弁護士監修記事

相続手続きの「全て」の流れや期限を徹底解説!

相続手続きを自分で行う

相続は人生でそう何度も経験することではありません。

初めて相続する場合は、手続きの流れがよくわからず不安に感じることもあるかと思います。

そのような不安を払しょくしていただくべく、この記事では、相続手続きをミスなくスムーズに自分で行うための簡単完全マニュアルをご紹介します

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[ご注意]
記事は、公開日時点における法令等に基づいています。
公開日以降の法令の改正等により、記事の内容が現状にそぐわなくなっている場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをおすすめします。

相続手続きの流れ

まず、相続手続きの流れを紹介します。

相続手続きには、ざっくり、次のようなものがあります。概ね早期に行うべきものから順に並べてあります。

また、期限の定めがある手続きについては、法定期限を括弧書きで併記してあります。

  • 死亡届の提出(届出義務者が被相続人の死亡の事実を知った日から7日以内)
  • 葬儀の執行
  • 銀行等の金融機関への連絡
  • 死亡保険金の受け取り
  • 健康保険、遺族年金の手続き
  • 遺言書の確認、検認
  • 相続人の調査
  • 相続財産の調査
  • 相続放棄、限定承認の手続き(相続の開始があったこと(死亡したこと)を知った日から3か月以内)
  • 所得税の準確定申告(相続の開始があったこと(死亡したこと)を知った日の翌日から4か月以内)
  • 遺産分割協議、遺産分割協議書の作成
  • 預貯金等の払い戻し(一定の場合には10年以内)、名義変更、登記移転
  • 相続税の申告、納付(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内)
  • 遺留分侵害額請求(遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内)
  • 更正の請求、修正申告、期限後申告

もっとも、すべてのケースで、これらすべての手続きが必要になるわけではありません。また、順序についても、上記の通りではなく、前後して構わない手続きもあります。

以下では、それぞれの手続きについて、どのような場合に手続きが必要になるか、また、手続きを行う際の注意点等を説明します。

死亡届の提出( 届出義務者が被相続人の死亡の事実を知った日から7日以内)

被相続人(相続される人=財産を残す人)が亡くなったことが判明したら、7日以内(国外で死亡した場合は、死亡を知った日から3か月以内)に死亡届を役所に提出しなければなりません

手続きの対象者は、親族、同居者、家主、地主、家屋管理人、土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人ですが、親族が行うことが多いでしょう。

提出先の役所は、死亡者の死亡地・本籍地か届出人の所在地のいずれでも構いません。用紙は役所で入手できます。

法務省のウェブサイトに記載要領と記載例が載っています。以下のリンクからご参照ください。

死亡届の記載要領と記載例

右側は医師が記入するので、届出人は左側を記入します。

銀行等の金融機関への連絡

銀行等の金融機関に口座名義人が死亡したことを連絡すると、金融機関はその口座を凍結します

口座を凍結すると、被相続人名義の預貯金を引き出すことができなくなります。相続人が複数いる場合に、一部の相続人が勝手にお金を引き出すことを予防できます。

そのような事態が想定される場合は、死亡後すぐに金融機関に連絡すべきです。預金先の金融機関が分からない場合は、財産調査によって明らかにします(後述)。

そして、口座が凍結されると、口座引き落としで決済されていたものも、引き落としされなくなります。

必要に応じて決済方法の変更や利用停止などの手続きを取りましょう

また、亡くなった方の未払い入院費などがある場合や葬儀費用を、亡くなった方の口座から支払いたい場合でも、口座凍結後は自由に引き出すことできません。

ただし、相続人全員の同意書等の必要書類を揃えれば引き出すことができる場合があります。

金融機関によって必要書類は異なるため、引き出しが必要な場合は、手続き方法を金融機関に確認しましょう。また、銀行の貸金庫に遺言書が保管されている場合もあるので、その点についても確認しましょう。

葬儀の執行

死亡届を提出すると、火葬許可証が交付されます。火葬許可証がないと、葬儀の申し込みができません

年金事務所または年金相談センターへの連絡(死亡後10日~14日以内)

