。

言い換えれば、加入から亡くなるまでの間、お金を保険会社に預けておくことで、限度額まで非課税で相続させることができる制度と言えます。

保険会社によって違いはあるものの、健康診断なしで90歳まで加入できるものあります。

90歳以下で、生命保険に未加入で、相続税の基礎控除額以上に財産を持っている人は、是非、利用すべきおすすめの制度です

まとめ

以上、死亡保険金と相続について説明しました。

死亡保険金が特別受益に準じて持戻しの対象となるかについては弁護士に、死亡保険金にかかる税については税理士に相談しましょう。

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