亡くなった方が、年金を受給している場合でも、未受給の場合でも、年金事務所か年金相談センターに連絡しましょう。

受給者が亡くなった場合は、死亡後10日(国民年金は14日)以内に、届出なければなりません。なお、届出によって遺族年金などの給付が受けられる可能性があります。

お近くの年金事務所は、日本年金機構のウェブサイトの全国の相談・手続き窓口のページから探すことができます。

健康保険事務所への連絡

健康保険からも葬祭費などの名目で給付金が支給されます。亡くなった方が加入していた健康保険の事務所に連絡しましょう。

死亡保険金の受け取り

亡くなった方が死亡保険に加入している場合、その受取人は、保険会社から死亡保険金を受け取ることができます。

死亡保険金は遺産分割の対象にはならないため、遺言書の検認や遺産分割協議を待たずに受け取ることができます。

保険会社に連絡して受け取り手続きを進めましょう。

遺言書の確認、検認

ここからが、本格的な遺産相続の手続きになります。遺言書があるかどうかによって、遺産分割の流れが変わってくるため、まずは、遺言書の有無を確認します。

遺言後がある場合は、遺言書に記載された内容に基づいて遺産分割を行います。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。

ただし、遺言書がある場合でも、包括遺贈の場合は、遺産分割協議が必要です。

包括遺贈とは、「長男に遺産の半分を遺贈する」というように、具体的な財産を指定せずに、割合を指定して行う遺贈のことをいいます。

遺言書の形式

また、遺言には、普通形式と特別形式があり、一般的な場面では普通形式での遺言作成となります。普通形式の遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3つがあります。

このうち、自筆証書遺言の場合は、遺言者が自分で遺言を保管しています。亡くなった方が遺言書を保管していそうな場所を入念に探しましょう。

銀行の貸金庫に保管してある場合もあります。

また、秘密証書遺言と公正証書遺言の場合は、公証役場で遺言書が保管されていて、遺言書がないかどうか、公証役場で検索してもらうことができます。

遺言書の検認

自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合は、遺言書が見つかったら、家庭裁判所で検認を受けなければなりません

検認前に開封すると5万円以下の過料(行政罰)を科されることがあります。

検認が済むと申請手続きを経て検認済証明書を遺言書に添付してもらえます。

この証明書は名義変更等の際に必要になります。

遺言については正しい書き方が求められます。正しく、そして不利益が出ないようにするために、ぜひ専門家に相談してみることをご検討ください。

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相続財産の調査

相続財産の内容が確定されなければ、遺産分割を行うことはできません。したがって、相続財産を調査し、遺産分割協議前に確定する必要があります。

プラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産も調査します。

相続財産の調査はとても地道な作業です。まずは、被相続人の自宅を調査します。

預貯金通帳、キャッシュカード、有価証券等の証書、不動産の権利証、固定資産税の通知書等が保管されていれば、それらを基に調査します。

郵便物から財産が分かることもあります。銀行や証券会社などから郵便物があれば、そこで口座を開いている可能性があるからです。口座を開いている金融機関が分かったら、残高証明書を発行してもらいます。

名寄帳

また、不動産を調査する方法として、名寄帳(なよせちょう)を利用する方法があります。

名寄帳には、その市区町村の課税対象不動産がすべて記載されています。

相続人の調査

遺言がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います

ですので、そもそも誰が相続人なのかを確定しなければなりません。

大抵の場合は、調査をしなくても親族関係を把握しているでしょうが、中には、相続人調査によって認知した子がいたことが発覚することもあります。

相続人調査は、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を収集して行います。

相続放棄、限定承認の手続き(相続人が相続の開始があったこと(被相続人が死亡したこと)を知った日から3か月以内)

プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合は、相続すると損してしまいます。そのような場合は、相続放棄によって、借金を背負うことを避けることができます。

また、限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続の承認をすることをいいます。

プラスかマイナスか微妙なラインの場合は、限定承認をしておくとよいでしょう。

相続放棄や限定承認は、相続人が相続の開始があったこと(被相続人が死亡したこと)を知った日から3か月以内にしなければなりません

3か月経つと、相続することを承認したとみなされます。

どうしても期間内に態度を決めることが難しい場合は、期間の伸長を申し立てることができますが、必ず認められるとは限りません。

なお、相続放棄や限定承認を行う場合は、被相続人の最終住所地を管轄する家庭裁判所で手続きします

所得税の準確定申告(相続の開始があったこと(死亡したこと)を知った日の翌日から4か月以内)

亡くなった年の確定申告は、当然ながら自分ではできませんから、相続人が代わりに行わなければならない決まりになっています。

この代わりに行う確定申告のことを準確定申告と言います。

被相続人に確定申告が必要な所得があったかどうかを調べて、必要がある場合は、必ず行いましょう。

医療費控除を受ける場合にも確定申告は必要です。

なお、通常の確定申告の時期ではなく、相続の開始があったこと(死亡したこと)を知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。

遺産分割協議、遺産分割協議書の作成

相続人と相続財産が明らかになったら、遺産分割協議を行います。

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。

預貯金等の払い戻し、名義変更、登記移転

遺産分割協議書を作成したら、相続財産を相続人に移転させます。

預貯金については払い戻しを行い、自動車や有価証券などのように名義変更しなければならないものは名義変更を行います。

投資信託は払い戻しか名義変更かを選べる場合があります。

不動産は所有権移転登記を行います。

預貯金

なお、預貯金については亡くなってから10年以内に払い戻し等をしなければ、払戻しを受ける権利が消滅する場合がありますのでご注意ください。

当座の現金が必要ない場合は、そのままにしてしまいがちですが、うっかり10年経ってしまわないように、すぐに払い戻しをしておきましょう。

もっとも、金融機関によっては、10年経ってしまった場合でも払い戻しに対応してくれるケースもあります。

不動産登記については、期限は設定されていませんが、地面師などの詐欺や、その他トラブルを避けるためにも登記を早めにしておきましょう。

相続税の申告、納付(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)

相続税の申告、納付は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に済ませなければなりません。

申告だけでなく、納付まで含めて10か月です。

遺留分侵害額請求(遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内)

遺留分とは、相続財産の最低限の取り分のことです。

法定相続人でも遺贈や贈与によって、ほとんど相続できないことがあります。

それではあまりにかわいそうなので、一定の取り分(遺留分)を認めて、多く財産をもらった人から遺留分に達するまで財産を分けてもらう制度があるのです。

その請求のことを遺留分侵害額請求といいます。この遺留分侵害額請求は、被相続人が死亡し、遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内にしなければなりません。

なお、繰り返しになりますが、遺留分侵害額請求は、遺贈や贈与によって、遺留分を侵害された場合に認められるものです。

ですので、遺産分割協議で遺留分未満の財産しか割り当てられなかったにもかかわらず、それに同意したような場合は、遺留分侵害額請求の対象とはなりません。

更正の請求、修正申告、期限後申告

前述の通り、相続税の納付期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月で、遺留分侵害額請求の期限は被相続人が死亡し、遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年です。

ということは、相続税を納付後に遺留分侵害額請求がなされることがありえます。

遺留分侵害額請求があると、各相続人の取得額が変わってきますから、それに応じて相続税額も変わってきます。

遺留分侵害額請求に応じた人は取得額が減るため、相続税額も減ります。そのままでは相続税を必要以上に納めてしまっている状態になります。

相続税の減額分を取り戻すためには、更正の請求という手続きが必要です。また、遺留分を獲得した人は相続税額が増額になる可能性があります。その場合は修正申告をして、追加の相続税を納めなければなりません。

正規の申告時に相続税を納めていて、それを修正して相続税を増額することを修正申告といいます。

正規の申告時に相続税を納めていなくて、期限後に改めに申告することを期限後申告といいます。

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